その36 映画
昭和◯◯年◯月◯日
珍しく親父が、「映画観にいこうぜ!」と言っている。
普通の日曜日なのにだ。
映画を観るといえば、正月、ゴールデンウィーク、盆休み、だいたいこの期間に決まっていた。
それに合わせて、配給会社も宣伝をしてくる。
どうやって新作映画の情報を知るのか?
――といえば、銭湯のポスター。
脱衣所の壁には、ところ狭しとデカい映画のポスターが貼られていて、◯◯シアター、◯◯座、とどこの映画館でやるのかが書かれていた。
そいつで、「次の休みはこの映画を観るか」と、楽しみにしていたわけ。
いつもそんなローテーションだったのだが、親父の突然の発言。
どうやら、仕事仲間と映画を観て、面白かったのでもう一度観たいらしい。
場所は、都会の映画館ではなく、港町にあった映画館。
銭湯にポスターが貼ってあるようなメジャーな映画でなく、聞いたこともない映画だった。
題名は、「バニシングin60」
今なら知っている人も多いかと思うが、当時はマイナーな映画。
主役のマスタングマッハ1をボコボコにして、全編カーチェイスみたいな映画だったので、子どもの俺でも楽しめた。
やっぱり、ガキにはアクションとか戦闘シーンが必要なのよ(笑)
ロボットアニメの大半が、出撃シーンと合体シーンのバンクと、戦闘シーンで構成されている。
制作期間と予算の関係での、苦し紛れのバンクシーンの連続だが、子どもにはあれが必要だったと思われる。
だって、あれがないと子どもが観ないからな~。
ガンダムが地球に降りて地味な話が続いたけど、子ども心には、「戦闘シーンなくてつまんねー」と思ってたもん。
大人になると、「再会、母よ」とか「ククルス・ドアンの島」のよさが解るんだけどねぇ。
ガキには難しすぎた。
ガンダム映画3部作になって、そういう話はカットされてしまったが、やはり正解だったと思われる。
観るのはみんなガキだからね~。
そんなわけで、家族でバニシングin60を観ることになったわけだが――弟を一緒に連れていった記憶がない。
もう生まれていたはずなので、多分、祖母に預けて出かけたと思われる。
こんな具合に映画の主導権は親父が握っていて、観るのはいつも――007シリーズ、ブルース・リーの燃えよシリーズ。
ジョーズを観たときには、俺は怖くて椅子の下に隠れてしまった。
あれはガキに観せるものじゃないよ。
俺も大きくなると親父の趣味にはつき合いきれんと、俺も好きな映画を観始める。
低学年のときには、東映まんがまつり。
デビルマンVSマジンガーZとか――逆だったか?
赤青のメガネをかけて観た、3Dイナズマンとか(笑)
あの赤青メガネかけても、立体には見えなかったんだがなぁ。
そのあとにはアニメブームがやってきて、さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち。
銀河鉄道999、テラ(地球)へ――と、続く。
実写を観たのは、中学に入ってから、スターウォーズ帝国の逆襲あたりだろうか。
めちゃ混んでて、ずっと立ち見だったなぁ……。
当時の映画館も、詰め込むだけ詰め混んで、立ち見をしている人が沢山いた。
そして、いいシーンになると、映画館の中でフラッシュの嵐。
カメラで画面を撮ろうとしているらしいが、映るわけないやん。
これも昭和らしい(笑)




