37. 妹の志願
昨日のスカウトアタックは成功に終わったらしい
全メンバーへの通達は昨夜、メールで知らされた
隠牙光さんはSVTに入隊した事になるわけだ
今日の朝集会で、メンバー全員と顔をあわせて、正式に入隊か
現在、登校中
歩きなれた道を、着慣れた制服を着て歩く
既に桜はちり、瑞々しい緑の葉桜が朝陽に輝いている
「あー。気持ち良い」
清々しい朝だ!!
なんて心地のいい春風だ……
って……あれ?
道路の先になんか見た事のある人影を見つける
なんて言うか、明らかにネクラなオーラが出てる
ボサボサの髪の女子がスマホをいじりながら歩いている
「君、隠牙さんだよね?」
近づいて声をかけてみる
「……?どなたですか?」
やっぱり忘れていたか
俺は一度見た人の顔は当分忘れないように訓練しているから、隠牙さんの事を覚えている
名前と顔を覚える訓練をしておいて損はない
「2年1組の赤木導。名乗るのは今回が初めてだね。昨日、SVTに入ったと聞いたよ」
「あぁ、先輩ですか」
終始スマホをいじっている。先輩と聞いても失礼だとか考えようとは思わないらしい
まぁ、こう言うキャラなのはわかるけどさ
「そう言えば、SVTって何人居るんですか?」
「君を入れて、15人になるね」
「結構人数居るんですね……よく今まで摘発されませんでしたね」
あぁ、それが気になっていたのか
「実は前に、摘発されそうになった事があるんだ」
「……」
どうやら黙って話を聞いてくれるようだ
静かな登校を阻害する様で申し訳ないが、これは大切な事だから話しておくべきか
「当時、生徒会の副会長だった富寺先輩って人が居たんだ。その人は敏腕で、冷静で、とても頭の回転が速い人だった」
富寺は、学校に不満があった
自分が通う学校には、実力者が居ない
凡人ばかりの高校
つまらない
そこで彼はこの高校に「超人」を増やす事を考えた
生徒会副会長になり、改革を行なおうとしたが、まだ権力が足りなかった
彼は、権力増加の方法を考えた
そして、SVTの噂を耳にする
非合法なボランティアを行なう謎の存在
彼はSVTを悪と呼ぶ事で、自分を善とし、強大な権力を得ようとした
調査の末に、SVTの正体を突き止め、告発しようとする
その時に使った手段が、俺たちをボランティアに出動させて、それを証拠に摘発させようとした
「で、その先輩は手下を使って住宅地中の電線を切らせたんだ。俺たちは出動した。その行動を、悪にして、富寺先輩を警察に送った」
「……」
「一応、あの先輩の自首という扱いになっているから刑罰は軽くなっているはずだけど、悪い事をした事には変わりない。俺たちは市民の為に、犯罪まがいをやっている。あの人は自分の為に犯罪を犯した。だから許さなかった」
思い出す
あの人は、市民を犠牲に、自分の目標を果たそうとした
「俺たちは、一般人の為になる事をやるんだ。目的を違えてはいけない。同時に、俺たちは一人の人間の未来を潰えさせた事を忘れ手はならない。SVTという存在が彼を狂わせた。俺たちには、ボランティアをする責任があるんだ」
彼を悪と成してまで俺たちはボランティアを進める道を選んだんだ
「だから、全力で頼んだよ。隠牙さん」
「……はい」
少々圧倒させたようだな
まぁ、重要な事だし、すぐに忘れないようにしてほしいな
「さて、学校についたな」
隠牙さんは下駄箱で靴を履き替える時だけ一回ケータイをしまい、上履きを履くとまた取り出していじり始めた
なんて言うか……前とかちゃんと見えてるのか……?
ブルーライトカットの眼鏡をかけていてもやり過ぎて良い事なんて無いし、平気だろうか
「俺たちのホームベースの場所は知っているか?」
「聞いていません」
静道先輩何やってるんだ……?
朝の会合で顔合わせのはずなのに場所を教えていなかったのか
「そうか。くれぐれも他言無用だからな?……ついてこい」
廊下を歩き、学習準備室《SVT本部》に向かう
暗い廊下の壁には『未成年タバコ禁止』とか『シンナーはやめよう』だのポスターが張ってある
他にも元素周期表やら何やらが張ってある
廊下を奥まで進んだら階段で4階まで上がる
その並ぶ教室の一つ、学習準備室の前に立つ
後ろからついてきた隠牙さんも立ち止まる
「ここが、本部だ。基本的に毎朝集会を開いているから、来るんだぞ?」
「はい」
俺は一瞬で周辺を警戒し、人影がない事を確認してからドアを開けて中に入った
荷物の壁を抜けて奥の広間へ入って挨拶する
「おはようございます」
「おっはよーございまーすっ!」
……。
…………。
「誰だ!?」
見知らぬ女の子の笑顔の出迎えで一瞬反応が遅れたがすぐに臨戦態勢を取る
何者だ……?
どことなく見覚えがあるような顔だが、間違い無く初対面だ
ここの高校の制服を着ている。ピシッとアイロンがかけられていて色も濃いから恐らく1年生……?
顔立ちは恐ろしいまでに整っている。超絶美少女だ
「おい、何故ここにいる。一般生徒の立ち入りは——」
「——赤木君すまない」
突如美少女の隣から背の高いイケメンが登場した
こちらは知っている。3年生の銀嶺静流先輩だ
「銀嶺先輩!その方はお知り合いですか……?」
1年生だと勝手に断定してしまったが、今考えたら雨羽先輩とかも十分身だしなみと整えているし、この子は1年生にしてはスカートが短いから、実は3年生なのかも知れないな
「うん。自己紹介してくれ」
「あーい!」
美少女が銀嶺先輩に敬礼と思わしきポーズをとって、こちらに姿を向け直す
「初めまして赤木実働部隊長!お兄ちゃんがいつもお世話になっています!1年1組の銀嶺明里です!今日からSVTに入隊しました!よろしくお願いします!」
……。
…………。
「ええええええええええええええええええええええ!?」
驚愕
「せ、先輩!妹なんて居たんですか!?」
「言ってなかったね。明里は僕の妹だよ。僕がボランティアに参加する時に母さんにバレないように演技をするのに手伝ってもらってたんだ。静道君にもちゃんと許可は貰ってるよ。で、明里は自らSVTに入りたいって志願して来たから、入隊させたんだ」
つ、つまり……新人メンバー2人目ゲット……?
こんなに楽に!?
「明里の特技は『ハニートラップ』だよ。SVTに入隊するからにはそれなりに特出した何かを持っていた方が良い。この子はハニートラップだけはできるから、上手く活用してあげてくれ」
なるほど……イケメンの兄に、美少女の妹
特技はそれぞれハニートラップか……
確かに、入隊に問題は無い。というか、SVTは志願者は陰謀が無い限り入隊させる方針だから
「そうか、よろしくね。明里さん」
「赤木隊長、なかなか大胆ですね!そう言うの好きですよ!」
俺が手を伸ばして握手を要求すると両手で掴んでガシガシ握手してきた
しかも意味わからん事言ってる
「……赤木先輩、これはなんですか?」
状況を把握できないらしい隠牙さんから質問が聞こえる
「あぁ。このイケメンの先輩が銀嶺静流先輩。で、こっちの女の子が君と同じ学年の銀嶺明里さん。SVTメンバーだから、仲良くしてね?」
「はい」
「赤木君。その子が例の『電磁気操作主』かい?」
一度もそう呼んだ事ないでしょうに……厨二病、乙
「隠牙さん。自己紹介」
「隠牙光。です」
短い!
「あー……」
なんか……今年の隊員大丈夫かな?
……不安だ
こんにちは 永久院悠軌です
諸事情により更新が遅れました。はい
新メンバー続々増加中!
永久院の更新はこれからも遅れそうです。ただし、働いています




