その64 伯父たち
昭和◯◯年◯月◯日
職人をしていた親父が失業して、仕事を探している。
父方の2番目の伯父や、3番目の伯父が会社を作りそこで一緒に仕事をしたりしていたのだが、どちらも上手くいかなかった。
まぁ、仕事がジャンジャン入ってくるようなコネがあるわけでもなし。
それに仕事をしても金が入ってくるのは半年後とかそんな感じで、すぐに資金繰りに行き詰まった。
職人としての腕はよくても、会社経営は別の能力だし。
2番目の伯父はよくウチに金を借りに来ていた。
この伯父は、俺が生まれる前から札幌に住み、自宅も持っており羽振りもよかった。
当時の南区川沿はド田舎だったが、今は開発されて住宅地になっている。
そんな伯父が切羽詰まって金を借りにきていたのだが、金なんてあるはずないじゃん。
そのときは、3番目の伯父の会社で働いていたのだが、給料が数ヶ月出ていなかったし(笑)
2番目の伯父といっしょにやった仕事分の金ももらっていなかった。
金がないのだから、無い袖は振れない。
オカンが追い返した。
この兄弟は揃いも揃って――と思っていたのだが、ある日、その伯父が満面の笑みでやってきた。
どうやら、ヤケクソで競馬をやったら、大穴取ったらしい。
200万ぐらい儲かって、ウチに未払い分を精算しにやってきたのだ。
床に万札を並べて、「あそこにはいくら、こっちはいくら……」と、支払いの金額を確認していた。
そうやってあ~だこ~だやっていたのだが、計算で1万円あまったらしい。
「オラ! 余ったからやる」
彼が万札を俺に差し出した。
とにかく、この伯父は大雑把なのだ。
暴飲暴食、すぐに殴ってくるし、金遣いも荒い。
結婚も3回ぐらいしただろうか。
まぁ、豪快といえば聞こえはいいのだが、これで会社の経営ができるとも思えない。
自分でもそれは理解したのだろうか。
競馬の儲けで、借金の精算したあとは、田舎に帰ると言っていた。
川沿の住宅も処分したみたいだったが、あの土地を持っていたら今なら結構高値がついていたに違いない。
こうして2番目の伯父は都落ちしたのだが、3番目の伯父は持病が悪化して、会社を潰していた。
病名はリウマチ。
なんだリウマチか~と、言うなかれ。
1番目の伯父も、リウマチで死亡しているし、悪化すると怖い病気なのだ。
そんな伯父もリウマチが悪化して、心臓にきた。
リウマチ=炎症が心臓まで及ぶと、危険が危ない。
実際、伯父が手術することになったのだが、開けた途端、駄目だと判断されて、そのまま帰らぬ人になった。
職人としての腕はよかったのだがなぁ。
入院している最中も、暇だからと、ノミを使って彫刻や置物を作っていた。
かなり見事なできで、職人より芸術家のほうがよかったんじゃね? ――という感じ。
今なら、フィギュア原型師みたいな職業があるから、生まれる時代が悪かったか。
そのとき伯父が使っていた「ノミ」は形見として俺が使っている。




