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Re:アルケオン〜守護者としての目的を探して〜  作者: れんP
アジアの章 日本編

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第九十九話 森の涙と小さき精霊



「......おかしいです」


「島の奥から」


「泣き声が聞こえます」


「え?」


彩葉(いろは)が目を丸くする。


「泣き声?」


硫黄も眉をひそめた。


「人間じゃねぇ」


「動物でもねぇな」


瑞子(すいこ)が小さく呟く。


「......精霊?」


風が吹く。


サァァァ……


緑の葉が揺れる。


そして。


誰かの悲しそうな声が。


確かに。


森のさらに奥から聞こえてくるのだった。



「行ってみましょう!」


彩葉が真っ先に走り出す。


屋久も頷いた。


「はい」


硫黄は背中のグレネード砲を軽く叩く。


「何かあったらオレが吹き飛ばしてやる」


「ほどほどにしてくださいね」


「わかってるって」


瑞子は毛布に包まりながら、ふわふわと浮いてついていく。


「......急ごう」


四人は森の奥へ進んだ。


屋久島の深い森。


太陽の光も届きにくい場所。


苔に覆われた岩。


大きな木々。


澄んだ小川。


神秘的な空気。


そして。


「ひっく......」


「うぅ......」


小さな泣き声。


「いた!」


彩葉が声を上げた。


岩の陰。


そこに。


葉っぱでできた服を着た小さな存在が座り込んでいた。


身長は二十センチほど。


蝶のような羽。


頭には小さな花。


涙をぽろぽろ流している。


彩葉はしゃがみ込んだ。


「大丈夫?」


「どうしたの?」


すると小さな存在は驚いて飛び上がった。


「ひゃあ!?」


「ご、ごめんなさい!」


「怒らないでください!」


「え?」


「怒らないよ?」


「私はバッグの守護者、彩葉だよ!」


小さな存在は目をぱちぱちさせた。


「守護者様?」


「うん!」


屋久も優しく近づく。


「安心してください」


「私たちは敵ではありません」


「屋久様!」


小さな存在は目を輝かせた。


どうやら知り合いらしい。


「まぁ」


「木の精霊さんでしたか」


「知ってるの?」


「えぇ」


「この子たちは森を守る精霊たちですよ」


硫黄が腕を組んだ。


「で?」


「何があった?」


すると小さな精霊はまた涙目になった。


「ぐすっ......」


「お姉ちゃんとはぐれちゃったの......」


「お姉ちゃん?」


「うん......」


「一緒に歌ってたの......」


「でも」


「気がついたらいなくなってて......」


「寂しかったの......」


彩葉は胸をなで下ろした。


「迷子なんだ!」


「よかった~」


硫黄も安心したように笑う。


「なんだ」


「戦いじゃなかったか」


瑞子も微笑む。


「......よかった」


屋久は小さな精霊の頭を優しく撫でた。


「探しましょう」


「きっと近くにいます」


「ほんと?」


「はい」


「屋久様が言うなら......」


すると。


「~~~~♪」


遠くから歌声。


小さな精霊が顔を上げた。


「あ!」


「お姉ちゃん!」


バサッ!


羽を動かし飛び上がる。


すると。


木の上から。


もう一人。


少し大きな精霊が降りてきた。


「あ!」


「いた!」


「心配したんだから!」


「お姉ちゃ~ん!」


二人の精霊は抱き合う。


「ごめんなさい!」


「ごめんね!」


「寂しかったよぉ」


「私もだよぉ」


彩葉たちは顔を見合わせる。


「よかった~」


「平和的解決だな」


「......うん」


屋久もほっとしたように微笑んだ。


「よかったです」


すると。


姉の方の精霊が頭を下げた。


「ありがとうございました」


「守護者様」


「屋久様」


「硫黄様」


「瑞子様」


「えへへ」


「どういたしまして!」


彩葉が笑顔で答える。


すると。


二人の精霊は顔を見合わせた。


「お礼!」


「そうだね!」


「お礼!」


「え?」


「いいよ?」


「ううん!」


「お礼しないと!」


「ついてきて!」


「え?」


「え?」


四人は精霊たちについていく。


しばらく歩く。


そして。


森が開けた。


「わぁ......」


彩葉が思わず息を呑む。


そこには。


一面の花畑。


色とりどりの花。


蝶。


小鳥。


透明な泉。


そして。


大きな屋久杉。


夕陽が差し込み。


まるで幻想の世界。


「すごい......」


「綺麗......」


硫黄も驚いていた。


「こんな場所あったのか」


瑞子は嬉しそうに笑う。


「......素敵」


屋久は懐かしそうに目を細める。


「ここは精霊たちの遊び場」


「秘密の場所なんですよ」


「すごいです!」


彩葉は花畑の中を走る。


「きれーい!」


「すごーい!」


「素敵です!」


精霊たちも楽しそうに笑う。


「ふふふ♪」


「ありがとう!」


「また遊びに来てね!」


「うん!」


「また来る!」


夕陽が沈み始める。


空が赤く染まる。


屋久島の森。


優しい風。


穏やかな時間。


屋久が空を見上げた。


「もう夕方ですね」


「明日には出発ですか?」


彩葉は頷く。


「うん!」


「フィリピンに向かわないと」


「会いたい神様がいるから」


硫黄が笑った。


「海は広いぞ」


「気を付けろよ」


「はい!」


瑞子も微笑んだ。


「......無事を祈ってる」


「ありがとう!」


そして。


夕日に染まる屋久島で。


彩葉は明日から始まる新たな海の旅を思いながら、静かに空を見上げるのだった。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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