その40 ヤマト
昭和◯◯年◯月◯日
100円玉を握りしめて薬屋に向かう。
なぜ薬屋か? その店は薬屋が本業なのだが、同じぐらいのおもちゃも扱っていたのだ。
普通のおもちゃから、プラモデル、塗料やモーターなど。
当時のプラモデルはモーターライズが多かったので、マブチモーターが必須だったり。
そこで100円のプラモを買う。
1個100円なのだが、他のプラモと合体できて、最終的には大きなプラモになる――というわけ。
派手な色づかいの箱にはヤマトと書かれている。
ヤマトと言ったら、かの有名な宇宙戦艦ヤマト。
当時はなにかが売れるとパチが沢山出てくる時代。
当然、ヤマトがヒットしたら、パチが出ていた。
まぁ、普通の戦艦大和が空を飛んでも、著作権や商標には引っかからないと思う。
それゆえ、そういうのが沢山あったのだが――昭和の時代にもう一つヤマトシリーズがあった。
プラモデルのアオシマが展開していた、合体シリーズ――合体巨艦ヤマトとレッドホークヤマトだ。
確かに宇宙戦艦ヤマトのヒットがなければ、合体巨艦もレッドホークヤマトも企画が存在しなかったかもしれないが、このシリーズはパチと呼ぶにはオリジナリティにあふれていた。
まず、安くて、子どものお小遣いで買える。
接着剤いらずで、パチ組ができる。
今じゃ、パチ組は普通だが、当時のプラモは接着剤必須。
あの、プラモの箱に入っているひし形のやつとか、黄色いチューブに入っているやつ。
欠点としては、合体させて遊んでいると、すぐに穴がスカスカになってバラバラになってしまうところか。
最後は、合体して大きな完成体にすることができるのだが、全部揃えると結構な金額になってしまう。
そのため、単体で買ってもタイヤや翼がついていて、それなりにブンドドできるようになっていた。
ここらへんは上手いと思う。
安くても、子どもが遊べないんじゃ売れないからな。
最終的には、全部シリーズを買い揃えて合体巨艦にできるという夢も見れる。
戦艦のほかに、空母も買った記憶がある。
プラモ箱の中にはレッドホーク連合艦隊!
戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦がならんだ壮大なチラシが入っていた。
「このシリーズが全部出るのか~」と、胸が踊ったね。
懸賞もあって、ハガキを送るとレッドホークヤマトのコミカライズが当たる。
俺は当たらなかったのだが、持っている友だちに読ませてもらったことがあった。
漫画家さんは、今道英治先生。
かつて祖父に、「銀河鉄道999の単行本を買ってきて!」と頼んだら、三銃士のコミカライズを買われたことがったのだが、その三銃士の漫画家さんも今道英治先生だった。
そんな1個100円で合体するプラモを出していたアオシマだが、スーパーカーブームのときには、合体カウンタックみたいなプラモも出していた。
こいつは4個か5個のプラモが合体して最終的には、カウンタックになるという代物。
中にはエンジンブロックに直にタイヤがついているのもあって、中々のキワモノだった。
結局は2つぐらいしか買えなかったので、カウンタックにはできなかったが。
当時のアオシマというと、流行っていたトラック野郎ブームに乗って、デコトラのプラモも出していたし、買ってる子が多かったロボダッチシリーズもあった。
硬派なウォーターラインシリーズも出していたし、企画力はしっかりしていたと思う。
今では、美少女プラモも作っているし、合体プラモのアオシマはしっかりと令和にも生き残っている。




