保安隊海へ行く 158
「食事、取ってきて」
誠の顔をまじまじと見つめたアイシャがそう言った。
「あの、一応セルフサービスなんですけど」
「上官命令。取ってきて」
仕方が無いというように誠は立ち上がった。アイシャの気まぐれにはもう慣れていた。そのままカウラと共に厨房が覗けるカウンターの前に出来た行列に並ぶ。
「席はアイシャが取っておくと言うことだ」
そう言うと誠に二つのトレーを渡すカウラ。
「佐官だからっていきがりやがってなあ。オメエも迷惑だろ?」
喫煙所から戻ってきた要がさもそれが当然と言うように誠の後ろに並ぶ。
「両手に花かよ、うらやましい限りだな」
朝食当番のヨハンがそう言いながら茹でたソーセージをトレーに載せていく。
「技術部は大変ですね」
「まあな、ただ俺としてはM10は楽な機体だぜ。大規模運用を前提として設計されているだけあって整備や調整の手間がかからないように出来てるからな」
「だが、それ故に自由度は低いわけだな」
カウラの言葉をはぐらかすように笑うヨハン。
「大丈夫ですよベルガー大尉。05式の代替機にするつもりは無いですから」
そう言ってシチューを盛り付ける菰田。
「噂の09式のスペックが出てくるまではそう言う話も無いだろうな」
カウラに話しかけられ恍惚としている菰田の前で要が咳払いをした。
「早くしなさいよ!」
ようやく盛り付けが終わったばかりだと言うのに、アイシャの声が食堂に響く。
「うるせえ!馬鹿。何もしてない……」
「酷いわねえ要ちゃん。ちゃんと番茶を入れといてあげたわよ」
アイシャはそう言うと席に着く三人にコップを渡した。
「普通盛りなのね」
要のトレーを見ながらアイシャは箸でソーセージをつかむ。
「誠、きついかも知れないが朝食はちゃんと食べた方が良い」
カウラはそう言いながらシチューを口に運んでいる。




