保安隊海へ行く 150
「要ちゃん早いわね」
アイシャの視線はまだ生暖かい。それが気になるようで、要は壁を蹴飛ばした。
「そんなことしたら壊れちゃうわよ」
サラがすばやく要の蹴った壁を確かめる。
「じゃあとりあえずこの部屋に置きましょう」
そう言うと手前の部屋の鍵を開けるアイシャ。
「いつの間に島田から借り出したんだ?」
「いえね、以前サラが正人君にスペアーもらったのをコピーしたのよ」
そう言うと扉を開く。誠は不機嫌そうな要からダンボールを取り上げると、そのまま部屋に運び込んだ。
「ずいぶんな量だな」
「スミス大尉。これでもかなり減らした方なんですよ」
ロナルドにパーラが耳打ちする。
「今日はこれでおしまいなわけね」
アイシャはそう言うと寮の住人のコレクションに手を伸ばす。
「好きだねえ、オメエは」
「何?いけないの?」
「オメエの趣味だ、あれこれ言うつもりはねえよ」
そう言うと要はタバコを取り出して部屋を出て行く。一つだけ、先ほどまで要が抱えていたダンボールから縄で縛られた少女の絵が覗いている。
「やっぱりこう言う趣味なのね」
そう言うとアイシャはその漫画を取り上げた。
「なんですか?それは」
岡部の声が裏返る。
「百合&調教もの。まさに要にぴったりじゃないの」
ぱらぱらとページをめくるアイシャ。
「だが、それを買ったのは貴様だろ?」
カウラはそう言うと、そのページを覗き込んでいる誠とフェデロを一瞥した後、部屋から出て行った。




