保安隊海へ行く 70
「あの!アイシャさ……?」
要の足元の青い物体。誠はよくよくそれを観察してみる。髪の毛のようなもの、それは首から下を埋められたアイシャだった。
「あーあ!つまんねえな」
そう言いながらパラソルの下に寝そべる要。自分のバッグからまたタバコと灰皿を取り出す。
「そんなこと言わないでくださいよ」
「なんだよ、オメエも埋めるぞ」
誠はそのまま要の手を取っている自分を見た。
「少し散歩でもしましょうよ」
自分でも十分恥ずかしい台詞だと思いながら誠は要の手を取った。
「散歩?散歩ねえ……まあ、オメエが言うなら仕方ねえな。付き合ってやるよ」
そう言うとしばらく誠を見つめる要。タバコをもみ消して立ち上がった。そしてその時ようやく誠の言い出したことに意味がわかったとでも言うようにうなだれてしまう。
「カウラさん!レベッカさん!すいません。ちょっと歩いてきます」
そう言うと誠は要の手を握った。
「え?」
要はそう言うと引っ張る誠について歩き出す。
「良い風ですね」
誠は相変わらず驚いた顔をしている要に話しかけた。
「まあな」
上の空と言った感じで要は視線を泳がせている。
「あそこの岩場ですか?ナンバルゲニア中尉達がいるのは」
「そうじゃねえか」
状況がわかってくると次第に機嫌の悪いいつもの要に戻る。とりあえず誠についていてやることがサービスのすべてだとでも言うように、誠の視線に決してその視線は交わらない。誠も変に刺激しないようにと、ただ海岸線を二人して歩く。
海を臨めば、波は穏やかで土用過ぎとは思えない青さである。要は誠が海を見れば山を、山を見れば海を見つめている。次第に磯が近くなり、砂浜の下から岩石が点々とし始めた。
「オメエ。つまんねえだろ。カウラ達のところか、シャムのところへでも行ってこいよ」
そう吐き捨てるように言うと、要は砂浜から大きく飛び出した岩に腰を下ろした。
「別につまらなくは無いですよ。僕はここにいたいからここにいます」
「ったく、勝手にしろ」
そう言うと要はいつもの癖で普段の制服ならそこにあるはずのタバコを探すように右胸の辺りに手を泳がせた。




