保安隊海へ行く 81
「遅いっすよー西園寺さん!」
バスの横の荷物入れの前に立っている島田が叫ぶ。
「済まねえ!あと一人は乗れるだろ!こいつ乗せてってくれ」
そう言うと要は後ろに続く茜を指差した。
「お嬢さんですか?まあ乗れますけど……なんでここに?」
不思議そうな視線を送る島田をはじめとする一行。
「ちょっとしたご挨拶ですわ。要さん、誠さんが遅れてますけど、よろしいのですか?」
「いいんだよ。あいつなら」
そう言ってバスに駆け込む要。カウラとアイシャがその後に続く。肩で息をしながら荷物を抱えて走る誠。
「何だってこんなに重いんだよ」
ようやくバスのところまでやってきてそのまま路上に腰を下ろした。
「これ西園寺さんの荷物か。この格好はサブマシンガンでも入ってるんじゃないのか?」
淡々とそう言いながら荷物を客席下の空間に詰めていく島田。
「神前。なんか顔色悪いけど大丈夫か?」
心配そうに手を出した島田の助けを借りて立ち上がる誠。相変わらず流れる脂汗。要達の修羅場で流れるいつものそれとは明らかに違う。どっと襲う倦怠感。立ちくらみのようなものまでが視界をゆがめる。
「とりあえず、バスに乗るぞ」
その様子に少し真剣な顔をしながら、島田は誠を抱えるようにしてバスに乗り込んだ。
「なんだ?どこかおかしいのか?」
運転席のキムが尋ねてくる。
「平気です、何とか……」
島田の手から離れて元気なところを見せようとする誠だが、その足元は誰が見てもおぼつかないものだった。
「要ちゃんに殴られたの?」
「うるせえ、シャム!何でいつもアタシがぶったことになるんだ?」
「日ごろの行いだよ、この外道!」
「小夏!テメエ表に出ろ!いいから……」
「静かに!」
リアナの一言で騒然とした車内が静まる。
「神前君は具合が悪そうだから奥で寝かせてあげましょう」
そう言うと一番後ろの席で菰田達ヒンヌー教徒から酒を押し付けられていた西に視線が集まる。
「さあ、神前曹長が大変ですよ!」
にこやかに言うと立ち上がって島田に手を貸して、西は誠を一番後ろの座席に寝かせた。




