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昭和の話  作者: 朝倉一二三


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23/53

その23 甲虫


 昭和◯◯年◯月◯日


 前に書いたが、北海道にはカブトムシがいない。

 現在は、札幌周辺や帯広にも定着してしまっているらしいが、俺のガキの頃にはいなかった。


 そう、いないはずなのだが――親や年寄りに「カブトムシがほしい」と言うと、山にいる――と言うんです。


「北海道には、カブトムシはいないんだよ!」

 ――と、俺が言っても、皆が「一本角のカブトムシがいる」と、言う。


 それじゃ――というわけで、親父と一緒のそのカブトムシを探しに行ったこともある。

 親父がかつて虫取りをしたという森にも行ったのだが、見つからず。


「ほら、やっぱりカブトムシなんていないじゃん」

 ――そう思っていたのだが、大人になったある日、見つけてしまった。


 国道沿いの道を歩いていると、小さな甲虫を見つける。

 3cmぐらいだろうか。

 拾い上げてみると、「1本角のカブトムシだ……」

 小さいが、確かにカブトムシっぽい形をしている。


「親父や爺たちが言ってたのはこれか~」

 妙に納得した思い出。


 帰ってからネットで調べてみると、どうやら「ダイコクコガネ」という甲虫らしい。

 習性も調べる。

 こいつは動物の糞に群がるらしい。


 なるほど。

 おそらく、親父の時代には、また家畜を飼っている家が沢山あったので、ダイコクコガネも沢山いたのだろう。

 俺の時代になると、家畜を飼っている家はほぼ消えていた。

 上の世代がよく見ていた甲虫が、俺の世代には消えてしまった――ということなのだろう。


 昭和◯◯年◯月◯日


 日照りが続き、川の水がめちゃ少なくなる。

 普段水が流れている場所まで、歩いて行けるようになった。

 もちろん、これは冒険するしかないよな。


 普段流れている用水路からも水が抜けてしまっている。

 堰堤から用水路へと水を流すためのトンネルがあるのだが、そこにも入ってみる。

 ただ、水が抜けるだけの穴なのだが――めちゃ怖い。

 ビビりまくって、みんなで肝試し会場と化してしまう。


 やっぱり、暗くて狭いところってのは、本能的に怖く感じるようだ。

 まぁ、危ないから止めたほうがいいのだが、ガキにそんなこと言って聞くはずがないし、大人が怒るのもあたり前田のクラッカー。

 止められない止まらない(笑)


 川が干上がって、砂地が露出している所もある。

 そこまで歩いて行くと、なにか動いているのが見える。

 魚かカニかと思って掬ってみると――両手いっぱいのミミズ?

 かと思ってよく見れば、小さなヤツメウナギ。


 地元の人間は「カンコヤツメ」と言っていたのだが、今ネットでググってもその名称では出てこない。

 こういう小型のヤツメウナギがいるのかと思ったのだが、どうやら違うようだ。


 もしかすると――あれは、ヤツメウナギの稚魚なのではあるまいか。

 ちょっとガキの頃の記憶で、かなりあやふやなのだが、そのヤツメウナギには目がなかった気がする。

 WIKIで調べてみる――目がないヤツメウナギとなると、スナヤツメが近いのではないか?


 まぁ、謎である。

 その小さいヤツメウナギを見たのは、それが最初で最後だったので、あのときにカメラがあればな~。


 今思うと、そういうシーンが沢山ある。



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