保安隊海へ行く 163
車は工場の中を進む。
「誠ちゃん、よく原付でこの通りを走れるわね。トレーラーとかすれ違うの怖くない?」
「ああ、慣れてますから」
アイシャの問いに答えながら、すれ違うトレーラーを眺めていた。三台が列を成し、荷台に戦闘機の翼のようにも見える部品を満載してすれ違う大型トレーラー。顔を撫でるのはクーラーから出る冷気。カウラは工場の建物の尽きたはずれ、コンクリートで覆われた保安隊本部へと進んだ。
「身分証、持ってるわよね」
アイシャがそう言いながらバッグから自分の身分証を出す。
「それとこれ、返しとくわ」
アイシャに彼女の愛銃、スプリングフィールドXD40を渡した。
「意外に早く着いたんじゃないの?」
カウラが開けた窓ガラスを覗き込むマリア。要は誠の身分証を受け取ると自分のものと一緒にカウラに渡した。
「ごめんね、おとといの一件で手間をとらせちゃって。一応上の指示だから我慢してね」
マリアは受け取った四人の身分証を詰め所の部下に渡す。
「しかし、大変よね、マリアも。全員チェックするようになったの?」
「まあね。政治屋さん達に一応姿勢だけは見せとかないといけないでしょ」
アイシャの問いに答えるマリアに部下が身分証を手渡した。ゲートが開き、そのまま車が滑り込む。シャムのとうもろこし畑は収穫を終え、次の作付けの機会を待っていた。カウラはそのまま車を駐車場に止めた。
「もう来てるんだ、茜ちゃん」
助手席から降りたアイシャが隣に止まっている白い高級セダンを見ながらそう言った。
「アイシャ!遅いわよ!」
誠と要が狭いスポーツカーの後部座席から体を出すと、その目の前にはサラが来ていた。
「おはよう!別に遅刻じゃないでしょ?」
「おはようじゃないわよ!四人とも早く着替えて会議室に行きなさいよ!嵯峨筆頭捜査官がもう準備して待ってるんだから」
「どこ行くの?サラ」
「決まってるじゃないの!歓迎会の準備よ!」
サラはそう言うとそのまま走り去った。とりあえず急ぐべきだと言うことがわかった誠達はそのまま早足でハンガーに向かった。




