47. 熾烈
戦いは始まった
第一競技である玉入れが開始され、多くの戦士達が熾烈な戦いを繰り広げていた
そして俺たちSVT……いや、ギミックも戦場に立つ
灼熱の日光が照りつけるグラウンド
トラックの外では観客がひしめき、実況の煽りが拍車をかける
「日光の下で運動するのは慣れてないから、頑張らないとね」
「俺らの専門は夜間活動だからな……」
二名の先輩が直射日光の下、暑そうなアピールをしつつ長袖長ズボンで汗を拭って話している
いや……脱げばいいんじゃないでしょうか
この人たちが半袖を着ているところはあまり見ない
「お兄ちゃんも静道隊長も上着脱げばいいんじゃないのかなー?」
明里さんも同じ事を思っていたようだ
って、そんな事より、間もなく競技が開始される以上、そろそろ戦術を聞きたい
「静道先輩、一体どんな戦略で行くんですか?応援って何を……」
「赤木、ルールを覚えているか?」
「一応はグラウンドまで来ている身ですから、覚えていますよ」
5m+投手の人数×50㎝のところに円形のラインを引かれ、その外側から投げるんだ
葉城。鎌月。星霧先輩。明里さん。この四人が投手
俺らの場合は半径7mの円の外から球を投げ入れる
だが、それがどうしたと言うのか
「円の中から投げるのは反則。だが、円の中で球の軌道を変える事は禁止されていないんだ」
「え!?」
まさかとは思うが……今回の俺たち男勢の来た理由って……
「僕らは、連携して女の子達が外した球をかごに入るように軌道を変えればいいんだね」
「んな無茶な!」
やる事はわかった
だが、これは無理だろう
反則かどうかも微妙なラインのプレー
その上にかなり難しい
「ルールに誰も入ってはいけないって書いてなかった実行委員が悪い。堂々とプレーだ」
「うちの体育祭はチーム数が多いから競技は5〜6個しか無いんだよね。一つ一つに頭脳使って挑まないと」
この先輩二人はわかっているのだろうか
この任務は相当難しい物だ
「用意!!」
気付いたらスターターが手を挙げていた
その手にはスターターピストル
もう始まるのか……!?
用意の声で参加者は球を手に持ち投擲の構えをとる
だが、俺や静道先輩、銀嶺先輩は両手をフリーにして集中
集中しろ……
集中だ
パアンッ!!
「……!!」
空気の爆ぜる音が耳に届き、動く
体を前えと倒し、ラインの内側に——
「状況開始!!」
『始まりました!今回のチームはジグソーパズル、ギミック、オートマチック、関所。以上のチームになります!』
静道先輩や銀嶺先輩も円の内側に入り、体勢を変えている
既に飛翔の始まった球に対して対応するように、その動きを見せる
「ハッ!そらっ!!」
「フッ……やっ!!」
星霧先輩が投げたけど、力が強過ぎて入らなかった。その球が落ちて来るのを銀嶺先輩が回し蹴りで蹴りかえし、かごの中に入った
明里さんと葉城がかごに向かって投げるも、フレームに当たって入らなかった為、銀嶺先輩が真下に滑り込んで空中二連前蹴りでフォロー
え、いや……
なんでこの人達こんなに動けるの!?
「赤木君!すまない!」
銀嶺先輩を見ていたらこちらに球が誤射された
蹴りだから安定しないのか……!
俺らがフォローするのは女子が投げた球だけじゃなくお互いの蹴った球
「……ハッ!」
目の前に飛んできた球を膝蹴りで逸らしてかごの中へと飛ばした
膝は体から近いから腰元の回転などで力を増幅するのが難しい
普通の人間の膝蹴りだと球をかごまで入れる運動エネルギーは持たせれないが、俺の足は鍛え上げられている
一般人の何倍も素早く足を動かせるため、膝蹴りでも十分なエネルギーだ
『おっと、ギミックはラインの中に人が入っているようですが大丈夫でしょうか!?』
『あれは球を投げている訳ではないので、反則ではありませんね。素晴らしいパフォーマンスです』
実況が目敏くこちらの動きを見つけて放送するも、解説が反則は取らなかった
注目が上がった俺らのチームを見て、観客も歓声をあげる
「しーくん!上!」
葉城に声をかけられてみて見ると、真上に球がある
近過ぎる……!!
咄嗟にバックステップを取るも、後退した時には既に球は低い位置に在る
「せい……!!」
片膝を曲げながら足首を動かす、真っすぐと伸びた方の足で地面に弧を書くような、足払いの回し蹴り
無事にヒットしてかごの中へ入る……なに!?
かごのフレームに当たり銀嶺先輩の方向へと転換
しかも現段階そちらに向かって飛んでいく球が他にもあって、合計5つ
「先輩!」
「近づかないでくれ!」
俺が補助に飛び込もうとするが、銀嶺先輩は制止をかけて、激動する
「斬裂風!!」
両手を地面につけて足を浮かせる
そのまま逆立ちの姿勢になり、腕をうごかせば、空中の足が次々と球を蹴り飛ばしてかごに入っていく
武芸、カポエイラの技の一つ、エリコーピテロだ
「この程度……まだまださ!」
全ての球をかごに入れて再び飛来する球を蹴り返す
「よっしゃ……行くぞ!!」
静道先輩が声を放ち、今まで以上に素早く動き出す
数多の球が宙を舞いかごへと吸い込まれていく
「もうそろそろタイムアップだ!アレをやるぞ!」
「銀嶺、了解!」
「赤木、了解!」
恐らく、あの技だろう
片っ端から空中の一点に球を蹴りとばす
合計して10個を超える球が空中に固まり、ゆっくりと落ちてくる
集中……!!
「赤木!」
「跳ぶんだ!」
銀嶺先輩と静道先輩が御輿を組んでいた
そうか……俺か!
「はああああああああああああああ!!」
叫びながら走り、跳躍
先輩達の腕の上に着地しつつ膝を曲げて
「「いっけええええええええええええええ!!」」
跳ぶ
俺は空中で前宙をして——
ガコンッッ!
空中にあった球を全て踵落としで蹴り入れた
『協議終了です!審判が個数を数えるのでその場で待機してください!』
響く実況の声
俺は地面に着地し、喝采の中で天を仰ぐ
まだ一つ目の競技なのに……
お久しぶりです永久院です
体育祭編第一種目でしたね
赤木さんたちの異常な身体能力が見えます
次回もお楽しみに!!




