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『俺の彼女はグラビアアイドル』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第一章 藤宮麗華編
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8/28

閑話 二人の一般男性――グラビアアイドルを愛する者同士、初めての二人飯


今回の閑話では、第一章と第二章の主人公が、ついに初めて二人だけで食事をします。


以前の二人は、共通の友人・横谷梨紅を通じて何度か顔を合わせただけの関係。


顔と名前は知っている。


会えば挨拶もする。


しかし二人きりで遊んだことはなく、連絡先すら交換していませんでした。


そんな二人を大きく近づけたのが――藤宮麗華と白河綾音。


第一章の主人公の妻は、グラビアアイドルの藤宮麗華。


第二章の主人公の彼女は、同じくグラビアアイドルの白河綾音。


一方はすでに秘密の恋愛を乗り越えて結婚した夫婦。


もう一方は、これから秘密の恋を育てていく恋人同士。


立場は少し違っていても、一般男性として人気グラビアアイドルを愛する二人には、普通の友人にはなかなか相談できない共通の悩みがあります。


週刊誌。


SNS。


人目を避けるデート。


職場で広がる恋愛の噂。


そして、大切な女性の芸能活動を守りながら、自分たちらしい恋愛を続けること。


第二章の主人公にとって、麗華の夫は少しだけ先を歩いている存在でもあります。


今回はそんな二人が、初めて真正面から互いの恋について語り合います。


そして話題はやがて、二人を最初につないでいた横谷梨紅へ。


「今度は梨紅も入れて、三人で飯行く?」


かつて梨紅がいなければほとんど話すことのなかった二人。


今度は二人のほうから梨紅を誘うことになります。


ただし――。


梨紅はまだ、二人がそれぞれ藤宮麗華と白河綾音のパートナーであることを知りません。


昔とはまったく違う関係になった三人が、再び同じテーブルを囲む未来へつながる閑話です。



金曜日。


午後七時を少し過ぎた頃。


俺は会社を出て、駅から少し離れた場所にある居酒屋へ向かっていた。


今日会う相手は綾音ではない。


会社の同僚でもない。


そして、横谷梨紅でもない。


藤宮麗華の夫。


第一章の主人公だ。


以前、麗華と綾音を交えた四人で食事をしたとき。


俺から、


「今度、二人で飯行かない?」


と誘った。


あのときは軽い気持ちもあった。


けれど、実際に約束の日が近づいてくると、聞いてみたいことがいくつも浮かんできた。


何しろ相手は――。


俺より先に、グラビアアイドルとの秘密の恋愛を経験している。


しかも今では、その相手である藤宮麗華と結婚している。


俺にとっては、少し先を歩いている人でもあった。


スマートフォンが震える。


『着いた』


俺は返信する。


『俺ももうすぐ』


数分後。


店の前。


見覚えのある男が立っていた。


「お疲れ」


「お疲れ」


以前なら。


横に梨紅がいた。


あるいは。


四人で会ったときなら、麗華と綾音がいた。


でも今日は。


俺たち二人だけ。


「何か変な感じだな」


俺が言う。


「分かる」


「二人だけで会うの初めてだよな」


「初めて」


「昔は梨紅がいないと会うこともなかったし」


「そもそも連絡先知らなかったからな」


「そうだった」


二人。


少し笑う。


そして。


店へ入った。


◇◇◇


案内されたのは奥の半個室。


俺たちは向かい合って座る。


飲み物を注文。


料理も何品か頼む。


そして。


グラスが届いた。


「じゃあ」


「何に乾杯する?」


「またそれ?」


「この前も四人でやったから」


少し考える。


俺は笑った。


「グラビアアイドルを彼女と妻に持つ男同士」


向こうも笑った。


「長いな」


「じゃあ秘密を守る男同士」


「それも怪しい」


結局。


「まあ、普通に」


「お疲れ」


「お疲れ」


グラスを合わせた。


◇◇◇


最初は。


普通の話だった。


仕事。


最近忙しいか。


休日は何をしているか。


梨紅とは最近会ったか。


昔、梨紅を通じて会ったときの話。


「そういえば」


俺が聞く。


「最初に会ったのいつだった?」


「覚えてる?」


「はっきりとは」


「俺も」


「梨紅が何人か集めたときじゃなかった?」


「ああ、あれか」


「多分」


「俺、お前と何話した?」


「ほとんど話してない」


「だよな」


「梨紅がずっと喋ってた」


「あいつそういうところあるからな」


二人。


笑う。


本当に。


それくらいの関係だった。


顔を知っている。


名前も知っている。


でも。


詳しいことは知らない。


それなのに。


今は。


互いに誰にも簡単には言えない共通点を持っている。


料理が届く。


少し食べてから。


向こうが俺を見る。


「で」


「何?」


「今日は俺に聞きたいことがあるんじゃないの?」


俺は箸を止める。


「分かる?」


「四人で会ったとき、そんな感じだったから」


「まあ」


俺は少し考える。


「ある」


「何?」


「麗華さんと付き合ってたとき」


「うん」


「怖くなかった?」


相手の表情が。


少しだけ変わった。


「何が?」


「バレること」


俺は続ける。


「週刊誌とか」


「うん」


「SNSとか」


「うん」


「普通に出かけてるだけなのに、誰かに写真撮られるかもしれない」


「あるな」


「俺は会社員だから」


「うん」


「もし綾音とのことが知られたら、俺だけじゃなくて会社にまで迷惑がかかる可能性もある」


少し間。


「最近、会社で綾音の恋愛の噂が結構出てる」


「もう?」


「彼氏いるんじゃないかって」


「相手までは?」


「全然」


「なら、まだ大丈夫だと思う」


「でも」


俺は苦笑する。


「この前、『お前だったりして』って言われた」


向こう。


一瞬。


止まる。


「マジ?」


「すぐ『ないか』って笑われたけど」


「危ないな」


「だろ?」


「そのときどうした?」


「一緒に笑った」


「それが一番いい」


「やっぱり?」


「そこで変に否定しすぎても怪しい」


なるほど。


俺は頷いた。


「麗華さんのときもあった?」


「もちろん」


「どんな?」


「似たようなもの」


彼は少し笑う。


「芸能人って、少し雰囲気が変わっただけで『恋してるんじゃない?』って言われるから」


「綾音も言われてる」


「麗華もあった」


「やっぱり」


「でも一番怖いのは」


「何?」


「俺たち一般人側が油断すること」


俺は。


少し真剣になる。


◇◇◇


「芸能人側は普段から撮られることを意識してる」


「うん」


「でも俺たちは違う」


「確かに」


「普通に歩く」


「うん」


「普通にスマホを見る」


「うん」


「普通に知り合いと話す」


「うん」


「だから、無意識の行動からつながることもある」


俺は。


綾音とのことを思い返す。


駅。


公園。


家。


短い時間のデート。


「だからって」


彼は続ける。


「ずっとビクビクしてたら続かない」


「それ、前も言ってたよな」


「そう」


「二人のルールを決めるって」


「うん」


「俺たちも少しずつ決めてる」


「例えば?」


「人が多いところでは距離を取る」


「うん」


「外で無理に手をつながない」


「うん」


「何か変な噂が出たら、綾音だけで判断しないで事務所にも相談する」


「いいと思う」


「あと」


俺は笑う。


「家では普通にする」


向こうも笑った。


「それが一番大事かもな」


◇◇◇


しばらくして。


俺から聞く。


「結婚するときは?」


「何?」


「怖くなかった?」


少し。


沈黙。


「怖かったよ」


意外だった。


「そうなんだ」


「そりゃそうだろ」


「もっと迷わなかったのかと思ってた」


「迷うよ」


彼は。


グラスを置いた。


「麗華はグラビアアイドル」


「うん」


「俺は一般男性」


「うん」


「結婚するってことは、付き合ってるとき以上に責任がある」


俺は黙って聞く。


「でも」


「うん」


「最後は肩書きじゃなかった」


彼が言う。


「藤宮麗華と結婚するって考えた」


俺は。


その言葉を。


頭の中で繰り返す。


藤宮麗華。


グラビアアイドル。


ではなく。


藤宮麗華という女性。


「綾音さんも同じじゃない?」


突然。


聞かれる。


「え?」


「お前にとって」


「……うん」


「白河綾音という有名人と付き合ってるのか」


「うん」


「それとも」


少し間。


「綾音さんという一人の女性と付き合ってるのか」


俺は。


すぐ答えられた。


「後者」


「だろ?」


「うん」


迷わない。


テレビの中。


雑誌の中。


撮影現場。


そこにいる綾音も。


もちろん綾音。


でも。


俺が好きになったのは。


俺の家で笑って。


料理を作って。


映画の結末を外して悔しがって。


「会いたい」


と言ってくれる。


一人の女性。


白河綾音だった。


「だったら」


彼は言う。


「今はそれでいいんじゃない?」


「……そうだな」


◇◇◇


料理を追加。


今度は。


少し軽い話へ変わる。


「ところで」


彼が聞く。


「綾音さん、家に来るんだろ?」


「来る」


「家族公認?」


「父さんと母さんと妹は知ってる」


「珠香ちゃんだっけ?」


「そう」


「麗音ちゃんの昔の同級生」


「そう」


「本当にすごいな」


「そっちもだろ」


「何が?」


「俊介くんと麗音ちゃん」


「ああ」


「中学で三年間同じクラス」


「そう」


「しかも俺の母さんと麗華さんのお母さん」


「昔の仕事仲間」


「それ」


二人。


顔を見合わせる。


「つながりすぎだろ」


「この前も思ったけど」


「相関図作れるよな」


「かなり複雑なやつ」


笑う。


そして。


俺は。


ふと思う。


「梨紅だけ何も知らないんだよな」


彼も。


「ああ」


「俺たちが今日会ってることも?」


「知らないと思う」


「俺も言ってない」


「俺も」


「何か」


俺は笑う。


「梨紅が一番中心にいるように見えて、一番何も知らないな」


「確かに」


二人。


また笑った。


◇◇◇


「でもさ」


俺は。


料理を取りながら言った。


「今度」


「うん?」


「梨紅も入れて三人で飯行く?」


彼が。


少し驚いた。


「俺とお前と梨紅?」


「そう」


「いいかもな」


「昔は梨紅が真ん中にいて」


「俺たち二人はほとんど話さなかった」


「でも今なら」


俺は笑う。


「普通に三人で話せそう」


「確かに」


「ただ」


「うん」


「綾音のことは言えない」


「麗華のこともな」


「そこなんだよ」


二人。


考える。


梨紅。


俺たち二人と仲が良い。


でも。


俺と綾音。


彼と麗華。


その関係は。


梨紅には知らされていない。


「絶対聞かれるよな」


俺が言う。


「何で急に二人仲良くなったのって」


「聞かれる」


「どうする?」


「適当に」


「一番怪しいやつ」


「じゃあ」


彼が考える。


「この前偶然会って、久しぶりに話したら意外と気が合った」


「嘘ではない?」


「完全な嘘ではない」


「四人で会ったことを省略してるだけ」


「そう」


俺は笑う。


「それでいくか」


「でも梨紅、鋭いときあるからな」


「そうなんだよ」


「お前、彼女できたこと言ってる?」


「いるとは言った」


「誰かは?」


「言ってない」


「俺も結婚の詳しいことまでは話してない部分あるからな」


「じゃあ余計に危ないな」


「まあ」


彼は笑う。


「そのときはそのとき」


「軽いな」


「秘密を言わなければいいだけだろ」


「それもそうか」


◇◇◇


俺は。


スマートフォンを取り出す。


「今連絡する?」


「梨紅に?」


「うん」


「早くない?」


「予定決めるだけ」


「まあいいけど」


俺は。


三人のグループを作ろうとして。


止まる。


「……俺、お前と梨紅それぞれ個別しかない」


「俺も」


「じゃあグループ作る」


「任せた」


新しいグループ。


俺。


第一章の主人公。


横谷梨紅。


三人。


作成。


そして。


『今度三人で飯行かない?』


送信。


数秒。


既読。


梨紅。


早い。


『何でこの三人?』


俺たち。


同時に。


笑った。


「ほら!」


「やっぱり来た」


続いて。


『お前らいつからそんな仲良くなった?』


俺。


彼を見る。


「何て返す?」


「さっき決めたやつ」


俺は。


入力。


『最近久しぶりに話したら意外と気が合った』


送信。


梨紅。


『どこで?』


「鋭い!」


「だから言っただろ」


『たまたま』


送る。


『怪しい』


俺たち。


爆笑。


さらに。


『まあいいけど』


『俺は行ける』


俺。


「行けるって」


「じゃあ日程決めよう」


こうして。


次は。


三人。


横谷梨紅を含めた。


久しぶりの食事が。


決まり始めた。


◇◇◇


それから。


俺たちは。


もう少しだけ話した。


恋人との時間。


仕事。


家族。


そして。


芸能人と一般人という違い。


俺が聞く。


「麗華さんと結婚して」


「うん」


「一番変わったことって何?」


彼は。


少し考える。


「帰る場所かな」


「帰る場所?」


「うん」


「どういう意味?」


「昔は麗華に会う時間を作ってた」


「うん」


「今は家に帰れば麗華がいる」


その言葉。


少しだけ。


羨ましいと思った。


俺と綾音は。


まだ恋人。


会う日を決める。


時間を合わせる。


仕事の予定を確認する。


人目を避ける。


そして。


夜になれば。


別々の場所へ帰る。


「いいな」


俺が言う。


「何が?」


「家に帰ったら彼女がいるって」


「妻だけどな」


「そうだった」


「でも」


彼が俺を見る。


「お前たちはお前たちのペースでいいだろ」


「分かってる」


「焦る必要ない」


「うん」


「綾音さんにも仕事がある」


「そうだな」


「お前にも仕事がある」


「うん」


「二人で決めればいい」


俺は。


頷いた。


◇◇◇


午後十時前。


店を出る。


夜風。


少し涼しい。


「今日はありがとう」


俺が言う。


「何が?」


「色々聞けた」


「大したこと言ってない」


「いや」


少し考える。


「同じ立場の男がいるって思うだけでも結構違う」


彼は。


少し笑う。


「俺も」


「え?」


「今までは」


彼が言う。


「麗華の仕事仲間はいても」


「うん」


「その彼氏とか旦那と、こうやって二人で話すことはなかったから」


「そうなんだ」


「だから」


俺を見る。


「俺にとっても初めて」


俺は笑った。


「じゃあお互い様か」


「そういうこと」


駅。


分かれ道。


「じゃあ」


「また」


「次は梨紅?」


「多分」


「秘密バレないようにしないとな」


「お前が顔に出すなよ」


「そっちこそ」


二人。


笑う。


「じゃあな」


「また」


俺たちは。


別々の方向へ歩き出した。


◇◇◇


帰りの電車。


スマートフォンが震える。


綾音。


『ご飯終わった?』


俺。


『終わった』


『どうだった?』


少し考えて。


『楽しかった』


すぐに。


『よかった』


『何話したの?』


俺。


『色々』


『私のことも?』


『少し』


『何言ったの?』


『秘密』


『ずるい』


俺は笑う。


そして。


『でも』


『何?』


『色々参考になった』


綾音。


『麗華ちゃんの旦那さんに?』


『うん』


『よかったね』


そして。


少しして。


『友達になれそう?』


俺は。


画面を見る。


昔。


俺たちは。


友達ではなかった。


横谷梨紅。


その共通の友人を通して。


何度か顔を合わせただけ。


名前を知っている。


顔を知っている。


少し話したことがある。


それだけ。


でも。


今日。


二人だけで食事をした。


互いの恋愛について話した。


悩みも話した。


笑った。


次の約束までした。


俺は。


返信する。


『もう友達でいいんじゃない?』


綾音。


『ふふっ』


『よかった』


そして。


『次は?』


俺。


『梨紅も入れて三人で飯行くかも』


少し。


間。


『大丈夫?』


何を心配しているのか。


すぐ分かった。


『俺たちのことは言わない』


『麗華ちゃんたちのことも?』


『もちろん』


『なら安心』


そして。


最後。


『でもいつか』


俺。


『何?』


『梨紅さんにも話せる日が来るといいね』


俺は。


その文章を。


しばらく見ていた。


いつか。


俺と綾音。


麗華と彼。


二組の関係を。


梨紅にも。


普通に話せる日。


今はまだ。


来ていない。


でも。


いつか。


そんな日が来るのかもしれない。


◇◇◇


藤宮麗華の夫。


白河綾音の彼氏。


二人とも。


一般男性。


そして。


愛する女性は。


グラビアアイドル。


片方は。


すでに夫婦。


片方は。


まだ恋人。


立場は少し違う。


歩いてきた時間も違う。


それでも。


人目を気にすること。


相手の仕事を守りたいこと。


普通の恋人同士のように過ごしたいこと。


そして。


芸能人ではなく。


一人の女性として愛していること。


二人には。


思っていた以上に。


共通するものがあった。


かつては。


横谷梨紅を通して。


何度か顔を合わせただけだった二人。


それが今では。


梨紅を抜きにして。


二人で食事をする。


そして次は。


その梨紅を加えて。


三人で。


昔とは少し違う関係で。


同じテーブルを囲むことになりそうだ。


俺の彼女は。


グラビアアイドル。


彼の妻も。


グラビアアイドル。


そんな秘密を共有できる。


新しい友人が。


俺にも。


一人。


できたのだった。



閑話「二人の一般男性――グラビアアイドルを愛する者同士、初めての二人飯」を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


今回は、第一章と第二章の主人公が初めて二人きりで食事をしました。


以前なら考えられなかった組み合わせです。


二人には共通の友人・横谷梨紅がいます。


しかし、もともと主人公同士が仲良かったわけではありません。


梨紅を含めた複数人で何度か会ったことがある程度。


当時どんな話をしたのかすら、二人ともほとんど覚えていません。


そんな“友達の友達”だった二人が、今では直接連絡を取り合い、二人だけで食事へ行くようになりました。


その最大の共通点が――グラビアアイドルとの恋です。


第一章の主人公には、藤宮麗華という妻がいる。


第二章の主人公には、白河綾音という彼女がいる。


特に今回は、第二章の主人公が抱えている不安を麗華の夫へ打ち明けました。


最近、主人公の会社では、


「白河綾音には彼氏がいるんじゃないか」


という話題が増えています。


しかも以前には冗談ながら、


「お前だったりして」


とまで言われました。


もちろん周囲はすぐに、


「ないか!」


と笑っています。


それでも、本当の彼氏である主人公からすれば一瞬ドキッとする言葉です。


そんな主人公に対し、麗華の夫は自分自身の経験から話してくれました。


芸能人側だけではなく、一般人側も気をつける。


けれど、何もかも禁止して二人とも疲れてしまわないようにする。


そして二人なりのルールを作る。


麗華との秘密の交際を経験してきたからこその言葉です。


そして今回、主人公がもう一つ聞いたこと。


「結婚するときは怖くなかった?」


麗華の夫の答えは、


「怖かったよ」


でした。


グラビアアイドルとの結婚。


一般男性である自分との生活。


仕事への影響。


周囲への秘密。


いろいろなことを考えた。


それでも最後に考えたのは、


“グラビアアイドルの藤宮麗華と結婚する”


ということではなく、


“藤宮麗華という一人の女性と結婚する”


ということでした。


そして第二章の主人公も同じです。


主人公が好きなのは、“人気グラビアアイドル”という肩書きではありません。


家で笑う綾音。


料理を作る綾音。


映画を一緒に見る綾音。


「会いたい」と連絡をくれる綾音。


そんな一人の女性としての白河綾音です。


二人の主人公は、立場こそ違います。


一人は夫。


一人は彼氏。


それでも、互いに理解できることは思っていた以上にたくさんありました。


そして食事の途中。


話題は、二人の共通の友人である横谷梨紅へ。


「今度、梨紅も入れて三人で飯行く?」


という第二章の主人公からの提案。


昔は梨紅が二人をつないでいました。


梨紅と第一章の主人公。


梨紅と第二章の主人公。


それぞれは仲が良くても、主人公同士は顔見知り程度。


しかし今度は逆です。


仲良くなった二人の主人公が、梨紅を誘います。


さっそく三人のグループを作り、


「今度三人で飯行かない?」


と送信。


すると梨紅から返ってきたのは、


「何でこの三人?」


そして、


「お前らいつからそんな仲良くなった?」


という当然の疑問でした。


二人が、


「最近久しぶりに話したら意外と気が合った」


と説明しても、


「どこで?」


「怪しい」


と追及してくる梨紅。


もちろん二人は、


“藤宮麗華と白河綾音を交えて四人で会った”


とは言えません。


梨紅はまだ何も知らないからです。


自分と仲の良い二人の男性。


その一人が藤宮麗華の夫であり、もう一人が白河綾音の彼氏だとは、夢にも思っていません。


そして今回の最後。


綾音から主人公へ、


「友達になれそう?」


と聞かれました。


主人公の答えは、


「もう友達でいいんじゃない?」


でした。


かつては“横谷梨紅の友達”。


今では、梨紅がいなくても二人で会える友人。


しかも普通の友人には話しにくい悩みまで共有できる関係です。


そして次は――。


横谷梨紅。


第一章の主人公。


第二章の主人公。


三人での食事。


梨紅は、二人が急に仲良くなった本当の理由を知りません。


果たして二人は秘密を守ったまま、昔とは少し違う三人の時間を楽しめるのでしょうか。


そしていつか。


主人公と白河綾音。


第一章の主人公と藤宮麗華。


二組の本当の関係を、梨紅へ話せる日はやってくるのでしょうか。


“友達の友達”だった二人が、“同じ秘密を理解できる友人”へ。


二人の主人公の新しい友情が、本格的に始まった閑話となりました。


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