第九十二話 呪われし古樹の再生能力
鹿児島県。
不気味な気配を放つ巨大な呪年樹。
透明な瘴気の中に黒い呪力が混じり合い、その幹には無数の五寸釘が突き刺さっていた。
その異様な姿を前にしても、彩葉たちは退かなかった。
先に飛び出したのは穂乃香だった。
「行くぜ!!
火山噴拳!」
燃え盛る拳が呪年樹へ直撃する。
ドゴォォォン!!
幹の一部が吹き飛び、黒い木片が周囲へ散った。
しかし。
ボコボコボコッ!!
吹き飛んだ部分が瞬く間に再生していく。
「そんなのありかよ!?」
彩葉もすぐに魔法を発動した。
「収納拘束!」
黒いショルダーストラップが何本も飛び出し、巨大な幹を縛り上げる。
「いまです!」
「えぇ!
銭湯ウェーブスピン!!」
渦を巻く温泉水が呪年樹を飲み込む。
だが。
バキバキバキッ!!
砕けた枝が再び生え始めた。
「また再生されましたわ」
「しつこいね!」
マイが驚きの声を上げる。
「こんなの資料でしか見たことないよ!」
リリアも額に汗を流す。
「まずいよ!
このままじゃキリがない!」
すると。
ギギギギギ……
呪年樹の枝が不気味に動いた。
「!!」
次の瞬間。
無数の黒い釘が飛び出した。
「危ない!!」
穂乃香が前へ出る。
「火山壁!」
ドゴォォ!!
溶岩の壁が釘を防いだ。
「サンキュー!」
「礼なら後だ!」
だが。
ブワァァァァ!!
今度は枝が蛇のように伸びてきた。
「きゃっ!」
泉が捕まりそうになる。
「させませんわ!」
温泉水の刃で枝を切断する。
しかし。
切った先から再び生えてくる。
「きりがありませんわ!」
「なんなんだよこいつ!」
穂乃香が舌打ちする。
その時。
マイがあることに気付いた。
「待って!」
「ん?」
「再生してる場所!」
「え?」
「全部、年輪の中心からだよ!」
リリアも目を見開く。
「そうか!」
「呪力が集まってる核がある!」
「核?」
彩葉が尋ねる。
「うん!」
「呪年樹は年輪に呪いを溜める樹なんだ!」
「つまり一番古い中心部が本体!」
「そこを壊さない限り何度でも再生する!」
「なるほど!」
穂乃香が拳を鳴らした。
「だったらぶち抜けばいい!」
しかし。
泉が首を横に振る。
「無理ですわ」
「え?」
「外側の年輪が邪魔をしています」
「普通に壊しても中心まで届きませんわ」
「うーん……」
彩葉も考え込む。
すると。
マイが小さく呟いた。
「だったら……
穴を開ければいいんじゃない?」
「穴?」
「うん!」
「彩葉ちゃんの拘束で固定して」
「穂乃香さんが焼いて」
「泉さんが削って」
「その隙間を作る!」
「そして最後に」
リリアが笑った。
「私が音で内部を破壊する!」
「おお!」
「それだ!」
穂乃香が親指を立てた。
「作戦開始だ!」
再び暴れ始める呪年樹。
巨大な枝が振り下ろされる。
ズドォォン!!
「きゃあっ!」
「危ない!」
彩葉が泉を引っ張り回避する。
「ありがとうですわ!」
「うん!」
そして。
彩葉が前へ飛び出した。
「収納拘束!!」
何十本ものストラップが呪年樹へ巻き付く。
「今です!」
「おう!!」
「火山噴拳!!」
ドゴォォォン!!
幹が赤く焼ける。
「まだ!」
泉が続く。
「銭湯ドリル!!」
高速回転する温泉水が幹を削る。
ギギギギギ!!
木が悲鳴を上げる。
「できた!」
「穴が開いた!」
その瞬間。
リリアが首の蓄音機を構えた。
「いっくよ!」
「レコード・バースト!!」
ゴォォォォォン!!
超音波が内部へ流れ込む。
すると。
ドクン。
奥で赤黒い光が脈打った。
「見えた!」
「核だ!」
彩葉の瞳が輝く。
「本当にあった!」
しかし。
次の瞬間。
ズズズズズ……
地面から大量の黒い腕が出現した。
「えっ!?」
「なにこれ!」
穂乃香が目を見開く。
「まだ隠し玉があったのかよ!」
黒い腕は何百本にも増えていく。
マイが青ざめる。
「まずい!」
「呪力が集まってる!」
泉も険しい顔になった。
「このままではさらに強くなりますわ!」
リリアが叫ぶ。
「急いで!」
「核を壊さないと!」
巨大な呪年樹。
そして無数の黒い腕。
激しさを増す戦いの中。
彩葉たちは呪われた古樹の中心核をついに発見したのだった。
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