保安隊海へ行く 121
「西園寺さん……」
誠の言葉よりも要の行動の方が素早かった。机の引き出しから愛銃XD40を取り出した要は、そのままベランダに出るための窓を静かに開けた。
ロープは静かに揺れている。誠はそのまま要の後ろをつけて行った。要はハンドサインで静かにするように伝えるとそのままロープの真下に座り込んだ。何者かが明らかにこのマンションを上ろうとしている。要は突如立ち上がると、ベランダの向こうにいる侵入者に銃を向けた。
「撃たないでー!」
間抜けなシャムの声が響く。誠はそのままベランダの下を見下ろした。シャムと吉田がマンションの壁面を登ってきていた。あまりに間抜けな光景に、誠は唖然とした。
「どうもー……」
消え入るような声で、ベランダに降り立つシャム。
「こいつ、結構使えるわ」
ベランダに降り立った吉田が左腕を前に突き出す。手首の辺りで腕が上下に裂け、中にグレネードランチャーの発射装置のようなものが見えた。
「なんだ、またギミック搭載したのかよ」
「まあな。でも結構便利だぞ。お前も今度義体換えるときやってみれば?」
そう言うと左腕を元の形に戻して要の寝室にさも当然と言うように入り込む。
「靴ぐらい脱げ!馬鹿野郎!」
要の叫び声に慌てて靴を脱ぐシャムと吉田。二人は靴を誠に手渡す。仕方なく誠は玄関に靴を運んで行った。
「今日は第一小隊は待機じゃないんですか?」
誠の言葉ににんまりと笑う吉田。
「どうせすることも無いからな。隊長が『要が神前を拉致ったらしいから様子を見てこいや』って言うもんで見に来たんだけど……なんもしてないんだな」
「オメエ等帰れ!黙っといてやるから今すぐ帰れ」
怒りに震える要。それを無視するようにシャムがとりあえずベッドの上に置いた誠がもらったゲームソフトに目を付ける。
「心物語だ!これって結構人気なんだよね。誰の?要ちゃんの?」
「うぜえんだよ餓鬼!そいつはアタシが誠に……」
勢いで吐きかけた言葉の意味を理解して要が口ごもる。吉田、シャムの二人はにんまりと笑いながら誠と要を見回した。




