その50 ステレオ
昭和◯◯年◯月◯日
我が家で長年使っていた白黒TVが、カラーになった頃、家にステレオがやって来た。
正式には、コロンビアというメーカーの、レコードプレーヤーとカセットデッキが一体化した機械なんだけど、こういう機械は全部ひっくるめて「ステレオ」と呼ばれていた。
これ以前のステレオは、巨大な木製のキャビネットに入った、レコードプレーヤーのみの機械。
それに比べてプラが多用されて、ずいぶんと小型で軽量になった。
ステレオが来たのに、なにも聴くものがない――というわけで、港町までレコードを買いに行く。
当時は、港町にもデパートがあり、その中にレコード屋もあった。
俺が選んだレコードは、「宇宙戦艦ヤマト」のドラマ編のLP。
LPってのはデカいレコードで、通称「エルピー」。
小さいドーナツ盤は、EPと呼ばれていた。
すでに若い人にはLPと言っても通じないかもしれん(笑)
いや、カセットテープすらヤバいかも。
ドラマ編のレコードを買った俺だが、一緒に宇宙戦艦ヤマト交響曲編というのもあって、どちらにするのか迷った。
交響曲というのが、よく解らなかったのでドラマ編にしたが、これは今で言うところのBGM集。
当時、アニメのBGMだけレコードにするってのは、これが初めてだったんじゃないかな?
ヤマトのあと、BGMのレコードを見たのは、ガンダムだった。
まぁ、ガンダムは大ヒットしたからなぁ。
あれで、アニメの商品化の道筋がほぼ決まったとも言える。
結局、俺が買ったのはドラマ編だったのだが、子どもの俺には、これが正解だったね。
値段は1800円だった気がする――ネットでぐぐったら、合っていた。
当時の初任給は10万円ぐらいだったので、今なら4000~5000円相当か。
かなり高いよな~。
レコードを持ってる家が少なかったのもうなづける。
母方の叔父に、按摩さんをやっている叔父さんがいたのだが、その人はクラシックレコードを山のように持っていた。
ステレオもすごいセパレートタイプの立派なもの。
目が見えないので、耳で聴くものに金をかけていたわけだな。
レコードが沢山あっても、子どもが聴くようなものはゼロだったので、俺はまったく興味がなかった。
ヤマトのレコードを買ってもらった俺は、帰ってきて早速聴き始める。
スピーカーから流れてくる冥王星海戦のドラマ。
「スゲー! ヤマト全話これに入ってるんだ~!」
そんなわけがない(笑)
まともに戦闘シーンが入ってたのは、冒頭の冥王星海戦のみ。
そのあとは、ダイジェストもダイジェストの超ダイジェスト。
そりゃ、A面B面合わせても45分ぐらいしかないんだから、アニメが全部入るわけがない。
子どもごころにショックだったが、レコードは溝がなくなるぐらい聴きまくった。
このステレオ、レコードからカセットテープにダビングもできたので、テープに録音して聴きまくった。
もうセリフを全部覚えているぐらい。
「艦尾損傷! シアンガス発生! レーダー(レーザー?)動力ストップ!」
そのあと、ガンダムが大ヒットしたけど、俺のヲタクベースは「ヤマト」なんだよな~。




