保安隊海へ行く 111
「正人!カウラ!ご飯だよ!」
サラの声がフロアーに響く。掃除をしていた面々が一斉に立ち上がった。
「じゃあ行くぞ!」
そう言うと機嫌よく要は先頭に立って歩き出す。頭を押さえているパーラが食って掛かろうとするのをアイシャが手で押さえる。そんな様を楽しそうにに茜が眺めていた。
食堂には菰田達がすでに座って番茶をすすっていた。
「オメエ等、何してたんだ?」
要の剣幕に首をすくめながら、いかにも下品そうな笑いを浮かべる三人。
「どうせ二階でエロゲでも隠してたんじゃないの?」
アイシャは近くの湯飲みを取ると、ソンからやかんを取り上げて番茶を注いだ。
「なんだ、菰田達。いたのか」
そっけなく言ったカウラの言葉にヒンヌー教徒は身悶えんばかりの顔をした。
「あなた達ちょっとキモイわよ」
そう言うと隣のテーブルに座ったアイシャ。その隣に要が座り、その視線は誠に注がれている。選択の余地が無いというように誠は要の正面に座った。その隣に座ろうとするカウラをにらみつける要だが、カウラは気にせずそのまま座った。
「お待たせしました!やっぱり今日みたいな日はそうめんでしょ!」
そう言うと春子と小夏の親子がそうめんを入れた土鍋を持ってくる。
「女将さん、それじゃあ鍋でもやるみたいじゃないですか?」
「ちょうどいい大きさの器が無くって、ボールじゃあ味気ないし、すぐあったまっちゃうでしょ?」
「黙って食え!外道!」
小夏が叩きつけるようにめんつゆを要の前に置く、それに答えるように要も小夏をにらみつける。
「すいません!遅れました……ってそうめんですか!いいっすねえ」
機械油がしみこんだ手で額を拭いながら島田が現れる。続いてサラとパーラが大きなボトル入りのジュースを何本か抱えて入ってくる。
「じゃあこれは私達でいただきますね」
茜はそう言うと一番大きな鍋を持って島田とサラ、そしてパーラが着いたテーブルにそれを置いた。
「薬味はミョウガか。買ったのか?」
「ああ、それなら裏にいくらでも生えてますから」
島田がつゆの入ったコップに多量のねりがらしを入れている。
「島田さんそれじゃあ入れすぎ……」
心配そうに見守る茜。
「大丈夫よ、正人は辛いの好き……」
そう言いかけてサラの島田を見ていた目の色が変わる。島田が突然身悶えながらのけぞった。
「馬鹿が、入れすぎだったんだろ?」
その様子を見ながら要は静かにそうめんをすすった。




