保安隊海へ行く 123
「お前もそう思うか?そうだよなあ」
笑い始める吉田。しかし、誠は自分で言いだした話なのに横目で見つけた要の右手のタバコが震えるのを見て顔を引きつらせた。
「あれだな。形はたぶんアイシャかマリアさんの争いだが、大きさではどこかの人工巨乳を抜いてトップにたったな」
「おい、吉田。オメエいっぺん死んだ方が良いぞ……」
机に置いた銃に手を伸ばそうとする要だが、次の瞬間には銃はシャムの手の中にあった。
「だめだよ要ちゃん!こんなの持ち出したら。それよりのど渇いた!」
「じゃあビールでも飲むか!あるんだろ?」
マイペースな二人に肩をすくめた要がそのまま部屋を出て行った。
「いやあ、あいつからかうと面白れえな!」
「吉田少佐。むやみに挑発するの止めてくださいよ」
「ったく気の小さい奴だな」
「誠ちゃんは臆病だからね!」
あっけらかんと笑う二人についていけない誠。ドアが開いて手にした缶ビールをシャムと吉田に投げる要。
「ビール投げるなよ!泡吹くじゃねえか!」
そう言いながらプルタブを引き、吹き出す泡をうまく口の中に収める吉田。シャムはしばらく落ち着かせようと銃と一緒にテーブルの上に缶を置いた。
「邪魔するなよ」
そう言うと要は酒瓶を横に避けて床に置かれた端末の箱を開けた。
「とりあえずそれと寝袋だけか?運ぶのは」
「まあな。そう言うオメエ等は出張の準備は出来たのか?」
端末のコードを一本一本引き抜いてはまとめる要。
「俺はトランク一つあれば十分だ。シャム、お前はどうした?」
「あのね。あっちで買うから大丈夫。それにアイシャちゃんにアタシのチェックしている番組の録画も頼んだし」
「どうせ特撮とアニメだけだろ?」
一際長い電源コードをまとめる要。図星と言うように頭を掻くシャム。
「それにしてもずいぶん古い端末使ってんな。島田辺りに最新の奴選んでもらったらどうだ?」
「余計なお世話だ。それにこいつには胡州陸軍関係のデータも入ってる。そう簡単には交換できるもんじゃねえよ」
「ふーん」
特に関心も無いというように吉田はビールを飲みながら作業を続ける要を眺めていた。シャムはもう良いだろうと缶を開けたが、不意に吹き出した泡に慌てて口をつけた。




