番外編⑴ 一年ぶりの再会――珠香と麗音、まだ知らない二つの家族の秘密
第二章「白河綾音編」の番外編⑴。
今回は主人公と綾音ではなく、主人公の妹・珠香と、第一章「藤宮麗華編」に登場した麗華の妹・麗音にスポットを当てた番外編です。
実はこの二人――小学校時代の同級生でした。
同じクラスで過ごし、席や班が近くなったことをきっかけに仲良くなった珠香と麗音。
進学や生活環境の変化によって直接会う機会は減っていましたが、今回、ショッピングモールで偶然にも一年ぶりの再会を果たします。
しかし。
二人は昔からの知り合いでありながら、お互いの家族が抱えている“プライベートな秘密”については、ほとんど知りません。
珠香の兄が付き合っている女性は――白河綾音。
麗音の姉は――藤宮麗華。
そして藤宮麗華と白河綾音は、同じグラビアアイドルとして活動する仕事仲間。
珠香は兄に綺麗な彼女がいることを麗音へ話しますが、その正体が白河綾音だとは言えません。
一方の麗音も、姉・麗華が一般男性と結婚したことは世間に公表されていても、夫についての詳しいプライベートを珠香へ話すことはありません。
昔から知っている二人。
けれど、お互いが知らないところで二つの家族はすでにつながり始めています。
第一章と第二章を結ぶ、もう一つの意外な縁。
珠香と麗音の一年ぶりの再会を描く番外編です。
土曜日の午後。
駅前にある大型ショッピングモールは、多くの買い物客で賑わっていた。
家族連れ。
学生。
カップル。
友達同士。
その中を、一人の少女が歩いていた。
俺の妹――珠香。
今日は友達と出かける予定だったのだが、相手が急用で来られなくなってしまい、一人で買い物をすることになったらしい。
「せっかく来たんだし……本屋でも寄ろうかな」
珠香はスマートフォンをバッグへしまうと、エスカレーターで上の階へ向かった。
兄である俺は今日、仕事。
父・亮介も仕事。
母・稀衣は家にいる。
そして――。
つい先日。
この家には、普通なら絶対に来ることのない女性が泊まっていった。
人気グラビアアイドル。
白河綾音。
俺の彼女。
珠香も当然、その事実を知っている。
むしろ初対面のときには、
「本物……」
と固まっていたくらいだった。
しかし。
そんな珠香自身も知らなかった。
自分の昔の同級生にも。
珠香と少し似た“芸能界に関係する家族の秘密”があることを。
◇◇◇
「んー……どこだろ」
珠香は書店の中を歩いていた。
欲しかった本を探している。
新刊コーナー。
文庫。
コミック。
雑誌。
そして。
芸能雑誌のコーナー。
珠香の足が止まった。
「あっ」
表紙に見覚えのある顔。
白河綾音。
「綾音さんだ」
以前なら。
ただテレビや雑誌で見るグラビアアイドル。
それだけだった。
しかし今は違う。
――兄の彼女。
しかも先日。
自分の家に泊まった。
一緒に話もした。
『初めまして。白河綾音です』
あのときのことを思い出す。
「……未だに信じられない」
珠香は小さく笑った。
兄が。
白河綾音と付き合っている。
学校時代の友達へ言っても、絶対に信じてもらえないだろう。
そもそも。
言ってはいけない。
事務所も把握している秘密の交際。
珠香も兄から、
「絶対に誰にも言うなよ」
と念を押されている。
「分かってるって」
誰もいないのに。
小さく呟いた。
そのとき。
少し離れた場所から。
「……珠香?」
自分の名前。
珠香が振り返った。
「え?」
そこに。
一人の少女が立っている。
年齢は珠香と同じくらい。
どこかで見たことがある。
いや。
見たことがあるどころではない。
「……麗音?」
少女の表情が一気に明るくなった。
「やっぱり珠香!」
「麗音!?」
藤宮麗音。
第一章のヒロイン。
人気グラビアアイドル・藤宮麗華の妹。
そして。
珠香が小学校時代に同じクラスだった同級生。
「久しぶり!」
「久しぶり!」
二人は。
顔を見合わせる。
そして。
ほぼ同時に笑った。
「一年ぶりくらい?」
珠香が聞く。
「それくらい!」
「全然変わってない!」
「珠香も!」
「いや変わったでしょ!」
「髪ちょっと伸びた?」
「伸ばしてる」
「やっぱり!」
まさか。
こんな場所で。
一年ぶりに再会するとは思わなかった。
◇◇◇
珠香と麗音。
二人が初めて知り合ったのは小学生の頃。
同じクラスになったことがきっかけだった。
最初から特別仲が良かったわけではない。
席が近かった。
班が同じになった。
学校行事で一緒になった。
そんな普通のきっかけ。
でも。
気づけば。
学校でよく話すようになっていた。
放課後。
宿題。
学校行事。
好きなテレビ。
流行っている音楽。
本当に。
どこにでもいる小学生同士。
その後。
進学や生活環境の変化もあり、以前ほど頻繁には会わなくなった。
連絡先は残っている。
たまにメッセージもする。
でも。
直接顔を合わせるのは。
約一年ぶり。
「一人?」
麗音が聞く。
「うん。友達と来る予定だったんだけど、急に来られなくなって」
「私も一人」
「じゃあ一緒に回る?」
「いいの?」
「もちろん」
「やった」
こうして。
偶然再会した二人は。
一緒にショッピングモールを回ることになった。
◇◇◇
洋服。
雑貨。
コスメ。
本屋。
久しぶりだから。
話したいことはいくらでもあった。
「そういえば珠香、今どうしてる?」
「普通だよ」
「普通って何?」
「普通に学校行って、友達と遊んで」
「それ普通」
「だから言ったじゃん」
二人で笑う。
「麗音は?」
「私も似たような感じ」
「家族元気?」
何気ない質問。
「元気だよ」
麗音が答える。
「珠香のところは?」
「元気」
「お兄さんも?」
「うん」
珠香は普通に答えた。
しかし。
ここで。
二人はそれ以上踏み込まない。
珠香は知らない。
麗音の姉。
藤宮麗華の家庭の詳しい事情を。
もちろん。
麗華が一般男性と結婚したこと自体は公表されている。
ニュースにもなった。
だから。
それくらいは珠香も知っている。
しかし。
夫が誰なのか。
どんな人物なのか。
家族の間でどんな生活をしているのか。
麗音とどんな関係なのか。
そんなプライベートまでは知らない。
一方。
麗音も知らない。
珠香の兄が。
白河綾音の彼氏だということを。
まして。
白河綾音が先日。
珠香の家へ泊まりに来たことなど。
知るはずもない。
◇◇◇
二人はカフェへ入った。
飲み物。
ケーキ。
向かい合って座る。
「懐かしいね」
珠香が言う。
「何が?」
「小学校」
「懐かしい」
「同じ班になったことあったよね?」
「あった!」
「麗音、給食のとき牛乳倒した」
「ちょっと!」
「覚えてる?」
「忘れてたのに!」
「私のところまで流れてきた」
「ごめんって!」
二人で笑う。
一年ぶり。
それでも。
話し始めれば。
昔と変わらない。
「そういえば」
麗音がストローを触りながら聞いた。
「珠香のお兄さんって、今働いてるんだっけ?」
「うん」
「どんな会社?」
「普通の会社」
「また普通」
「本当に普通だから」
珠香は笑う。
確かに。
兄の勤務先そのものは普通。
ただし。
その兄の恋人は。
全然普通ではない。
白河綾音。
それだけは。
言えない。
「彼女とかいるの?」
麗音が何気なく聞いた。
「……っ」
珠香。
一瞬。
固まる。
「何?」
「いや」
「いるの?」
「えっと……」
これは。
困る。
嘘をつく?
でも。
本人から。
交際そのものまで絶対否定しろとは言われていない。
ただ。
白河綾音だということは絶対に言えない。
「……いるよ」
「本当に!?」
「うん」
「へえ!」
麗音が少し身を乗り出す。
「どんな人?」
来た。
「優しい人」
「それだけ?」
「綺麗」
「お兄さんの彼女、綺麗なんだ」
「うん」
グラビアアイドルだから。
当然。
とは言えない。
「会ったことある?」
「ある」
「家にも?」
珠香。
一瞬。
あの夜を思い出す。
『初めまして。白河綾音です』
『彼とお付き合いさせていただいています』
そして。
兄の部屋へ泊まっていった。
「……あるよ」
「すごい!」
「何が?」
「家族公認なんだ」
「まあ……」
「いいなあ」
麗音は。
それ以上聞かなかった。
だから。
珠香も助かった。
◇◇◇
今度は。
珠香が聞く。
「麗音のお姉さんは?」
「お姉ちゃん?」
「うん」
もちろん。
藤宮麗華。
珠香も知っている。
知らないほうがおかしいくらい有名なグラビアアイドル。
「元気だよ」
「結婚したんだよね?」
「うん」
「ニュース見た」
「ありがとう……って私が言うのも変だけど」
二人で笑う。
「旦那さんって」
珠香が言いかける。
麗音が少しだけ。
表情を変えた。
珠香は。
すぐ気づいた。
「あ、ごめん」
「え?」
「非公表だったよね」
「あ……うん」
「聞かない」
「ありがとう」
麗音が少し安心したように笑う。
麗華の夫。
一般男性。
世間には。
それ以上の詳しい情報はほとんど出ていない。
麗音は当然。
本人を知っている。
家族だから。
でも。
友達だからといって。
勝手に話していいことではない。
それは。
珠香も同じだった。
兄の恋人。
白河綾音。
麗音の姉の夫。
一般男性。
二人とも。
家族に大きな秘密がある。
なのに。
お互い。
その中身を知らない。
◇◇◇
しばらくして。
麗音がスマートフォンを見る。
「あ」
「どうした?」
「お姉ちゃんから」
「麗華さん?」
「うん」
その名前。
珠香は。
何となく反応してしまう。
なぜなら。
白河綾音から。
聞いたことがあるから。
『麗華ちゃんとは仕事仲間』
『結構仲いいよ』
兄の彼女。
白河綾音。
麗音の姉。
藤宮麗華。
二人は。
仕事仲間。
「どうしたの?」
麗音が聞く。
「いや」
「お姉ちゃん知ってる?」
「もちろん」
「まあ有名だからね」
「それだけじゃなくて」
言いかけて。
珠香は止まった。
危ない。
綾音から聞いた。
なんて言ったら。
「何で白河綾音から聞いたの?」
という話になりかねない。
「……何でもない」
「何それ?」
「本当に何でもない」
「怪しい」
「怪しくない」
麗音は首を傾げる。
珠香。
心の中で。
かなり焦っていた。
◇◇◇
その少しあと。
今度は。
珠香のスマートフォンが鳴った。
兄。
つまり俺。
『何時頃帰る?』
珠香は返信。
『夕方くらい』
『了解』
そして。
もう一通。
『今日、綾音来るかもしれないから』
珠香。
画面を見たまま止まる。
「どうしたの?」
麗音。
「何でもない!」
慌ててスマートフォンを伏せる。
「さっきから珠香怪しくない?」
「怪しくないって!」
「誰から?」
「兄ちゃん」
「何て?」
「帰る時間」
嘘ではない。
でも。
全部ではない。
「過保護?」
「違う」
「仲いいんだ」
「普通」
「また普通」
「本当に普通!」
その日の夜。
自宅へ。
白河綾音が来るかもしれない。
目の前にいる麗音の姉。
藤宮麗華の仕事仲間。
その事実を。
珠香は言えない。
◇◇◇
カフェを出て。
二人は再び歩いた。
一時間。
二時間。
久しぶりの再会。
話は尽きない。
そして。
夕方。
駅前。
「今日は楽しかった」
麗音が言う。
「私も」
「一年ぶりだったもんね」
「また遊ぼう」
「今度は一年空けないで」
「分かった」
「絶対ね」
「うん」
二人は。
スマートフォンを出す。
連絡先は。
昔から変わっていない。
「今度こっちから連絡する」
「私もする」
「じゃあ」
「うん」
「またね、珠香」
「またね、麗音」
二人は。
それぞれ別の方向へ歩き出した。
◇◇◇
帰り道。
珠香は思う。
麗音。
変わってなかった。
久しぶりに話せて。
楽しかった。
そして。
麗音のお姉さん。
藤宮麗華。
結婚相手は。
一般男性。
詳しいことは知らない。
聞くつもりもない。
麗音が話さないなら。
それでいい。
一方。
麗音も。
帰り道。
珠香との会話を思い出していた。
珠香の兄。
彼女がいる。
綺麗な人。
家族にも紹介済み。
それだけ。
誰なのかは知らない。
別に。
深く聞く必要もない。
友達だからといって。
家族のプライベートまで。
全部知る必要はない。
だから。
二人とも。
気づかなかった。
◇◇◇
その夜。
珠香が家へ帰る。
「ただいま」
リビング。
俺がいる。
「おかえり」
「兄ちゃん」
「何?」
「今日さ」
「うん」
「小学校の同級生に会った」
「へえ」
「一年ぶり」
「よかったじゃん」
「麗音って子」
俺は。
その名前だけでは。
まだ分からない。
「そうなんだ」
「お姉さんが芸能人なんだよ」
「誰?」
珠香が。
「藤宮麗華さん」
俺は。
止まった。
「……藤宮麗華?」
「うん」
知っている。
綾音の仕事仲間。
綾音が。
近いうちに。
自分に彼氏ができたことを話そうとしている女性。
「マジで?」
「うん」
「麗華さんの妹と同級生だったの?」
「小学校の頃ね」
偶然。
あまりにも。
偶然。
そのとき。
玄関のインターホン。
珠香が。
「誰?」
俺はスマートフォンを見る。
メッセージ。
『着いた』
綾音。
「……綾音」
「今日来るって言ってたもんね」
俺は玄関へ向かう。
そして。
扉を開ける。
帽子。
眼鏡。
マスク。
変装した綾音。
「こんばんは」
「お疲れ」
「急にごめんね」
「大丈夫」
綾音が家へ入る。
リビング。
珠香を見つける。
「珠香ちゃん、こんばんは」
「こんばんは、綾音さん」
そして。
珠香は。
少し考えた。
「綾音さん」
「何?」
「今日」
「うん」
「藤宮麗華さんの妹に会いました」
綾音。
止まる。
「……え?」
「麗音っていうんですけど」
「麗音ちゃん?」
「知ってるんですか?」
「麗華ちゃんの妹だから」
「やっぱり」
綾音は驚いている。
「珠香ちゃん、麗音ちゃんと知り合いなの?」
「小学校の同級生です」
「ええっ!?」
今度は。
綾音が本気で驚いた。
「一年ぶりに今日会いました」
「そんな偶然ある?」
俺も。
「俺も今聞いた」
綾音は。
俺。
珠香。
交互に見る。
そして。
少し笑った。
「世間って狭いね」
本当に。
その通りだった。
◇◇◇
でも。
麗音は知らない。
今日再会した小学校時代の同級生。
珠香。
その兄の恋人が。
姉・麗華の仕事仲間。
白河綾音だということを。
そして。
珠香も知らない。
藤宮麗華の夫について。
公表されている以上の詳しいことは。
何一つ。
知らない。
珠香と麗音。
一年ぶりに再会した。
昔の同級生。
二人の家族には。
すでに。
不思議なつながりが生まれている。
藤宮麗華。
白河綾音。
二人は仕事仲間。
そして。
それぞれ。
一般男性との恋を選んだ。
さらに。
麗華の妹・麗音と。
俺の妹・珠香は。
昔からの同級生。
それなのに。
互いの家族のプライベートについては。
ほとんど知らない。
まだ。
二つの家族をつなぐ線は。
完全には重なっていない。
けれど。
少しずつ。
確実に。
近づいている。
いつか。
珠香が。
麗音へ。
「実は私のお兄ちゃんの彼女、白河綾音さんなの」
と話せる日は来るのか。
そして。
麗音が。
珠香へ。
自分の姉とその夫について。
家族として話せる日は来るのか。
今はまだ。
誰にも分からない。
ただ一つ。
確かなことがある。
珠香と麗音。
一年ぶりの偶然の再会は。
第一章「藤宮麗華編」と。
第二章「白河綾音編」。
二つの物語を。
本人たちも知らないところで。
また一つ。
静かにつないだのだった。
番外編⑴「一年ぶりの再会――珠香と麗音、まだ知らない二つの家族の秘密」を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回は、第一章「藤宮麗華編」と第二章「白河綾音編」をつなぐ、新たな関係が明らかになりました。
主人公の妹・珠香。
そして藤宮麗華の妹・麗音。
実は二人は小学校時代の同級生。
約一年ぶりに偶然ショッピングモールで再会し、昔の学校生活を懐かしみながら、一緒に買い物やカフェを楽しみました。
久しぶりに会っても、話し始めれば昔と変わらない二人。
しかし今回のポイントは――二人がお互いの家族のプライベートをほとんど知らないことです。
麗音から、
「お兄さん、彼女とかいるの?」
と聞かれた珠香は、
「いるよ」
と答えます。
そして、
「優しい人」
「綺麗な人」
「家にも来たことがある」
というところまでは話しました。
けれど――。
その女性が白河綾音だということだけは絶対に言えません。
麗音は当然、自分の小学校時代の同級生の兄が、姉・麗華の仕事仲間である白河綾音と秘密の交際をしているなど想像もしていません。
一方の珠香も同じです。
藤宮麗華が一般男性と結婚していることはニュースで知っています。
しかし、夫がどんな人物なのか。
麗華とどのような家庭生活を送っているのか。
麗音と麗華の夫が普段どのように接しているのか。
そうした家族だけのプライベートまでは知りません。
そして珠香自身も、麗音が少し表情を変えたことに気づき、
「聞かない」
と自分から踏み込むことをやめました。
友達だからといって、家族のことまで何でも知る必要はない。
相手が話せないことなら、無理に聞かない。
二人が昔からの友達だからこその距離感でもあります。
そして帰宅後。
珠香が主人公へ、
「今日、小学校の同級生に会った」
「麗音って子」
「お姉さんが藤宮麗華さん」
と話したことで、主人公も初めて意外なつながりを知りました。
さらに、その日の夜にやって来た綾音へ、
「今日、藤宮麗華さんの妹に会いました」
と珠香が報告。
綾音自身も、
「珠香ちゃん、麗音ちゃんと知り合いなの?」
と驚くことになりました。
藤宮麗華と白河綾音は仕事仲間。
珠香と麗音は小学校時代の同級生。
そして麗華と綾音は、それぞれ一般男性との恋を選んでいる。
偶然とは思えないほど、いくつもの線が少しずつ重なり始めています。
しかし――。
麗音はまだ知りません。
珠香の兄の彼女が白河綾音であることを。
珠香もまだ知りません。
麗華の家庭について、公表されている以上の詳しい事情を。
だから今の二人にとっては、ただの“一年ぶりに再会した昔の同級生”。
それでいいのかもしれません。
けれど、いつか二人の家族同士が本格的につながったとき。
珠香と麗音は、
「えっ、あのとき何も知らずに話してたの!?」
と驚くことになるかもしれません。
第一章「藤宮麗華編」。
第二章「白河綾音編」。
二つの物語をつないだのは、麗華と綾音の仕事上の関係だけではありませんでした。
その妹たちにも、ずっと以前から小さな縁があった――。
今回は、そんな意外な事実が明らかになる番外編となりました。




