保安隊海へ行く 114
「そう言やキムとエダの二人はどうしたんだ?」
「ごまかそうっていうの?あの二人なら私がトランクルーム借りる交渉に行ってくれてるのよ。もういくつか目星はつけてるんだけど、私のコレクションを収納するのにふさわしいところじゃなくっちゃね」
「苦労するねえ、キムの野郎も」
そう言うと要は立ち上がった。
「茜。車で来てるだろ?ちょっと乗せてくれよ、こいつと一緒に」
そう言って要は親指で誠を指差した。
「いいですけど、午後からお父様に呼び出されているので帰りは送っていけませんけど」
「良いって。誠、餓鬼じゃねえんだから一人で帰れるよな?」
特に深い意味の無いその言葉を口にする要。テーブルを拭いている島田とサラから哀れむような視線が誠に注がれた。
「まあ良いですよ。女将さん!手伝わなくて大丈夫ですか?」
「ありがとう、神前君。こっちはどうにかなりそうだから、……引越し組みは出かけていいわよ」
鍋を洗う春子の後ろで小夏がアカンベーをしているのが見える。
「じゃあ先に行くぜ、茜。車をまわしといてくれ」
そう言うと要は食堂を出る。茜と誠はその後に続いた。
「でもまあ、狭い部屋だねえ。まあ仕方ないか、なんたって八千円だもんな」
そう言いながら歩いていると菓子パンを抱えた西が歩いてきた。
「お前いたのか?」
「ちょっと島田准尉に頼まれてエアコンのガス買いに行ってたんで」
要と茜に見つめられて頬を染める西。
「ああ、食堂に近づかねえ方がいいぞ。アイシャ達が待ち構えているからな」
西は顔色を変えるとそのまま階段を駆け上がっていく。
「元気があるねえ、美しい十代って奴か?」
上機嫌に歩き出す要。そのままスリッパを脱ぐと下駄箱を漁り始める。
「その靴って、もしかしてバイクでいらしたの、要さん」
「おお、それがどうした?オメエなんか下駄で車の運転か?危ねえぞ」
「ちゃんと車では運動靴に履き替えます。それよりバイクはどうなさるおつもり?」
誠もようやくそのことに気がついた。
「どうせ明後日はこっから出勤するんだ。別に置きっぱでも問題ねえだろ」
「そうじゃなくて明日はどうなさるのってことですわ。私は明日は出勤ですわよ」
確かにこのことは誠も知りたいところだった。平然と『迎えに来い』などと言いかねない要のことである、心配そうに誠は要の顔色を伺った。




