その63 スキー
昭和◯◯年◯月◯日
俺がもう二度とやらないだろうというものに、スキーがある。
北海道の冬の娯楽といえば、スキー。
オラが村にも町営スキー場なるものが、何箇所もあった。
紐の簡易リフトがあったりなかったり。
大人もガキンチョもみんなスキーを持っていて、TVCMでもスキー用品の公告が流れる。
スキー用品店なる専門店もできた。
好きな人は目の色が変わるぐらい好きそうだったが、俺はまったく興味がなかった。
金がないのもそうだが、めちゃ疲れるんよね。
できることなら、一生やらなくて済むように願いたいのだが、そうもいかない。
北海道の学校にはスキー学習なるものがあるから、どうしてもやらないとだめ。
そのためには、スキー道具一式が必要になる。
買うと結構高いのに、スキー学習のためだけに揃えるのもアホらしい。
――というわけで、ウチの親父がどこからか、誰かお古をもらってきた。
小学生なのに180cmぐらいあるフルサイズ。
通常は、身長ー5cmとかー10cmが妥当とか言われてるけど、中古なので仕方ない。
時代はすでにグラスファイバーの板になっていたが、そいつは合板製でクソ重い。
ストックも6角形の木製で、リングは鉄で革で結ばれていた。
スキーシューズも革製で固定はバネ(笑)
それで小学のスキー学習を乗り切り、中学まで進んだ。
中学は札幌だったので、俺の骨董品スキーは指さして笑われたのだが、1年に1回のスキー学習のために金の無駄なんてできない。
笑われるのはいいのだが、問題は登下校。
距離は1.5km、クソ重い骨董品のスキー用具を抱えてひたすら歩かなければならない。
気分はもう雪中行軍。
家に帰ってくると体力の限界で、俺は倒れ込んだ。
そんな俺が、中学2年で新しいスキーをゲット。
もちろん中古(笑)
ちゅうこじゃなくて、あえてちゅうぶる(死語)と呼ぼう。
親父がまたどこからか中古をもらってきたのだ。
札幌でもスキーが盛んで、好きな人は数年でスキー用具を買い替える。
そうなると、中古のスキーも沢山余るってことだ。
今度のスキーはそこそこの長さで、グラスファイバー製、シューズもプラで、固定もワンタッチ。
だいぶ近代化した(笑)
そいつで高校まで乗り切り、俺のスキー人生はそこで終了した。
そこから、滑ることなんてもう一生ないだろうと思っていたが、マジで死ぬまでない。
もうスキーじたいが下火だしな。
娯楽は沢山あるし、スキーは金がかかる。
特に首都圏などは、スキーをするために遠征も必要になるだろうし、そんな金と時間をかけられないだろう。
それにしても、「私をスキーにつれてって」時代は、みんなアホみたいにスキーやってたよなぁ。
信じられんよ。
もう二度とスキーをやらんと決めていた俺は、スキーで盛り上がる連中を見ているだけだったが。
そんなにスキーが嫌いなら、スキー学習とやらをサボればいいのでは?
そう思うかもしれないが――。
スキー学習をサボると、日曜などに先生とふたりきりでスキー学習をするはめになるので、サボれない。
北海道のガキンチョは、スキー学習からは逃げられないのだ。




