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女神リーザちゃんの日記  作者: へるきち


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どらごん戦争(10)Black Diamond

子猫だ。


お風呂で使う手桶に乗った子猫が、川上からどんぶらこしてきた。

割と危機的な状況だと思うのだが、子猫は丸くなって寝ている。


「このまま流れていくと、まずいんじゃないかい?」

「この先、滝があったわよね」

「拾うのじゃ」

「くろねこ、にゃーん!」


コルサちゃんが、手桶ごと拾ってくれた。

わしは、この川で溺れた事があるので、入らない。


手桶を地面に置くと、猫が起きた。

黒い猫。手のひらサイズの子猫だ。

背中に羽があったりしないし、額に三日月型の傷も無い。

普通の猫だな?普通の猫だろ?


黒猫は、コルサの足に額を擦りつける。これは、下僕認定されたな。

「うちのこになったのー」

コルサちゃんも、下僕宣言した。この猫は、うちの子決定だな。


「名前、つけないとね」

クリームちゃんの提案で、みんなで名前を考える。


「おはぎ」

「ジャガー」

「ジジ」

「おまんじゅうー」


「あんたは、どれがいいの?」

猫に聞いても、特に返事が無い。


黒猫といえば、正体は魔王というのが鉄板だろう。こいつは、メスなので魔女でもいい。

魔女の名前でもつけてやるか。


「レパード」

「にゃ」


「君は、レパードなのかい?」

「にゃ」


魔女ゲット。


魔女の名前は、神話を読んで学んだよ。マンションの図書室に神話があったからね。

「魔女を拾ったので、人類を滅ぼそうとする女神と戦います」

というタイトルの、この世界の神話は、完全にラノベじゃったよ。

残念ながら、イラストは無かったけど。


猫にご飯をあげるため、工事現場に戻った。

熊が、じゅーじゅーとおいしく丸焼きにされてる。

多分、そこはお前らの墓の真上だぞ、キナコ。

わしは、3回くらい埋めたから、よく知ってるんだ。


キナコ土木部隊が優秀過ぎる。

工事の進捗も早いし、食料は現地調達するし。24時間働けるとか言ってるし。

72時間連続の行軍訓練よりも楽なんだそうだ。


焼きたての熊肉を分けて貰って、レパードに食べさせる。

空腹だったのか、よく食べる。


幼女隊も、熊肉を食べる。

うまい。

大自然の中で、仲間と共に、ご飯を食べる。

後は、温泉があれば、最高だな。

わしは、こういう生活がしたかったのじゃ。


「温泉を掘りたいんじゃが」

キナコに相談してみる。

「井戸なら掘りますけど。温泉は難しいですね」

川がすぐそこにあるとは言え、水源の確保は必要だろうな。

ついでに、源泉を掘り当ててくれないだろうか。無理だろうなあ。


「おんせんなら、あるのよー」

「亡命中に一緒に入ったあれですか?あれは、小さくないですか?」

湧いてるのがあるのか。

「広げればいいんじゃない?」

クリームちゃんも、お風呂スキーなので、乗り気だな。

「いいね。行ってみようじゃないか」

ハナちゃんも、風呂スキーじゃったか。


熊肉で腹を満たしてから、温泉探索へ向かう。

コルサの先導に従って、川の上流へ進む。


レパードはどこから流れて来たんだろう?

大型の山猫なら森の中に居るから、山猫の子なんだろうか。


「ここ、なのよー」


キナコは小さい、と言っていたが。

どう見ても、人の手が入った露天風呂。

大人が10人は余裕で入れそうな湯舟が、石で囲まれ、周囲には石畳まで敷かれている。

誰か居るけど、こいつが作ったのか?


「やはり貴様らが拾ったか」

露天風呂に居たのは、悪魔課長だった。

家に帰ったんじゃなかったの?

やつは、コルサの頭に乗って寝るレパードを見ている。

しかし、コルサもレパードも器用だな。


「君は何者なんだい?ここで何してるのさ?」

ハナちゃんは、やけに警戒している。悪魔課長とは面識ないからな。

「れぱーどなのですよー」

コルサちゃんも面識はないはずだが、こっちは平然としているね。


「その猫の面倒を見る覚悟のあるものは、そこの風呂に浸かるといい」

何やら奇妙なことを言い出す悪魔。


「随分と、黒いお湯だねー」

ハナちゃんが、手のひらで湯舟をちゃぽちゃぽさせる。

お湯に浸かった指先が見えない位に、お湯が黒い。


「これは悪魔の湯だ。効能は、不老不死だ」

すごい効能だな。女神もびっくりじゃ。

「毎日浸かるのが最も効果的だ。数か月程度なら、入らない期間があっても構わない」

「人の命に関わる湯なんだね?説明書くれないかな?」

「湯の効能なら、そこの石碑に彫っておいたから読むがいい」

まじで、露天風呂じゃん。


「ただし、魔王様の許可が無いと、この湯には近寄ることも出来ない」

ということは、幼女隊は許可を得ておるということか。


「なあ、魔王様ってのは」

「ああ、そちらの黒猫に見えるお方だ。魔王様の幼体だ。成体になるまで最低でも1000年はかかるからな、ニンゲンはこの湯に浸かっておけよ」


魔女かと思って、よく見りゃ魔王。

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