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昭和の話  作者: 朝倉一二三


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31/51

その31 レコード


 昭和◯◯年◯月◯日


 俺が小さかったある日。

 その頃は、札幌のアパートに住んでいた。

 川沿いにあるピンク色の壁。


 外はモルタルなのだが、中は完全に木造。

 階段も内側にあるタイプ。

 普通は廊下が直線になっていてその脇に部屋が並ぶのだが、そこは違った。


 建物の真ん中が吹き抜けになっていて、部屋がコの字型に並んでいた。

 正確には、部屋は両脇で、真ん中は共同トイレだったのだが。


 2階から全部屋を見渡せた感じ。

 1階の脇には、共同炊事&洗い場があった。

 部屋に洗濯機を置くスペースがなかったので、洗い場に並んでいた洗濯機をみんな共同で使っていたのだ。

 今で言うコインランドリーに近い。


 オカンの話では、その洗い場より共同トイレがものすごく嫌だったらしい。


 そんなアパートの二間の部屋に置かれた赤いボディの白黒TV。

 ミカンの段ボールを親父がオレンジ色のペンキで塗り、その上に乗っていた。

 そこから流れて来るのは、当時流行っていた黒猫のタンゴ。

 TVをつけると、流れてきた記憶がある。


 歌ってたのも子どもだったが、大人の都合で引っ張り回されて、さぞかし大変だったろうな~と思う。

 実際に、その歌手のインタビューなどを観たときに、イジメにあったり人間不信になったそう。

 まぁ、そりゃそうだろうなぁ。


 ググってみると、黒猫のタンゴの売上枚数は230万枚らしい。

 ダブルミリオンだ。


 当時のシングル版の値段は370円~400円で、初任給は4万5000円ぐらい。

 今だと2500円ぐらいの価値か。

 印税10%としても、250円×230万=5億7,500万円か~そりゃ、群がったやつらも沢山いたやろ。


 当時流行ってた曲でミリオンだと――

 ピンキーとキラーズ、恋の季節 これも有名やね。

 ぴんからトリオ、女のみち オカンが、家事をしながらよく歌ってたわ~。


 そんな黒猫のタンゴから、もう少したつと、さらに売れた曲が現れた。


 ひらけ! ポンキッキから大ブームになった、「およげ! たいやきくん」――である。


 俺はレコードを持っていなかったのだが、親父の知り合いの家に行ったときに、そこの旦那さんがデカいステレオで泳げたいやきくんをかけてくれた。


 本家たいやき屋も、およげ! たいやきくんを流しながら商売をしていたので、どこからか曲が聞こえると、たいやき売りのトラックに走っていく。

 今なら、著作権がどうのという話になって流せないだろうが。


 当時、こんな話があった――。

 たいやき屋に男がやってきて、「アンコ抜きのたいやきを作ってほしい」と頼まれる。

 よくわからんが、たいやき屋がそれを作って渡すと、男は家に持って帰って子どもたちに渡した。


 受け取ったこどもは、そのままたいやきを水槽にドボン。

 しばらくして泣きだしてしまったという。


 子ども曰く「重いお腹のアンコがなければ、泳ぐと思った!」らしい(笑)


 このおよげ! たいやきくんを歌っていたのは、アニメや特撮主題歌でも有名な子門真人アニキ。

 当時は金に困っていて、日銭ほしさに版権を買取で歌ってしまった。

 結果400万枚以上売れたミリオンの版権料もまったくもらえなかったというのは、有名な話。


 まぁ、そのあと超有名になって、ヒットを連発したけどな~。

 でもやっぱり、一番売れたのはおよげ! たいやきくんなんだよな~。


 そのあと、児童向けの曲で大ヒットとなると、1999年のだんご3兄弟まで下る。


 だんご3兄弟もあちこちで、かかってたよな~。


 

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