保安隊海へ行く 141
カウラは何も言わずに誠の前に立っている。誠も何も言えなかった。
「不思議だな」
沈黙に耐えかねたカウラがそう切り出した。
「何がですか?」
「いや、なんでもない。アイシャがうるさいから作業に入るぞ」
そう言ってダンボールを運ぼうとするカウラの口元に笑みがこぼれていた。誠はそのダンボール箱の反対側を抱えた。二人でそのまま食堂を出て、アイシャの私室に向かう。
「何やってたんですか?ベルガー大尉」
机をエダと一緒に廊下で抱えているキムがそう尋ねてくる。
「別に、なんでもない」
そう言うとカウラはそのまま荷物をアイシャの部屋へと運ぶ。キムはどうでもいい事だと割り切ったようにそのまま机を運び込む。
「ダンボールはそこ置いといて!それと机は横にすれば入るでしょ!」
自分の部屋の前で荷物を仕切っているアイシャ。
「それにしてもどれだけ漫画持ち込むんだよ」
要が自分の運んできたダンボール箱を開けながらそう尋ねる。
「たいしたことないじゃないの。これは選びに選んだ手元に無いと困る漫画だけよ。あとは全部トランクルームに保存するんだから」
あっさりとそう言ってのけるアイシャに、頭を抱える要。カウラは笑顔を浮かべながら二人を眺めている。
「すいません!クラウゼ少佐。机どこに置けば良いんですか?」
部屋に入った机を抱えてキムが叫んでいた。
「その本棚の隣!ちょっと待ってね!」
そう言うとアイシャは自室に入る。
「アイシャ残りのおもちゃの類はお前が運ぶのか?」
「ええ、アレは壊れると泣くからいいわよ。特に要は見るのも禁止!」
要は手をかざしてそのまま喫煙所に向かって歩いた。最後のダンボール箱を抱えて歩いてきた西が、ダンボール箱の山に止めを加えた。




