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142/169

保安隊海へ行く 142

「西園寺さん!」 

 誠は振り向きもせず喫煙所に着いた要に声をかけた。

「どうした?」 

 そのままソファーに腰を下ろしてタバコを取り出す要。いつもと特に変わりのない彼女になぜか誠は安心していた。

「お前は良いのか?」 

 不意の言葉に誠は振り返る。エメラルドグリーンの流れるような髪をかきあげるカウラの姿があった。要の顔が一瞬曇ったように誠には見えた。

「なんでオメエがいるんだよ。カウラ」 

 そう吐き捨てるように言うと要はタバコに火を点す。そのまま大きく息を飲み込み、天井に向けて煙を吐いた。

「私がいるとまずいことでもあるのか?」 

 そんな要の態度に苛立ちながらカウラが要の前に立った。

「ああ、目障りだね」 

 そう言いながらまたタバコを口にくわえる。

「あの、良いですか?」 

 にらみ合う二人に声をかけたのはレベッカだった。後ろにはロナルド、岡部、フェデロが立っていた。

「何だよ。タバコを止めろとか言うのは止めとけよ」 

「違います。これをもってくるように言われたので」 

 そう言ってレベッカがスーパーのレジ袋を差し出した。とりあえず誠がそれを受け取って中身を見る。

 手打ちそばが入っていた。よく見ればロナルドがねぎを、岡部がめんつゆを持っている。

「隊長にこれをみんなで食えって渡されたんだが。あの人は一体、何しに本部まで来てるんだ?」 

 ロナルドがカウラの方に目をやる。

「昨日言ってた引越しそばだな。誠、パーラを呼んでくれないか」 

 カウラの言葉に誠はそのままアイシャの部屋の前に向かった。キムをはじめ、手伝っていた面々はダンボールから漫画を取り出して読んでいた。

「パーラさんいますか?」 

「何?」 

 部屋の中からパーラが顔を出す。当然、彼女の手にも少女マンガが握られていた。

「なんか隊長がそば打ったってことで、レベッカさん達が来てるんですけど」 

「隊長はこういうことだけはきっちりしてるからね。アイシャ!後は自分でやってよ」 

 そう言うと漫画をダンボールに戻してパーラは立ち上がった。

「エダ、サラ、それに西君。ちょっとそば茹でるの手伝ってよ」 

 パーラの言葉に漫画を読みふけっていたサラ達は重い腰を上げた。

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