保安隊海へ行く 63
「カウラ、その肉の塊よこせ!」
突然の要の言葉にめんどくさそうに振り向くカウラ。
「つまらないことを考えたんだろ?」
要の口元の下品な笑みを見てタレをつけながら焼いている肉の塊を遠ざけるカウラ。
「呼ばれました!」
「アイシャ!ごめんねーちょっといろいろあって」
島田とサラが一番に飛び込んでくる。
「島田さん達、こっちにとってあるわよ」
「女将さんすいません。ジュン君とエダ、これだって」
パーラがキムとエダにトレーを渡す。
「また焼きそば、入るわよ」
「とうもろこし、焼けたよ」
対抗するようにリアナが焼きそばの具を炒め始め、健一はタレのたっぷり付いたとうもろこしを差し出す。
「アタシがもらう」
要は悠然と皿を抱えたままもう一方の手でとうもろこしを一本確保する。
「カウラ、代わろうか?」
とりあえずこの中では一番空気の読める隊員、パーラが肉の塊にかかりっきりのカウラに声をかけた。
「すまない。頼む」
そう言うとカウラはいつの間にか隣に立っていた菰田からビールを受け取った。
「菰田君、ちょっと健一君と代わってあげてよ」
カウラを見守るだけで何もしない菰田にリアナが声をかける。
「すいません!気がつかなくて」
菰田がとうもろこし担当になると、男性隊員がその周りを囲み、次々と焼けたとうもろこしをさらっていった。
「おい!キム!またタバスコか?」
肉に色が変わるほどタバスコをかけているキムを見て島田が突っ込む。
「良いだろ?俺が食うんだから」
そう言うと肉を口に放り込むキム。
「いい風ですね」
そんな隊員たちを見ながら誠はゆっくりと要の隣で焼きそばを食べていた。
「まあ年に一度のお祭りだな」
「海に来るのは年に一度だが、お祭りは年中やってる気がするが」
リアナから渡された焼きそばの皿を手に、カウラが誠の隣に座った。
「まあな。どうせあれだろ?帰ったらあいつ等の歓迎会とかやるんだろうし」
網やまな板を洗っているレベッカを指差して要はそう言う。
「だろうな、シンプソン中尉!片付けは菰田達にやらせるから食べてくれ!」
明らかに作業に邪魔な胸を揺らしているレベッカを見ることに飽きたカウラはそう叫んだ。




