保安隊海へ行く 80
「ふふふ、誠さんと要さん。仲がよろしいんですね」
微笑む茜に誠は思わず要を見た。一気に要の頬が赤らむ。
「お……おうよ。こいつはアタシの部下でマブだからな」
そう言うと要は誠の首根っこをつかむとヘッドロックをした。
「苦しいですよ、西園寺さん!」
「いいじゃねえか、ほらアタシの胸が頬に当たってるぞ。あ?」
誠は幸せなのか不幸せなのかわからないと言うような笑みを浮かべる。
「本当にお似合いですわよ」
笑顔を振りまく茜。しかし、その視線が要達の後ろに立つ二つの人影をも見つめているものだと言うことは要も誠も知らなかった。
「ふうん、そう。要と誠君がマブでラブラブねえ」
「まあ仕方ないんではないか?誠は胸が大きい女が好きなようだからな」
誠は要の腕からすり抜け、振り向いた。そこにはアイシャとカウラが腕組みをして立っている。
「おお、いたのか。聞かれちまったら仕方がねえな。そう言うわけだ」
「西園寺さん!」
サングラスを外してアイシャとカウラをにらみつける要。誠は半泣きの状態でおろおろとしていた。漂う殺気に誠は少しずつ後ずさりする。一ヶ月間、彼女達の部下をやってきたのは伊達ではない。
「どうされましたの?誠さん」
不思議そうな視線が茜から誠に注がれている。
「おい、誠!何とか言えよ!」
「力で脅すなんて下品ね」
「西園寺の行動が短絡的なのはいつものことだ」
要を責めているはずの言葉だが、その視線は冷や汗を拭っている誠に向けられている。落ち着いた表情で誠の肩に手を当てる茜。
「お父様がおっしゃっていた通りですわね。あの誠さんがモテモテだって……」
「誰がこの馬鹿に惚れてるって!」
そう言うと要は誠に荷物を投げつける。
「茜さん。席は用意してあるから、誠君は補助席ね」
「もっときびきび動け!行くぞ誠」
そう言うと女性陣は誠を置いてバスに向かって早足で歩き出した。
「ったく、いつもこうだ」
そう愚痴りながら誠は要の分の荷物も一緒に担いでホテルの駐車場に止めてあるバスへ急いだ。




