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保安隊海へ行く 77

「それにしても要様の水着姿って初めて見ましたわ。楓さんに送ってあげましょうかしら?」

 ポツリとつぶやく茜。

「おい、茜!そんなことしたらどうなるかわかってるだろ?」 

 こめかみをひく付かせて要が答える。日は大きく傾き始めていた。夕日がこの海岸を彩る時間もそう先ではないだろう。

「でも、茜さんの剣裁き、見事でしたよ」 

「次期師範にそう言ってもらえるとは、ここに来ただけのことはありますわ」 

 浜辺に向かう道を歩きながらいつもの余裕に満ちた表情を浮かべる茜。松並木が切れた辺り、もう着替えを済ましたカウラとアイシャが走ってくる。

「何してたのよ!」 

「発砲音があったろ。心配したぞ」 

 肩で息をしながら二人は誠達の前に立ちはだかった。

「なあに。奇特なテロリストとお話してたんだよ」 

 要が吐いたその言葉に目をむく二人。

「そして私が追い払っただけですわ」 

 得意げに話す茜の登場に二人は戸惑っているようだった。

「何でお嬢様がここにいるの?」 

 アイシャは怪訝そうな顔をして誠の方を見る。

「そうね、お二人の危機を知って宇宙の果てからやってきたと言うことにでもしましょうか?」 

 さすがに嵯峨の娘である。とぼけてみせる話題の振り方がそのまんまだと誠は感心した。

「まじめに答えてくださいよ。しかもその制服は?」 

 人のペースを崩すことには慣れていても、自分が崩されることには慣れていない。そんな感じでアイシャが茜の顔を見た。

「法術特捜の主席捜査官と言うお仕事が見つかったんですもの。同盟機構の後ろ盾つきの安定したお仕事ですわ。弁護士のお仕事は収入にムラがあるのがどうしても気になるものですから」 

 そう言うと茜は四人を置いて浜辺に向かう道を進む。

「早く行かないと海の家閉まってしまいますわよ。着替えないといけないんじゃなくて?」 

 茜にそう言われて、気づいた要と誠は走り出さずにはいられなかった。

「そんなに急がなくても大丈夫よ!海の家の人には話しといたから!」 

 背中で叫んでいるアイシャ。

「あいつの世話にはなりたくねえからな」 

 要が誠にそう漏らした。

「要さんならもっと早く走れるんじゃないですか?」 

 誠はビーチサンダルと言うこともあって普段の四割くらいの速度で走った。

「良いじゃねえか。一緒に走りたかったんだ」 

 余裕の表情で答える要。砂浜が始まると、重い義体をもてあますように速度を落とす要にあわせて誠も走る。

「オメエこそ早く行ったらどうだ」 

 そう言う要に誠はいつも見せられているいたずらっぽい笑顔を浮かべて答えた。

「僕も一緒に走りたかったんです」 

 二人は店の前に置かれた自分のバッグをひったくると、海の家の更衣室に飛び込んだ。

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