第十話 月はいつでも見守っている
やあ、こんにちは。
僕はツキモリジェムズのイエローダイヤモンド。
出動からいつもの亜空間に戻ってくると、何だかホッとするね。
「あれ? これ何だろう」
普段皆がくつろぐテーブルの上に、ふわふわと優しそうな黄色の光が浮かんでいる。
「月からの『何か』だな。こんなことをするのは月しかいない」
「ですね。新しいアイテムとか?」
一緒に出動していたレッドベリルとハックマナイトが、そう言いながら寄ってきた。
僕ら三人の注目を集めた所で光はスルスルと形を変え、テーブルに置かれた箱となる。箱の側面には、見慣れた月のマークが入っていた。
「開けていいかな?」
「どうぞどうぞ」
僕がちょっとわくわくして尋ねると、ハックマンが笑って頷いてくれる。
そうしてゆっくり開けた箱の中からは――
「わあ…! 綺麗だね」
「…相変わらず、自己主張が激しいことだ」
「でも、美味しそうですよ」
凛とした木製の台に美しく乗せられた、まん丸の白いお団子が出てきた。
「そもそも、この団子を食べるのは秋じゃなかったか?」
「レッドさん、中秋の名月を知ってるんですね」
「ええと……今日は満月だから、秋じゃないけど『お月見』にはなるよ」
月齢付き腕時計型通信機を確認して僕が伝えると、レッドとハックマンは納得した表情になる。
「自分のことを思い出して欲しいって意味ですよ。可愛いじゃないですか」
そう言うハックマンは、早速お団子を一つ頬張った。
「寂しいのかな、お月様……」
「気にしすぎだ、ダイヤ。僕たちは月の加護でこうして居られることを、忘れたりなどしないだろう」
何だかお月様が心配になる僕に、レッドがお団子を食べながら言う。
「ほらほら、ダイヤさんも食べてください」
「ありがとう」
既に二つ目を手にしているハックマンに勧められ、僕もお団子を口に入れる。
「美味しい。お月様みたいに温かい味がするね」
「ふふ、そうですねえ」
「まあ、悪くないな」
そんな風にして、今日も僕らツキモリジェムズの日々は過ぎていくのだった。
―第十話 おわり―




