その46 海水浴
昭和◯◯年◯月◯日
「あっつい!」
地元の海に来ている。
砂浜が暑くて裸足で歩けないので、ビーチサンダルを履く。
気をつけないと、重油のタールが落ちていて、そいつがこびりつくと厄介だ。
ガラス球の浮きや、砂浜で洗われて丸くなったガラス片などを拾う。
夏になったら、1回は海水浴にくるのが常だった。
夏に思いっきり日焼けすると、身体が丈夫になる。
冬に風邪をひかない――なんて言われてたけど、なんの根拠もない。
日光に当たるとビタミンDができるとか聞いたので、日光浴は大切かもしれないが、日焼けする必要はないと思う。
シミの原因にもなるし、デメリットしかない。
まぁ、男子ならシミなんて関係ないが。
家に車がなかったときには、海水浴に出かけるのも大変で、あまり行った記憶がない。
親父が勤めていたタクシー会社の慰安で、海水浴にいったときぐらいだろうか?
夏だというのに、めちゃ寒かった記憶がある。
みんな唇を紫色にしていた。
個人的な海水浴なら、行くのを止めるところなんだろうけど、会社の行事だとそうもいかないのだろう。
車がないと中々ハードルの高い海水浴だが、我が家に車がくると、毎年のように出かけるようになった。
俺は砂浜が好きだったのだが、親父は岩場が好き。
曰く、「岩場のほうが面白いだろう?」と、言っていたのだが、海水浴って砂浜で遊ぶイメージじゃない?
たしかに、生き物は岩場のほうが沢山いるけどさぁ。
岩場には、ウニやアワビもいるが――。
昭和の時代から、ここらへんは漁業権がうるさく言われていて、見つかるとアウツ。
でも、獲って食ってるやつらはいた。
「その場で食うからおk」って言っていたが、本当か?
岩場に生き物がたくさんいると言われても、珍しい生き物がいるわけでもない。
アメフラシやら、イトマキヒトデぐらいか。
それか、めちゃ数がいるんだけど、動きがマッハで早い、フナムシか。
イトマキヒトデじゃなくて、普通に腕があるヒトデが見たかったな。
でも、イトマキヒトデしかいなかった。
珍しいといえば、奥尻島に行ったときか。
親父が仕事の関係で、港にいた人と知り合いになる。
その人は奥尻島の人だったのだが、その伝手で、島に遊びに行くことになった。
ちょうど、奥尻島への観光客も増えたとき。
フェリーに乗って奥尻島を目指す。
穴の開いた岩や、スゲー階段の先にある神社? のことは覚えているなぁ……。
階段が険しくて、結局その先にはいかず。
正直、あまり詳しい島の記憶がない。
まぁ、かなり小さかったしな~。
記憶はあやふやだが、島の岩場で釣りをした際にオカンがなにか釣り上げたのは、鮮明に覚えている。
なにか釣り上げた途端、オカンが悲鳴を上げて、竿を放り投げたのだ。
周りに黒くて毛が生えたような、ワラジ虫のような生き物。
確かにキモい。
記憶を元に、ネットで今ググってみると――ケハダヒザラガイという貝の仲間らしい。
今画像で見ても、毛は生えていない。
周りの黒いところが毛に見えただけだったようだ。
多分、針で引っ掛けたんだろうなぁ。
あれって貝だったんか~。
親父はすぐに海に捨てていたが、食えるらしい(笑)
しかも美味いと。
マジか~。
でも、食う気はしないよな~。
とりあえず食ってみる人がいて、そのデータが残っているのが、日本のすごいところだな。




