第九十三話 呪いの核を守る黒き腕
鹿児島県。
巨大な呪年樹との戦いは続いていた。
ようやく発見した中心核。
だが、その瞬間。
ズズズズズズ……
地面から無数の黒い腕が生え始めた。
「まずい!」
「呪力が集まってる!」
泉も険しい顔になった。
「このままではさらに強くなりますわ!」
リリアが叫ぶ。
「急いで!」
「核を壊さないと!」
巨大な呪年樹。
そして無数の黒い腕。
激しさを増す戦いの中。
彩葉たちは呪われた古樹の中心核をついに発見したのだった。
しかし。
その核へ近づこうとした瞬間。
ビュン!!
黒い腕が鞭のように襲いかかる。
「危ない!」
穂乃香が飛び出した。
「火山砕脚!!」
ドゴォン!!
燃え上がる蹴りが黒い腕を吹き飛ばす。
だが。
ブシュッ!!
切断された腕は再び地面から生えてきた。
「こいつらまで再生すんのかよ!?」
穂乃香が顔をしかめる。
「しかも数が多すぎますわ!」
泉の周囲に十数本の腕が迫る。
「温泉流刃!」
シュパパパッ!!
水の刃が腕を切り裂く。
だが。
すぐに別の腕が現れる。
「キリがありませんわ!」
その時。
呪年樹の幹が大きく開いた。
ゴゴゴゴゴ……
内部から黒い光が溢れ出す。
「なんだ!?」
リリアが驚く。
次の瞬間。
大量の呪力弾が発射された。
ドドドドドドド!!
「わっ!」
「きゃあ!」
彩葉たちは散開する。
地面が次々と爆発していく。
「うわわわ!」
マイが慌てて飛び退く。
「危ないよ~!」
「マイちゃん!」
リリアが手を引き寄せる。
その直後。
ドォン!!
二人のいた場所が吹き飛んだ。
「ありがとう!」
「気にしない気にしない!」
その頃。
彩葉は黒い腕に囲まれていた。
「くっ!」
四方八方。
逃げ場がない。
「収納盾壁!」
バッグの素材が重なり合い、盾となる。
ガガガガガ!!
黒い腕が盾を叩く。
「重い……!」
「数が多い!」
すると。
「どけぇぇぇ!!」
穂乃香が飛び込んできた。
「火山爆拳!!」
ドォォォォン!!
大爆発と共に黒い腕が吹き飛ぶ。
「大丈夫か!」
「うん!」
「ありがとう!」
「礼なんていい!」
「仲間だろ!」
穂乃香は豪快に笑った。
すると。
泉も合流する。
「二人とも!」
「無事ですのね!」
「うん!」
その時。
マイが何かに気付いた。
「待って!」
「え?」
「あの黒い腕!」
「よく見て!」
全員が視線を向ける。
すると。
腕の先端には。
小さな藁人形。
そして。
錆びた五寸釘が刺さっていた。
「藁人形……」
リリアが顔を曇らせる。
「そうか!」
「呪いそのものなんだ!」
「だから再生する!」
泉が頷いた。
「呪年樹が生み出しているのではありませんわ!」
「逆です!」
「この腕が呪力を集めて呪年樹を支えている!」
彩葉が目を見開く。
「じゃあ!」
「腕を全部止めれば!」
「核を壊せる!」
「そういうことですわ!」
しかし。
穂乃香が苦笑する。
「簡単に言うけどよ!」
「百本以上あるぞ!」
「全部なんて!」
すると。
マイが小さく微笑んだ。
「大丈夫」
「え?」
「みんなでやれば!」
「きっとできる!」
リリアも笑顔になった。
「そうそう!」
「一人じゃ無理でも!」
「五人なら何とかなる!」
「ですわね!」
泉も微笑む。
「ふふっ」
「頼もしい仲間ですわ」
彩葉も大きく頷いた。
「うん!」
「みんなで倒そう!」
「絶対に!」
その瞬間。
ゴゴゴゴゴゴ!!
呪年樹が怒り狂うように震え始めた。
さらに。
ドクン!!
中心核が赤黒く脈打つ。
そして。
バキバキバキ!!
幹が裂け。
そこから現れたのは。
一際巨大な黒い腕だった。
その太さは大木ほど。
そして先端には。
何百本もの五寸釘が集まった巨大な爪。
「うそ……」
マイが青ざめる。
「大きい……」
リリアも息を呑んだ。
穂乃香が額に汗を流す。
「なんだよ……」
「まだ隠してやがったのか……!」
巨大な腕は。
ゆっくりと空高く持ち上がる。
まるで。
五人まとめて叩き潰すかのように。
不気味な呪力を纏いながら――。
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