番外編⑶ 俊介と麗音
番外編⑶「俊介と麗音」。
第4話では、主人公と藤宮麗華の家族同士の顔合わせをきっかけに、二つの家族の間に昔からさまざまなつながりがあったことが明らかになりました。
母親同士の美和子と美晴は、小学校から高校まで続く幼馴染で大親友。
父親同士の慶介と興毅は、親会社と子会社という関係を通じて何度か仕事で顔を合わせてきた仕事仲間。
そして今回は、その“下の世代”である俊介と麗音に焦点を当てます。
主人公の弟・俊介。
麗華の妹・麗音。
二人は同じ中学校に通う中学三年生。
しかも中学一年生から三年生まで、三年間ずっと同じクラスという不思議な縁があります。
これまではただのクラスメイト。
けれど家族同士の顔合わせを終えた今、二人の間には新しい秘密ができました。
藤宮麗華の恋人は、俊介の兄。
しかも二人はすでに同棲している。
学校で藤宮麗華の話題が出ても。
「彼氏っているの?」
と聞かれても。
俊介も麗音も、本当のことを話すことはできません。
姉を守るため。
兄を守るため。
そして、二人の静かな生活を守るため。
三年間同じ教室で過ごしてきた俊介と麗音が、今度は“同じ秘密を知る者同士”として、少しだけ新しい関係になっていく番外編です。
月曜日の朝。
中学校の正門には、いつもと変わらない登校風景が広がっていた。
「おはよう!」
「昨日の宿題やった?」
「英語のプリント忘れた!」
「今日、体育あるよな?」
中学三年生になって半年ほど。
受験という言葉も少しずつ現実味を帯び始めている。
そんな中。
校門を通り抜けた俊介は、昇降口へ向かって歩いていた。
主人公の弟。
そして――。
人気グラビアアイドル・藤宮麗華の恋人である兄を持つ、中学三年生。
もちろん。
学校では、その事実を誰にも話していない。
兄が藤宮麗華と付き合っていること。
さらに二人がすでに同棲していること。
それを知っているのは家族と麗華の事務所関係者だけだ。
俊介にとっても絶対に守らなければならない秘密だった。
「俊介」
後ろから声が聞こえる。
振り返る。
「おはよう」
「おはよう、麗音」
藤宮麗音。
麗華の妹。
そして俊介とは――。
中学一年生から三年間、ずっと同じクラス。
三年間連続。
偶然にしては出来すぎている。
一年生のクラス発表。
『また同じじゃん』
二年生のクラス発表。
『また?』
三年生。
『もうここまで来たら卒業まで一緒だね』
そんな会話をした。
しかし当時の二人は知らなかった。
俊介の兄と麗音の姉が、秘密裏に付き合うことになるなんて。
ましてや同棲まで始めるなんて。
そして自分たちの母親同士が小学校からの大親友で、父親同士まで仕事仲間だなんて。
先日の家族顔合わせで、二人とも一気に大量の事実を知ることになった。
「数学の宿題やった?」
麗音が聞く。
「やった」
「本当に?」
「何その疑い方」
「この前まだって言ってたじゃん」
「あれからやったんだよ」
「珍しい」
「俺を何だと思ってる?」
「宿題を提出日の朝にやる人」
「そんな毎回じゃない」
「去年何回見たかな」
「数えるなよ」
二人は話しながら校舎へ入る。
いつもと変わらない。
ただのクラスメイト。
そのはずなのに。
顔合わせのあとから、少しだけ関係が変わった。
お互いに知っている。
自分たちの兄と姉が恋人同士であることを。
◇◇◇
教室。
俊介が席に着く。
麗音も自分の席へ向かう。
二人は三年間同じクラスとはいえ、いつも隣の席というわけではない。
ただ席が近くなることは妙に多かった。
今年も俊介の二つ前が麗音の席。
ホームルームまでまだ時間がある。
クラスの男子数人が、スマートフォンを囲んでいた。
「見た?」
「何?」
「藤宮麗華!」
俊介の動きが一瞬止まる。
近くにいた麗音も、ほんの少し反応した。
「また新しい雑誌出るって」
「今週発売らしいぞ」
「マジ?」
「表紙」
「最近ずっと出てない?」
「めっちゃ売れてるじゃん」
俊介は何も言わない。
麗音も何も言わない。
これも日常だった。
藤宮麗華は人気グラビアアイドル。
中学生の間でも当然名前は知られている。
そしてこのクラスには――。
その藤宮麗華の実の妹がいる。
ただし麗音自身は、姉のことを必要以上に学校で話さない。
姉妹であること自体を完全に隠しているわけではない。
仲のいい友人の中には知っている者もいる。
しかし麗華の私生活について聞かれても、ほとんど答えない。
それは昔から家族で決めていたことだった。
「麗音」
女子生徒が近づいてくる。
「何?」
「またお姉ちゃん雑誌出るんでしょ?」
「らしいね」
「らしいねって、家族でしょ」
「仕事の細かい予定までは知らないもん」
これは半分本当。
麗華の仕事は忙しく、家族でもすべてのスケジュールを把握しているわけではない。
「彼氏とかいるの?」
突然の質問。
俊介が反射的に麗音を見る。
麗音も一瞬だけ俊介を見る。
目が合う。
二人とも――答えを知っている。
いる。
しかも麗音の目の前にいるクラスメイトの兄。
そして同棲までしている。
しかし麗音は平然と答えた。
「知らない」
「妹でも知らないの?」
「そういう話しないから」
「絶対知ってるでしょ!」
「知らないって」
「怪しいなあ」
女子たちは笑いながら離れていく。
俊介は自分の机で教科書を出す。
数秒後。
麗音が小さな声で言った。
「今笑いそうになったでしょ」
俊介も小声で答える。
「なってない」
「顔変だった」
「そっちも一瞬こっち見ただろ」
「だって突然彼氏って聞かれたから」
「俺も焦った」
「絶対言わないでよ」
「言うわけないだろ」
「本当に?」
「兄ちゃんに殺される」
「お姉ちゃんにも怒られるよ」
「それより事務所が怖い」
麗音が吹き出しそうになる。
「それ分かる」
先日の顔合わせ。
麗華の担当マネージャーから電話があり、
母親同士の関係。
父親同士の関係。
そして俊介と麗音が三年間同じクラスであること。
そのすべてを事務所側が把握していたと知った。
「事務所って俺たちのクラスまで知ってるんだよな」
「たぶんね」
「なんか変な感じ」
「でもお姉ちゃん守るためでしょ」
「兄ちゃんもな」
「うん」
二人は自然と真剣になる。
兄と姉の恋愛。
自分たちに直接関係ないと言えばそうなのかもしれない。
でも家族なのだから、無関係ではいられない。
秘密を守る。
それも二人ができる大切なことだった。
◇◇◇
昼休み。
俊介は教室で弁当を食べていた。
麗音は女子の友人たちと話している。
そこへ男子の一人が雑誌の話を持ち出した。
「そういえば俊介って、藤宮麗華みたいな人タイプ?」
俊介は飲んでいたお茶を危うく吹きそうになった。
「なんで俺?」
「なんとなく」
「知らん」
「タイプじゃない?」
俊介は困る。
人気グラビアアイドルとしてなら、確かに綺麗だと思う。
でも今や俊介にとって藤宮麗華は――。
兄の彼女。
そして家族ぐるみで付き合いのある相手。
昔のような芸能人を見る感覚とは少し違っている。
「綺麗だとは思う」
「だよな」
「でも彼女とかになると緊張しそう」
俊介は少し考える。
「……そうかな」
「絶対緊張するって!」
「でも家では普通なんじゃない?」
麗音が遠くから俊介を見る。
兄から聞いているわけではない。
ただ先日の顔合わせで麗華が主人公の隣にいる姿を見て、麗音も同じことを思った。
テレビの姉とは少し違う。
もっと普通に笑う。
少し甘える。
家族にからかわれて照れる。
麗音がずっと知っている姉の顔だった。
「芸能人でも普通の人だろ」
俊介が言った。
「夢ないこと言うなよ」
「そういう意味じゃなくて」
俊介は笑う。
「家では普通にご飯食べたり寝たりしてるだろってこと」
「それはそうだけど」
「俺たちと同じじゃん」
麗音は心の中で少し笑った。
――俊介、前よりお姉ちゃんのこと分かってる。
当然だ。
兄の彼女なのだから。
◇◇◇
午後。
体育の授業。
男子と女子は同じ体育館で、別メニューを行っていた。
授業後。
俊介が体育館を出ようとすると、後ろから麗音が走ってきた。
「俊介」
「何?」
「今日帰り少し時間ある?」
「あるけど」
「ちょっと話したい」
「ここじゃダメ?」
「家のこと」
それだけで理解した。
「分かった」
二人は放課後、少し遠回りして帰ることにした。
◇◇◇
午後四時。
学校から少し離れた公園。
制服姿の俊介と麗音がベンチに座っていた。
人は少ない。
「それで?」
俊介が聞く。
麗音は少し迷ったあと口を開いた。
「この前の顔合わせのこと」
「うん」
「どう思った?」
「どうって?」
「いろいろ」
俊介は思い出す。
母親同士が昔からの大親友。
父親同士が仕事で知り合い。
そして自分と麗音が三年間同じクラス。
「笑った」
「私も」
「偶然すごすぎるだろ」
「本当にね」
「特に母さんたち」
「あれびっくりした」
「顔合わせじゃなくて同窓会になってた」
「お母さん、帰ってからずっと美和子さんの話してたよ」
「うちも美晴さんの話してた」
二人で笑う。
そして麗音が少し真面目な顔になる。
「でも……」
「何?」
「お姉ちゃんと俊介のお兄さん、本当に仲いいんだね」
俊介は頷いた。
「俺もあの日改めて思った」
「家でのお姉ちゃん見た?」
「何回か」
「どう?」
俊介は少し考える。
「テレビと全然違う」
「でしょ?」
「普通のお姉さんって感じ」
「実際そうだよ」
「でも兄ちゃんの前だと……」
「何?」
「なんか楽しそう」
麗音が少し笑った。
「私もそう思った」
少し沈黙。
麗音は靴先を見る。
「私ね」
「うん」
「最初、お姉ちゃんから彼氏いるって聞いたとき、ちょっと心配だった」
「そうなの?」
「うん」
「なんで?」
「お姉ちゃん芸能人だし」
麗音は続ける。
「週刊誌とか、ファンとか、いろいろあるじゃん」
「そうだな」
「しかも相手が高校生って聞いたとき、もっとびっくりした」
俊介は苦笑する。
「俺も逆」
「逆?」
「兄ちゃんから彼女がいるって聞いて、相手が藤宮麗華だって知ったとき」
「どうだった?」
「絶対嘘だと思った」
麗音が笑う。
「ひどい」
「普通信じないだろ」
「まあね」
「テレビの人が兄ちゃんの彼女って言われてもな」
「でも本当だった」
「しかも同棲」
「そこ一番びっくり」
二人でまた笑う。
「でもさ」
俊介が言う。
「今はそんなに心配してない」
麗音が俊介を見る。
「なんで?」
「兄ちゃん、麗華さんのこと本当に大事にしてるみたいだから」
「分かる?」
「弟だから」
俊介は少し照れながら続ける。
「兄ちゃん、昔からそんなに自分のこと話さないんだけど」
「うん」
「麗華さんの話になると、ちょっと顔変わる」
「どんな?」
「嬉しそう」
麗音が笑った。
「お姉ちゃんも同じ」
「やっぱり?」
「うん」
麗音は少し遠くを見る。
「仕事で疲れてても、最近前より楽しそう」
「そうなんだ」
「スマホ見ながら笑ってること増えたし」
「それたぶん兄ちゃんだな」
「多分ね」
「確実だろ」
二人は自然に笑い合った。
◇◇◇
しばらくして。
麗音が言う。
「ねえ、俊介」
「何?」
「学校では絶対秘密にしようね」
「ああ」
「お姉ちゃんのためだけじゃなく」
「兄ちゃんも?」
「うん」
俊介も真剣に頷く。
学校で少しでも話せば、あっという間に広まる可能性がある。
『藤宮麗華の彼氏は高校生らしい』
『その弟がこの中学にいる』
『妹も同じクラス』
そんな情報がつながれば、家族全体が注目されるかもしれない。
「誰かに聞かれても知らないで通す」
俊介が言う。
「私も」
「家族の顔合わせのことも」
「言わない」
「母親同士のことも」
「それは普通に幼馴染って話なら問題ないかもしれないけど……」
「今は言わないほうがいいな」
「うん」
秘密を抱えるのは少し重い。
でも。
兄と姉が安心して過ごせるなら。
それくらいはできる。
「俺たち、秘密共有してるな」
俊介が笑う。
「変な感じ」
「三年間同じクラスなのに」
「今までこんな秘密なかったもんね」
「そりゃそうだろ」
麗音は俊介を見る。
「でも俊介なら安心かも」
「何が?」
「お姉ちゃんのこと」
俊介が一瞬戸惑う。
「俺が付き合ってるわけじゃないぞ」
「分かってるよ」
麗音が笑う。
「お兄さんの家族が俊介たちなら、安心って意味」
「それなら俺も」
「何?」
「兄ちゃんの彼女が麗華さんで良かったと思う」
麗音が少し嬉しそうに笑った。
「本人に言えば?」
「絶対言わない」
「なんで?」
「恥ずかしい」
「弟ってそういうもの?」
「妹も同じだろ」
「私は言えるよ」
「本当に?」
麗音は少し考えて。
「……たぶん」
「言えないじゃん」
「うるさい」
二人で笑った。
◇◇◇
翌日。
教室。
朝のホームルーム前。
クラスの女子が麗音に聞く。
「ねえ、麗音」
「何?」
「昨日お姉ちゃんテレビ出てたね!」
「うん」
「やっぱりすごいよね」
「ありがとう」
「彼氏いるのかなあ」
またその話。
麗音は一瞬だけ俊介を見る。
俊介も席で教科書を開きながら、こちらを見ないふりをしている。
麗音は笑って答えた。
「さあ。知らない」
「妹なのに?」
「知らないものは知らない」
女子たちは、
「絶対知ってるでしょ!」
と笑う。
少し離れた席。
俊介も心の中で笑う。
――いる。
藤宮麗華には彼氏がいる。
それも。
自分の兄。
でも言わない。
麗音も言わない。
二人だけが同じ秘密を共有している。
◇◇◇
昼休み。
今度は男子が俊介へ聞いた。
「藤宮麗華って、どんな男と付き合うと思う?」
俊介は一瞬考える。
「普通の人じゃない?」
「普通?」
「うん」
「俳優とかじゃなく?」
「別に芸能人じゃなくてもいいだろ」
「でも藤宮麗華だぞ?」
「本人が好きならいいんじゃない?」
俊介は自然に答えた。
少し離れた場所。
麗音にはその言葉が聞こえていた。
そして小さく笑った。
「麗音、どうしたの?」
友人に聞かれる。
「何でもない」
誰にも言わない。
この秘密は、守らなければならないものだから。
でも同時に。
俊介と麗音にとっては少しだけ特別な秘密になっていた。
◇◇◇
放課後。
二人は途中まで同じ道を歩いて帰っていた。
「また明日」
俊介が言う。
「うん。また明日」
麗音が数歩進んでから振り返る。
「俊介」
「何?」
「三年間同じクラスって、今考えるとすごいよね」
「今更?」
「だって」
麗音が笑う。
「お母さんたちも昔同級生で、私たちもずっと同じクラスで」
「ああ」
「お姉ちゃんと俊介のお兄さんまで付き合ってる」
「それな」
「なんか変」
「でも面白い」
「うん」
俊介も笑った。
「高校でも同じだったらどうする?」
麗音が聞く。
「まだ高校決まってないだろ」
「例えば」
「三年間同じだったら怖い」
「四年目突入」
「腐れ縁じゃん」
「お母さんたちみたい」
二人は顔を見合わせる。
そして同時に。
「それは嫌だ」
と言った。
一瞬の沈黙。
そのあと二人とも大笑いした。
「また明日!」
麗音が手を振る。
「おう」
俊介も手を上げた。
それぞれ別の道を歩いていく。
主人公と麗華の恋は、秘密。
世間には知られていない。
学校にも。
友人にも。
そして俊介と麗音も、その秘密を守る側になった。
中学一年生から三年間。
ずっと同じ教室で過ごしてきた二人。
これまでは、ただのクラスメイト。
それが今では――。
兄と姉の恋を知る、数少ない理解者同士でもある。
母親同士のような大親友になるのか。
父親同士のような別の関係が生まれるのか。
それとも卒業後、それぞれ別々の道へ進むのか。
まだ何も分からない。
ただ一つだけ。
三年間ずっと同じクラスだった二人には、これからもずっと忘れない秘密ができた。
藤宮麗華の恋人は――。
俊介の兄。
そして。
そのことを学校で知っているのは。
俊介と麗音、二人だけ。
「絶対秘密」
そう約束した二人の中学校生活は。
卒業の日まで、もう少しだけ続いていく。
番外編⑶「俊介と麗音」を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は主人公や麗華ではなく、その弟と妹である俊介と麗音を中心に描きました。
中学一年生から三年生まで。
偶然にも三年間ずっと同じクラスになった二人。
これまでも学校では普通に話し、宿題や授業、行事についてやり取りする、ごく自然なクラスメイト同士でした。
しかし家族同士の顔合わせを境に、その関係には一つの大きな秘密が加わりました。
俊介の兄と、麗音の姉・藤宮麗華が恋人同士であること。
さらに二人がすでに同じ家で暮らしていること。
学校では誰にも言えない秘密です。
特に麗音は、友人から、
「お姉ちゃんに彼氏っているの?」
と聞かれることがあります。
本当は知っている。
でも答えられない。
そして俊介もまた、
「藤宮麗華ってどんな男と付き合うんだろう」
という話題を聞きながら、本当の答えを胸の中にしまっています。
彼氏はいる。
芸能人でも俳優でもない。
普通の高校三年生。
そして自分の兄。
そんな大きな秘密を、俊介と麗音は一緒に守る側になりました。
今回特に描きたかったのは、二人がそれぞれの兄と姉をどう見ているかという部分です。
俊介から見れば、兄は麗華といると少し嬉しそうになる。
麗音から見れば、姉は主人公と一緒にいると芸能人の顔ではなく、ごく普通の二十歳の女性に戻っている。
家族だからこそ分かる、ほんの少しの変化。
それをお互いに話したことで、俊介と麗音も少しずつ二人の交際を安心して見守れるようになりました。
また、
「学校では絶対秘密にしようね」
という二人の約束も大切なものになっています。
麗華のためだけではありません。
主人公はまだ高校生。
もし交際が広まれば、学校生活や家族にまで注目が集まる可能性があります。
だからこそ俊介と麗音は、自分たちにも守れるものがあると考えています。
そして今回の最後。
「高校でも同じだったらどうする?」
という麗音の言葉。
三年間連続で同じクラスだった二人が、高校でもまた同じ学校、同じクラスになるのか。
それとも卒業を機に別々の道へ進むのか。
今の時点ではまだ分かりません。
ただ、母親同士の美和子と美晴も、かつて長い学生時代を一緒に過ごしていました。
そして今、子どもたちの世代でも不思議な縁が続いています。
主人公と麗華。
俊介と麗音。
美和子と美晴。
慶介と興毅。
それぞれ違う形でつながっていく二つの家族。
番外編⑶では、その中でも一番若い二人が共有する、誰にも言えない小さな秘密を描きました。
今はまだ、ただのクラスメイト。
けれど卒業後も、この三年間と秘密を共有した時間は、きっと二人にとって忘れられないものになっていくはずです。




