保安隊海へ行く 64
「西園寺、せっかく仲間になるんだ。もう少し大人の対応は出来ないのか?」
レベッカの前をうろちょろしている要はカウラのその言葉を聴きながして、とうもろこしをかじっていた。
「そうだよねえ。要ったらずっとレベッカちゃんにつんつんして、あんなに怯えてるじゃない」
近くに立っていた誠の陰に隠れて様子を伺っているレベッカ。今にも泣き出しそうな表情でちらちらと要を覗き見ている。
「なんだよ、ありゃ。この商売舐められたら終わりだぜ。よくあんなのが勤まるもんだな」
レベッカの怯えた様子に逆に満足げにとうもろこしを食べ続ける要。
「要ちゃん!」
急にリアナの大きな声がしたので一同が焼きそばの鉄板に視線を移した。
「みんな人それぞれ、いいところもあれば悪いところもあるのよ!そんな胸くらいのことで新しく来てくれた人を差別しちゃだめでしょ!」
その言葉に、とうもろこしから口を離す要。
「お姉さんが言うことだ。済まなかったな」
素直に頭をたれる要に少し戸惑いながら誠の後ろからおずおずと顔を出すレベッカ。
「すいません、アタシなんかのために」
金髪の長い髪をなびかせながらあわせて頭を下げるレベッカ。
「でもさあ、なんかアメリカ人ぽく無いわよね、レベッカちゃん」
アイシャが焼きそばをすすりながらそう言った。
「私、戸籍はテキサスなんですが、生まれも育ちも長崎なのでよくそう言われます」
ぽつりぽつりと過去を語るレベッカ。誠はその時彼女の瞳に光るものを見つけた。
「良いじゃないですか。リアナ中佐。焼きそば取ってあげましょうよ」
「そうね、レベッカちゃんは一番働いてたから、お肉大盛りにしてあげる」
リアナはそう言うと皿一杯に焼きそばを盛り付けてレベッカに渡した。
「ありがとうございます。麺類は大好きなんです」
そう言うとレベッカは慣れた調子で箸を使って焼きそばを食べ始めた。
「まあいいや。お姉さん、アタシにも頂戴」
「ちょっと待っててね、要ちゃんにはたっぷり食べてもらうから」
そう言うと先に作っておいた野菜炒めに麺を乗せてかき混ぜるリアナ。
「そう言えば神前曹長の機体のカラーリング。有名ですよ、合衆国軍でも」
そのレベッカの言葉に一同が凍りつく。
「本当ですか?それは良かった」
「良い訳ねえだろ!馬鹿野郎!テメエの痛い機体が笑われてるだけだろうが!」
誠の後頭部を軽く小突く要。誠は頭をさすりながらレベッカの輝く青い瞳に戸惑っていた。




