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『俺の彼女はグラビアアイドル』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
第二章 白河綾音編
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24/28

第2話 初めての事務所訪問――白河綾音の彼氏として、社長とマネージャーの前へ


第二章「白河綾音編」第2話。


前回、白河綾音は所属事務所の社長と担当マネージャーへ、


「彼氏ができました」


と正式に報告しました。


相手は芸能関係者ではなく、綾音が偶然出会った一般男性。


事務所は二人の交際そのものには反対しませんでしたが、綾音を守るため、そして一般人である主人公を守るためにも、


「一度、相手の男性と直接会いたい」


ということに。


そして今回。


いよいよ主人公自身が、初めて綾音の所属事務所を訪れました。


ただの来客ではありません。


人気グラビアアイドル・白河綾音の“彼氏”として。


これまで芸能界とはほとんど縁のなかった主人公にとって、芸能事務所へ足を踏み入れるだけでも未知の経験。


さらに待っているのは、社長と担当マネージャーとの初対面です。


二人はどこで出会ったのか。


なぜ綾音を好きになったのか。


芸能人と付き合うということを、どこまで理解しているのか。


もし週刊誌に二人の関係を報じられたら、どう対応するのか。


そして――。


綾音との交際は、本当に真剣なのか。


次々と投げかけられる質問。


まるで面接のような時間の中で、主人公は自分の言葉で一つずつ答えていきます。


今すぐ簡単に「結婚します」と約束することはできない。


けれど、遊びで付き合っているわけでもない。


これから綾音と一緒に時間を重ねていきたい。


そして何より――。


「グラビアアイドルだから好きになったわけではありません。白河綾音だから好きになりました」


主人公が伝えた、飾らない気持ち。


その答えを聞いた社長が、最後に二人へ伝えた言葉とは。


さらに今回の最後には、次の大きな展開につながる出来事も。


事務所から理解を得た綾音が、次に恋人の存在を打ち明けたいと思った人物。


それは――藤宮麗華。


一般男性との秘密の恋を経験し、現在はその相手と結婚している仕事仲間だからこそ、綾音は麗華へ自分の恋を話したいと思い始めます。


藤宮麗華と白河綾音。


そして、それぞれを支える二人の一般男性。


別々に始まった二組の物語が、いよいよ少しずつ交わり始めます。



綾音が所属事務所の社長と担当マネージャーに、


「彼氏ができました」


と報告してから数日。


今度は。


俺の番になった。


午前九時。


休日。


俺は自宅の鏡の前に立っていた。


「……これでいいか?」


普段より少しだけきちんとした服装。


スーツほど堅くはない。


でも、いつもの休日よりは明らかに真面目な格好。


理由は一つ。


今日。


俺は初めて。


白河綾音の所属事務所へ行く。


しかも。


ただの来客としてではない。


白河綾音の――彼氏として。


スマートフォンが鳴った。


綾音。


『起きてる?』


『起きてる』


すぐに返す。


『緊張してる?』


『してる』


『大丈夫だよ』


『綾音はもう終わったから言えるんだろ』


少しして。


『まだ言ってる』


続いて。


『私も一緒にいるから』


俺は画面を見ながら少し笑う。


『分かった』


すると。


『あと、社長は怖い人じゃないよ』


『それ先に言われると逆に怖い』


『本当に大丈夫!』


『マネージャーさんは?』


少し間が空いた。


『大丈夫』


『何で間があった?』


『気のせい』


絶対。


気のせいじゃない。


◇◇◇


午前十時四十分。


俺は綾音の所属事務所から少し離れた場所にいた。


待ち合わせ。


事務所の前で直接会うのは避ける。


まだ交際は非公表。


誰が見ているか分からない。


数分後。


帽子。


眼鏡。


マスク。


見慣れてきた変装姿。


綾音がやって来た。


「お待たせ」


「おはよう」


「おはよう」


綾音が俺を見る。


上から下まで。


「何?」


「ちゃんとしてる」


「失礼だな」


「いつもより」


「今日、社長に会うんだぞ」


「面接じゃないよ?」


「俺からしたら面接みたいなものだよ」


綾音が笑う。


「大丈夫」


「落とされることある?」


「何を?」


「彼氏審査」


「そんな制度ありません」


「でも信用できないって言われたら?」


綾音の表情が少し変わった。


「それでも」


「うん」


「私は付き合うよ」


即答だった。


「綾音」


「もちろん社長にもマネージャーさんにも認めてもらいたい」


「うん」


「でも」


綾音は俺を見る。


「私が好きになった人だから」


少し照れる。


俺が。


「朝からそういうこと言う?」


「何よ」


「余計緊張する」


「何で?」


「ちゃんとしないとなって思う」


綾音が少し笑う。


「じゃあ」


「うん」


「ちゃんとしてきてください、彼氏さん」


「頑張ります」


◇◇◇


午前十一時。


所属事務所。


綾音とは少し時間をずらして建物へ入った。


受付。


名前を伝える。


すでに話は通っている。


「少々お待ちください」


待つ。


数分後。


見覚えのない女性がこちらへ歩いてくる。


「こんにちは」


「こんにちは」


「白河の担当マネージャーです」


来た。


俺は立ち上がる。


「初めまして」


「初めまして」


頭を下げる。


マネージャーは。


俺をじっと見る。


一秒。


二秒。


三秒。


長い。


「……あの」


「すみません」


「はい」


「ちょっと確認してました」


「何をですか?」


「綾音の彼氏さん」


やっぱり。


「本人です」


「ですよね」


「何か変ですか?」


「いえ」


マネージャーが少し笑う。


「普通の方なんだなと思って」


「普通です」


「芸能関係では?」


「まったく」


「業界経験も?」


「ありません」


「芸能人の知り合いは?」


「綾音以外いません」


「なるほど」


すでに。


面接が始まっている気がする。


「こちらへ」


「はい」


案内される。


廊下を歩く。


スタッフと何人かすれ違う。


当然。


その人たちは。


俺が誰なのか知らない。


白河綾音の彼氏。


そんなことを知っているのは。


この事務所では。


今のところ社長と担当マネージャーだけ。


そして。


今日。


俺自身。


◇◇◇


応接室。


扉を開ける。


そこには。


社長。


そして。


綾音。


「こんにちは」


俺が頭を下げる。


「こんにちは」


社長が立ち上がる。


綾音は。


俺を見る。


ほんの少し笑った。


でも。


ここでは仕事中。


恋人だからといって近づいたりはしない。


「どうぞ」


「失礼します」


俺は座る。


向かいに社長。


隣にはマネージャー。


綾音は俺の少し横。


四人。


社長が最初に口を開いた。


「今日は来ていただいてありがとうございます」


「こちらこそ、お時間をいただいてありがとうございます」


「緊張しています?」


「かなり」


正直に答えた。


社長が少し笑う。


「そんなに構えなくて大丈夫です」


「綾音にも言われました」


社長が綾音を見る。


「ちゃんと伝えたんだね」


「はい」


「でも全然安心できませんでした」


俺が言う。


綾音が。


「ちょっと!」


社長とマネージャーが笑う。


少し。


空気が柔らかくなった。


◇◇◇


しかし。


ここから。


本題。


社長の表情が少し真剣になる。


「まず」


「はい」


「綾音さんから、出会いについては聞いています」


「落とし物ですよね」


「そうです」


「はい」


「最初は綾音さんだと分からなかった?」


「まったく」


綾音が横から。


「本当に気づいてなかったんですよ」


「帽子と眼鏡とマスクだっただろ」


「それでも気づく人いるから」


「俺は分からなかった」


社長が聞く。


「普段からグラビアは見ない?」


「ほとんど見ません」


「芸能人にも詳しくない?」


「有名な方なら多少は」


「藤宮麗華さんは?」


その名前。


俺でも知っている。


「知っています」


綾音が少し笑う。


「麗華ちゃんは知ってたんだ」


「有名だから」


「私もそれなりに出てるんだけど」


「今は知ってる」


「今はって何」


また。


社長が笑った。


◇◇◇


「では」


社長が続ける。


「少し踏み込んだことも聞きます」


「はい」


「綾音さんと交際しようと思った理由は?」


来た。


想像していた質問。


俺は。


迷わなかった。


「好きになったからです」


「どこを?」


「最初は」


少し考える。


「普通の女性として知りました」


綾音が静かに俺を見る。


「芸能人だと知らなかったから?」


「はい」


「それから正体を知った」


「はい」


「気持ちは変わらなかった?」


「驚きました」


「それは当然ですね」


「でも」


俺は続ける。


「グラビアアイドルだから好きになったわけではありません」


社長。


マネージャー。


綾音。


全員が聞いている。


「白河綾音だから」


少し恥ずかしい。


でも。


言う。


「綾音自身を好きになりました」


横を見る。


綾音が。


明らかに照れている。


「こっち見ないで」


小声。


「何で」


「恥ずかしい」


社長が少し笑う。


「本人の前で言うのは緊張しますね」


「はい」


◇◇◇


マネージャーが質問する。


「芸能人との交際について、どこまで理解していますか?」


「正直」


「はい」


「まだ全部は分かっていないと思います」


マネージャーが頷く。


「例えば?」


「普通に外でデートできない」


「はい」


「写真を撮られる可能性がある」


「はい」


「俺自身も特定されるかもしれない」


「その通りです」


「家族とか仕事にも影響が出る可能性がある」


「はい」


「SNSも気をつける」


「そうですね」


「それくらいは」


「十分です」


俺は少し驚く。


「十分?」


「最初から全部分かる人はいません」


マネージャーが言う。


「むしろ」


「はい」


「分かったつもりになられるほうが困ります」


なるほど。


「何か起きたとき」


「はい」


「自分だけで解決しようとしないでください」


「分かりました」


「必ず綾音か私たちへ相談する」


「はい」


「特に週刊誌や記者から直接接触された場合」


「はい」


「勝手に答えない」


「分かりました」


「SNSで反論もしない」


「しません」


「友人へ相談するのも慎重に」


「はい」


社長が続ける。


「今のところ」


「はい」


「交際を公表する予定はありません」


「分かっています」


「綾音さんの仕事仲間にも?」


「言わない?」


俺が綾音を見る。


綾音が答える。


「基本的には」


「麗華さんにも?」


俺が聞く。


少し沈黙。


綾音は考える。


「麗華ちゃんには」


「うん」


「いつか私から話したい」


社長も。


「藤宮さんについては、綾音さんが信頼しているなら止めません」


「ありがとうございます」


「ただし」


「はい」


「相手の個人情報は必要以上に話さない」


「分かりました」


◇◇◇


社長が俺を見る。


「もう一つ」


「はい」


「少し厳しい質問をします」


空気。


少し変わる。


「もし」


「はい」


「綾音さんとの交際が報道されたら」


「はい」


「どうしますか?」


俺は。


少し考えた。


簡単には答えられない。


「まず」


「はい」


「綾音と話します」


社長が頷く。


「それから?」


「事務所にも相談します」


「自分から公表は?」


「しません」


「記者に囲まれたら?」


「答えません」


「友人から聞かれたら?」


「……」


これは。


難しい。


「否定しますか?」


社長。


俺は考える。


「事務所の方針に合わせます」


社長の表情が少し変わった。


「どうして?」


「俺が勝手に否定して」


「うん」


「綾音側と話が違ったら困るから」


社長。


マネージャー。


少し顔を見合わせる。


「なるほど」


社長が言う。


「分かりました」


◇◇◇


次。


社長が。


「では最後」


「はい」


「綾音さんとの交際を」


少し間。


「遊びだと思っていますか?」


俺は即答。


「思ってません」


「将来まで考えている?」


付き合って。


まだ。


そんなに長くない。


結婚。


そこまで言うのは。


さすがに早い。


だから。


嘘はつかない。


「結婚すると今すぐ約束できるほど」


綾音が俺を見る。


「まだ長く付き合ってはいません」


「そうですね」


「だから」


俺は続ける。


「軽々しく結婚しますとは言えません」


社長が静かに聞く。


「はい」


「でも」


俺は綾音を見る。


「遊びで付き合うつもりはありません」


綾音の表情。


少し柔らかくなる。


「これから」


「はい」


「ちゃんと綾音と一緒に時間を重ねたいと思っています」


社長は。


しばらく何も言わなかった。


そして。


「分かりました」


その一言。


◇◇◇


数秒後。


社長が少し笑った。


「私は」


「はい」


「二人の交際に反対しません」


綾音が。


「本当ですか?」


「うん」


マネージャーも頷く。


俺は。


思っていた以上に安心した。


「ありがとうございます」


深く頭を下げる。


「ただし」


やっぱり。


条件。


「はい」


「綾音さんの仕事に影響が出ないように」


「はい」


「そして」


社長が俺を見る。


「あなた自身の生活も守ってください」


少し意外だった。


「俺の?」


「そうです」


「はい」


「芸能人と付き合ったからといって」


社長は言う。


「あなたまで芸能人になる必要はない」


その言葉。


俺は。


少し心に残った。


「今まで通り生活してください」


「はい」


「ただし、困ったときは相談する」


「分かりました」


「それで十分です」


「ありがとうございます」


綾音が。


隣で。


本当に嬉しそうに笑っていた。


◇◇◇


話し合いが終わったあと。


社長は仕事へ戻った。


マネージャーも少し席を外す。


応接室。


俺と綾音。


二人だけ。


「はぁ……」


俺は背もたれへ寄りかかる。


「緊張した」


綾音が笑う。


「お疲れさま」


「面接だった」


「違うって」


「完全に面接だっただろ」


「でも合格」


「合格なの?」


「交際を認めてもらえたから」


「じゃあ合格か」


「うん」


綾音は。


少し俺へ近づく。


でも。


ここは事務所。


誰が入ってくるか分からない。


「近い」


俺が言う。


「今二人だけ」


「マネージャーさん戻ってくる」


「少しくらい」


「綾音」


「何?」


綾音が。


俺の手を。


少しだけ握った。


「ありがとう」


「何が?」


「ちゃんと来てくれて」


「当たり前だろ」


「私のために」


「彼氏だから」


綾音が笑う。


「もう一回言って」


「何を?」


「彼氏」


「俺が?」


「うん」


「彼氏です」


「違う」


「何が?」


「私の」


「面倒くさいな」


「言って」


俺は少し笑う。


「俺は綾音の彼氏」


綾音が。


満足そうに笑った。


「うん」


その瞬間。


扉。


「失礼しま――」


マネージャー。


俺と綾音。


手。


つながっている。


沈黙。


綾音が。


すぐ離す。


「……」


「……」


マネージャーが。


「まあ」


少し笑う。


「付き合ってるんだから、そのくらいはね」


「すみません」


綾音。


「でも事務所内では気をつけて」


「はい……」


顔。


赤い。


俺も。


かなり恥ずかしい。


◇◇◇


午後一時。


事務所を出る。


当然。


俺と綾音は別々。


先に俺。


少し時間を置いて綾音。


そのあと。


少し離れた場所で合流。


「疲れた」


俺が言う。


「まだ言ってる」


「人生で一番緊張したかも」


「そんなに?」


「だって」


俺は綾音を見る。


「彼女の会社の社長に会うんだぞ」


「会社じゃなくて事務所」


「似たようなもの」


「違います」


二人で歩く。


少し距離。


人がいるから。


手はつながない。


でも。


さっきまでとは。


少し気持ちが違う。


事務所が。


俺たちを知っている。


社長が。


認めてくれた。


マネージャーも。


理解してくれた。


「ねえ」


綾音。


「何?」


「次」


「うん」


「麗華ちゃんに話したい」


やっぱり。


来た。


「藤宮麗華さん?」


「うん」


「大丈夫?」


「麗華ちゃんだから話したい」


「どうして?」


綾音は少し考える。


「同じだから」


「同じ?」


「麗華ちゃんも」


「うん」


「一般男性と秘密で付き合ってた」


「そうなの?」


「そう」


俺は知らなかった。


「今は結婚してるけど」


「ニュースでは一般男性って」


「うん」


「私も旦那さんの詳しいことは知らない」


「綾音も?」


「名前とか顔とかはね」


意外。


仕事仲間でも。


そこまで徹底している。


「だから」


綾音が言う。


「私も全部話すつもりはない」


「うん」


「でも」


少し笑う。


「彼氏ができたことは話したい」


「いいんじゃない?」


「本当に?」


「綾音が信頼してるなら」


「ありがとう」


「俺の名前は?」


「言わない」


即答。


「そこは言わないんだ」


「守らないと」


「そうだな」


「でも」


綾音が少し楽しそう。


「麗華ちゃん、絶対驚く」


「昨日もう気づきかけてたんだろ?」


「うん」


「じゃあ驚かないんじゃない?」


「いや」


綾音が言う。


「一般男性って言ったら驚くと思う」


◇◇◇


その日の夕方。


藤宮麗華のスマートフォンへ。


綾音から。


一通のメッセージが届いた。


『麗華ちゃん』


『今度、二人で話したいことがある』


麗華は。


そのメッセージを見た瞬間。


少し笑った。


隣にいる夫が聞く。


「どうした?」


麗華はスマートフォンを見ながら。


「綾音」


「また?」


「うん」


「何て?」


「話したいことがあるって」


「仕事?」


麗華は。


首を横に振る。


「たぶん違う」


「じゃあ?」


麗華は。


ほぼ確信していた。


「恋愛」


夫が。


「女の勘?」


「今回は絶対」


「本当かな」


「絶対」


麗華は返信する。


『いいよ』


そして。


『いつでも聞く』


送信。


数秒後。


綾音から。


『ありがとう』


麗華は。


まだ知らない。


数日後。


綾音の口から。


自分とよく似た言葉を聞くことを。


『実は私、一般の人と付き合い始めたの』


そして。


俺もまだ知らない。


その報告がきっかけとなって。


藤宮麗華と白河綾音。


二人のグラビアアイドルだけではなく。


麗華の夫。


そして俺。


二人の一般男性の人生までもが。


少しずつ交わり始めることを。


俺の彼女はグラビアアイドル。


白河綾音。


今日。


俺は初めて。


彼女の所属事務所へ行った。


社長に会った。


マネージャーに会った。


いろいろ聞かれた。


緊張した。


それでも。


最後に言われた。


「二人の交際に反対しません」


その言葉だけで。


十分だった。


俺と綾音の恋は。


まだ秘密。


でも。


二人だけで守る秘密ではなくなった。


社長。


マネージャー。


そして次は――。


藤宮麗華。


綾音が信頼する仕事仲間へ。


俺たちの秘密が。


ほんの少しだけ。


明かされようとしていた。



第二章「白河綾音編」第2話を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


今回は、


「初めての事務所訪問――白河綾音の彼氏として、社長とマネージャーの前へ」


ということで、主人公にとってかなり緊張する一日となりました。


前回は綾音自身が交際を報告する側でした。


そして今回は、その相手である主人公が事務所へ。


普段より少しだけきちんとした服装を選び、待ち合わせの時点から、


「俺からしたら面接みたいなものだよ」


と緊張していた主人公。


綾音は、


「大丈夫」


と言ってくれますが、芸能界とは無縁だった主人公にとっては、そう簡単に緊張が消えるはずもありません。


そして事務所で初めて顔を合わせた担当マネージャー。


主人公を見た最初の感想は、


「普通の方なんだなと思って」


というもの。


芸能関係者でもない。


業界経験もない。


芸能人の知り合いも、綾音以外にはほとんどいない。


本当に普通の一般男性です。


しかし、だからこそ事務所側も確認しなければならないことがありました。


主人公が綾音へ近づいた理由。


芸能人との交際に対する理解。


交際が報道された場合の対応。


そして二人の将来について。


中でも主人公が伝えた、


「グラビアアイドルだから好きになったわけではありません」


「白河綾音だから好きになりました」


という言葉。


第0話から変わらない、主人公の気持ちです。


最初に出会ったとき、主人公は目の前の女性が白河綾音だとは知りませんでした。


グラビアアイドルだから声をかけたのでもない。


芸能人だから仲良くなりたかったわけでもない。


最初はただ、落とし物を拾っただけ。


その後、何度も話して。


一人の女性としての綾音を知って。


好きになった。


だからこそ、綾音にとっても主人公の存在は特別なのだと思います。


そして将来について聞かれた主人公も、無責任に、


「絶対に結婚します」


とは答えませんでした。


二人はまだ付き合い始めたばかり。


だから今すぐ将来のすべてを約束するのではなく、


「遊びで付き合うつもりはありません」


「これからちゃんと綾音と一緒に時間を重ねたいと思っています」


と、自分が今約束できることを正直に伝えました。


その答えを聞いた社長から告げられた、


「二人の交際に反対しません」


という言葉。


これで主人公と綾音の交際は、所属事務所からも理解を得ることができました。


ただし、二人の恋はまだ世間には秘密です。


外で自由に手をつなぐことも難しい。


週刊誌にも注意しなければならない。


主人公自身の個人情報も守らなければならない。


恋人として認めてもらえたからといって、何でも自由になったわけではありません。


それでも――。


二人だけで抱えていた秘密を知り、支えてくれる人が増えた。


これは二人にとって、とても大きな一歩です。


そして今回、個人的に少し微笑ましい場面となったのが、社長との話し合いを終えたあとの応接室。


二人きりになった瞬間。


綾音は主人公の手を握り、


「ありがとう」


と伝えました。


さらに、


「俺は綾音の彼氏」


と言ってもらって満足そうにしていたところへ、まさかの担当マネージャー登場。


まだ交際が始まったばかりだからこその、初々しい二人の姿でした。


そして物語は次へ進みます。


綾音が次に恋人の存在を打ち明けようと決めた相手。


藤宮麗華。


第一章のヒロインであり、綾音の仕事仲間。


麗華自身も、かつて一般男性との交際を秘密にしていました。


そして現在、その男性は麗華の夫になっています。


そんな麗華だからこそ、綾音も自分の恋を打ち明けたい。


すでに麗華のもとには、


「今度、二人で話したいことがある」


というメッセージが届きました。


そして麗華は、その内容をほぼ察しています。


ただし。


麗華が知っているのは、


「綾音に好きな人ができたかもしれない」


というところまで。


相手が一般男性であること。


すでに正式に付き合っていること。


所属事務所の社長とマネージャーにも報告済みであること。


そこまではまだ知りません。


次に綾音の口から、


「実は私、一般の人と付き合い始めたの」


と聞いたとき。


同じ経験をしてきた麗華は、どんな反応をするのでしょうか。


そして、麗華の夫と綾音の彼氏。


それぞれ別々の人生を歩んできた二人の一般男性も、いつか顔を合わせることになるのか――。


第一章と第二章。


別々だった二つの物語が、ここから本格的につながり始めます。


俺の彼女はグラビアアイドル。


第二章「白河綾音編」。


主人公と綾音の秘密の恋は、また一歩前へ進みました。


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