保安隊海へ行く 122
「へー、プレゼントしたんだ。良かったね!誠ちゃん!」
シャムが屈託の無い笑顔で誠を見つめる。誠は頭を掻きながらそんなシャムを見ていた。
「それにしても汚ねえ部屋だねえこりゃ」
「余計なお世話だ!」
部屋を見回す吉田の頭を小突く要。
「これじゃあカウラの部屋の方がまだましなんじゃねえか?」
カウラと言う言葉を聴いて、要の目に殺気がこもる。
「そんな目で見るなよ。それより後三時間後にあまさき屋に集合なんだけど、この様子じゃあすることないな」
「だったら帰れよ、な?」
敵意むき出しで吉田を見つめる要。
「あまさき屋で何するんですか?」
誠は要と吉田の間にさえぎるように体をねじ込んで尋ねる。
「聞いてないのか?アイシャには伝えたはずなんだけどな」
「忘れてるな。まああいつは引越しとなるとねえ……どれだけのものを持ち込むかわからねえからな」
気を落ち着かせようとタバコを取り出す要。
「明後日から俊平とアタシ、遼南に出張でーす!」
ライターに伸ばされた要の手が止まる。
「法術がらみだな」
「まあそう言うこと。遼南軍や警察でもかなり法術適正者が発見されたってことで、御子神さんの戦闘技術指導のお手伝いに行くってわけだ。まあ、隊長が監修した面白くもねえビデオ上映して、さらにこいつの原稿棒読みの講義とか……、とにかく詰まんねえことをしにいくわけだ」
シャムはふくれっつらをするが、特に言葉を出すわけではなかった。
「なるほどねえ、それであのアメリカさんの歓迎会を今日やるわけだ」
「それと俺等の壮行会な。しかし、まああのシンプソン中尉って結構かわいいよな」
突然、吉田から話題を振られて誠は周りを見回した。シャムは吉田にけなされたまんまの視線で誠を見つめる。タバコに火をつけた要だが、こういう場面でわざと視線を泳がせている時に下手なことを言えば何をされるかわからない。
「そうですね。特に胸が……」
地雷を踏んだ。そう誠が思ったとき、要は誠の右手に思い切り火の付いたタバコの先を押し付けた。




