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昭和の話  作者: 朝倉一二三


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27/58

その27 冬の間は


 昭和◯◯年◯月◯日


 雪が積もる。

 朝から雪かき。

 親父が暇なもんだから、雪かきを張り切っている。


 職人だった親父は、冬の間は仕事がない。

 春夏秋と働いて、冬の間は失業保険で食らう。

 それにつきあわされる俺は、いい迷惑。


 親父はピーなので、自分の思い通りに綺麗綺麗にしないと、気がすまないタイプ。

 人との共感性もなく、今診断受けたら、なにかしら病名がつくと思われる。

 それが冬の間、ずっと家にいるもんだから、マジでストレスだった。


 今は、細い路地でも除雪が入ってくれるのだが、当時は車を出すためには、道路まで除雪をしなければならなかった。

 車もなかったその前は、そのまま積りっぱなし。


 窓から出入りとか、2階から出入りとか――そんな感じ。

 無論、移動もできないから、ほぼ村の中で完結できるように、だいたいのものが揃っていた。


 移動できないから、やることがない。

 人が集まると酒を飲み、花札、麻雀、夜は叡智なことを繰り返す。


 そんなわけでガキの誕生日は夏が多い(笑)

 逆算すると、クリスマスとか正月とか……。


 移動できないということは、モノも入ってこない。

 米を備蓄をして、漬物を大量に漬け込み、畑に野菜を生け、冬の間はそれで食いつなぐ。


 まぁ、酒飲んで、塩っぱい漬物で米食って――そりゃ当然、糖尿病や高血圧がめちゃ多い。

 昔の年寄りというと、60ちょいで亡くなってたイメージ。

 当たったりするとまず助からんし……。


 病院にも行けないしね。

 村の診療所ではなにもできない。

 盲腸の手術だけでも、大手術になって生きるか死ぬかだったし。


 そのうち、インフレ物価高で生活が苦しくなり、みんな冬の間は内地へ出稼ぎに行くようになった。

 前にも書いたが、小学1年~6年の間に、世の中が劇的に変わり始めたのだ。


 それにしたがい、村の人口も減り始めた。

 昔の農家はとにかくマンパワーが必要だったが、効率のために機械化され――そうすると人手がいらないから、仕事がなくなる。

 仕事がなくなった人は、仕事を探して都会へ引っ越して行く――という悪循環。


 人がいなくなれば、それで商売していた店もなくなる。

 みんなが使っていたバスの本数も減り、ついには廃止。

 子どももいなくなれば、小学も中学も廃校。


 スゲー山奥まで分校があったりしたのだが、全部なくなった。

 都会からやってきた分校の先生が、1か月でノイローゼになり行方不明に――なんてこともあった。


 ガススタも閉鎖してしまい、診療所や派出所もなくなってしまう。

 10年もしないうちに、村はスカスカになってしまった。


 思えば――小学低学年時に、「村の交差点に信号機ができるかもしれない」「鉄道が建設される計画がある」

 みたいなことを言ってたときが、頂点だったな。

 無論、北海道の鉄道は赤字路線だらけで、鉄道なんてすぐに廃止廃止で、ほとんどなくなったが。


 村はスカスカになったが、家はみんな新しくなり、バスがなくなってもみんな車を持っているから、生活に困ることもない。


 TVはネットに変わり、世界中の情報もリアルタイムで入ってくる。

 人はいなくなったが、豊かにはなっているのだろうか。



 

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― 新着の感想 ―
田舎のネズミと都会のネズミ どちらが幸せなんでしょうか? 私は…田舎のネズミかな? 都会は疲れますから
今が豊かになったのか判りませんが 「昔は良かった・・・」ってAI介護ロボ(言い方w)に 話しかけている未来だけは視えます。
バブル崩壊前はドカチン仕事で下手なサラリーマンより稼げましたから そりゃあ出稼ぎするでしょうね そして競馬場や競輪場にお金が落ちることに...
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