保安隊海へ行く 67
「要ちゃん!神前君!」
リアナののんびりした声に振り返る誠。突然の彼女の高い声に少しばかり驚いていた。
「どうしたんですお姉さん。それに……」
隣にはアイシャの姿がある。
「なに?アタシがいるとおかしいのか?」
「そうだな、テメエがいるとろくなことにならねえ」
「怖いわ!誠ちゃん。このゴリラ女が!」
「アイシャ、やっぱお前死ねよ」
誠に抱きつこうとするアイシャを要が片腕で払いのける。
「貴様等、本当に楽しそうだな」
付いてきたカウラ。その表情は要の態度に呆れたような感じに見える。
「そうねえ。仲良しさんなのね」
「カウラいたのか、それとお姉さん変に勘ぐらないでくださいよ」
要はいつの間にかやってきていたカウラとリアナになき付く。要は砂球を作るとアイシャに投げつけた。
「誠君、見て。要ったらアタシの顔を砂に投げつけたりするのよ」
「なんだ?今度はシャムとは反対に頭だけ砂に埋もれてみるか?」
「仲良くしましょうよ、ね?お願いしますから」
割って入った誠。さすがにこれ以上暴れられたらたまらない。そして周りを見ると他に誰も知った顔はいなかった。
「健一さんや島田先輩達は?」
「健ちゃんと島田君達はお片づけしてくれるって。それとシャムちゃんと春子さん、それに小夏ちゃんは岩場のほうで遊んでくるって言ってたわ」
「小夏め、やっぱりあいつは餓鬼だ」
「要ちゃん。中学生と張り合ってるってあなたも餓鬼なんじゃないの?」
「んだと!」
要はアイシャを見上げて伸び上がる。いつでもこぶしを打ち込めるように力をこめた肩の動き。
「落ち着いてくださいよ、二人とも!」
誠の言葉でようやく落ち着く要とアイシャ。
「要ちゃんは泳げないのは知ってるけど、神前君はどうなの?泳ぎは」
リアナが肩にかけていたタオルをパラソルの下の荷物の上に置きながら言った。誠の額に油の汗が浮かぶ。
「まあ……どうなんでしょうねえ……」
誠の顔が引きつる。アイシャ、カウラがその煮え切らない語尾に惹かれるようにして誠を見つめる。
「泳げないのね」
「情けない」
アイシャとカウラの言葉。二人がつぶやく言葉に、頭をたれる誠。
「気が合うじゃないか、誠。ピーマンが嫌いで泳げない。やっぱり時代はかなづちだな」
「自慢になることか?任務では海上からの侵攻という作戦が展開……」
「カウラちゃんそのくらいにして、じゃあみんなで教えてあげましょうよ」
リアナはいいことを思いついたとでも言うように手を叩いた。
「お姉さん。アタシはそもそも水に浮かないんだけど……」
「じゃあアイシャちゃんが要ちゃんに教えてあげて、カウラちゃんと私で神前君を……」
「人の話聞いてくださいよ!」
涙目で要がリアナに話しかけるが、自分の世界に入り込んだリアナの聞くところでは無かった。




