その48 プール
昭和◯◯年7月1日
今日は町営プールのプール開き。
少しぐらい寒くたって、ガキには関係ない。
学校が終わったら、プールに行って海パンになる。
冷たい薬の風呂にザブンと浸かって、冷たいシャワーを浴びる。
この薬槽とシャワーって意味ないらしいね。
今ではなくなったと聞いた。
あと、プールから出た際に、目玉を洗うやつ。
あれも、かえって目に悪いからと、なくなったらしい。
それはさておき、海パンになったらテキトーに手足をプルプルさせて、プールに飛び込んだ。
めちゃ冷たい。
ずっと入っていると、唇が紫色になるので、プールサイドで甲羅干しをする。
そんな町営プールができたのは、小学中学年の頃。
プールができても、学校のプール授業はなかったが、隣村の小学校にはプールがあったんだよね。
たまに自転車に乗って、プールに行ったりしていた。
隣村までは最短で約6km。
小山越えのルートだが、どのルートを通っても、結局は山越えが必要になり、しかも遠回り。
アップダウンがかなりきついのだが、時間的にも距離的にも小山越えが最短だった。
まぁ、隣村のガキからは嫌な顔をされたりしたが、喧嘩になったりすることもない。
そんなプールが羨ましかったのだが、オラが村にもプールができた。
そりゃ、毎日行くしかないっしょ。
特に夏休みには、毎日プール。
でも、泳げない(笑)
ただ、遊んでいるだけ。
一応、クロールや平泳ぎで10mぐらいは泳げるが、そんなのは泳げるとは言えんでしょ。
昭和だから、プールの監視員もおらず、ガキどもは好き放題。
よく事故が起きなかったもんだ。
特に、プール底にある取水口。
あそこを身体で覆うように塞ぐと、吸いついて取れなくなるんだよね。
それで死亡事故がなん回か起きている。
幸い、めちゃやってたウチのプールだが、それは起きなかった。
野外プールなので、水は汚い。
ゴミやら虫の死骸が浮いているが、一応塩素を入れて消毒はしてある。
でも、男子はそんなのヘーキヘーキ(笑)
「いってぇ!」
プールで泳いでいると、突然の激痛で飛び上がる。
ウシアブに刺されたのだ。
蚊はいないのに、ウシアブはいる。
こいつに刺されると、マジで痛い。
デカい羽音がすると、ビート板で叩きまくる。
そんなわけで、プールが虫の死骸だらけになるわけ。
プールに来ているのは男子ばかりで、女子を見ることはなかったが、仲のよかった女子を誘ったら、プールに来たことがあった。
それぐらいだろうか。
その子は教師の娘で、漫画禁止の家だったんよね。
それで俺が持っている漫画や本を貸してあげてた。
成績もよくて、将来は教師になると言っていた。
当時は俺のほうが成績はよかったのだが――。
高校のとき、全国模試のランキングで彼女の名前を見たことがある。
風の噂では、教師になったという。
十で神童、十五で才子、二十歳過ぎればタダの人。
この言葉のとおり、俺はタダの人になった(笑)




