第八十七話 桜島の風と温泉のぬくもり
鹿児島県。
青空の下。
三人は賑やかな街を歩いていた。
火山を思わせる少女は胸を張りながら前を歩く。
その隣では上品な雰囲気の少女が優雅に歩いていた。
そして。
その後ろを彩葉が楽しそうについていく。
「わぁ~!」
「すごいです!」
「人もたくさんいます!」
目を輝かせながら辺りを見回す。
すると。
前を歩いていた穂乃香が笑った。
「ははっ!」
「そんなに珍しいか?」
「まぁ、鹿児島は良い場所だからな!」
泉も微笑む。
「ですわね」
「自然も多いですし」
「食べ物も美味しいですわ」
「温泉も最高ですし」
すると。
穂乃香がすぐに振り向く。
「また温泉の話かよ!」
「お前、本当に好きだな!」
「当然ですわ!」
「温泉は素晴らしい文化ですもの!」
「ただのお湯だろ!」
「違いますわ!」
「効能がありますの!」
「熱いだけだ!」
「熱いだけではありませんわ!」
二人は再び言い争いを始めた。
彩葉は困ったように笑う。
「あはは……」
「仲良しなんだね」
二人は同時に振り向いた。
「仲良しじゃない!」
「仲良しではありませんわ!」
しかし。
言葉が完全に揃っていた。
彩葉は嬉しそうに笑う。
「やっぱり仲良しだよ!」
「むぅ……」
「うぅ……」
二人は顔を赤くした。
しばらく歩く。
すると。
遠くに大きな姿が見えてきた。
彩葉は目を丸くする。
「わぁぁ!」
「あれ!」
「すごいです!」
穂乃香が得意そうに笑う。
「桜島だ!」
「鹿児島のシンボルだぞ!」
彩葉は感動していた。
「大きい……」
「すごい……」
「本当に火山なんだ……」
「そうだ!」
「アタイの元になった場所でもある!」
「だから好きなんだ!」
泉も頷く。
「雄大ですわ」
「何度見ても綺麗です」
風が吹く。
木々が揺れる。
空には白い雲。
穏やかな時間だった。
彩葉は思わず両手を広げた。
「気持ちいい~!」
「旅って楽しい!」
「知らないものがいっぱい!」
穂乃香が笑う。
「だろ!」
「アタイも旅は好きだ!」
「色んな守護者に会えるしな!」
「そうなんだ」
「うん!」
「前に北海道まで行ったことあるぞ!」
「えぇ!?」
「すごい!」
「へへっ!」
すると。
泉がふと思い出したように言った。
「そういえば」
「まだお昼を食べていませんわね」
「あ」
彩葉のお腹が鳴る。
ぐぅ~。
彩葉の顔が赤くなる。
「うぅ……」
「聞こえちゃいました……」
「ははは!」
穂乃香は大笑いした。
「腹減ってたのか!」
「そうだよな!」
「よし!」
「美味いもの食いに行くぞ!」
「賛成ですわ」
「わぁ!」
「楽しみ!」
三人は再び歩き始めた。
しばらくして。
商店街の一角。
良い匂いが漂っていた。
彩葉の目が輝く。
「いい匂い!」
「なんでしょう!」
「ふふん!」
「黒豚だ!」
「鹿児島の名物!」
「美味いぞ!」
「黒豚!」
泉も微笑む。
「とても美味しいですわ」
「ぜひ食べてみてください」
「はい!」
しばらくして。
三人は仲良く食事を楽しんでいた。
「おいしい~!」
「すごく美味しいです!」
「だろ!」
「最高だろ!」
「はい!」
「幸せです!」
その笑顔を見て。
穂乃香も笑顔になる。
「そういう顔を見ると」
「案内したかいがあるな!」
泉も嬉しそうだった。
「えぇ」
「彩葉さんは素直で可愛らしいですわ」
「えへへ……」
食事を終え。
三人は再び町を歩く。
すると。
大きな観覧車が見えてきた。
「わぁ!」
「観覧車!」
「乗りたいです!」
穂乃香が笑う。
「よし!」
「乗るか!」
「いいですわね」
しばらくして。
三人は観覧車の中にいた。
ゆっくりと上昇していく。
そして。
頂上近く。
彩葉は窓の外を見て目を輝かせた。
「綺麗……」
「すごい……」
「街が小さく見えます」
「海も見える!」
「桜島も!」
夕日が町を赤く染めていた。
穂乃香も外を見る。
「やっぱり」
「鹿児島は良いな」
泉も静かに頷く。
「えぇ」
「美しいですわ」
彩葉は微笑んだ。
「うん!」
「素敵な場所!」
「来てよかった!」
すると。
穂乃香が腕を組む。
「まだまだだぞ!」
「鹿児島の魅力はこんなもんじゃない!」
「そうですわ!」
「温泉もあります!」
「また温泉!」
「当然ですわ!」
「温泉は外せません!」
「いやだから!」
「熱いだけ……」
「違いますわ!」
また始まった。
二人のやり取り。
それを見た彩葉は。
思わず吹き出した。
「あはははっ!」
「やっぱり二人とも仲良し!」
「だから違う!」
「違いますわ!」
また声が揃う。
三人の笑い声が。
夕暮れの鹿児島の空へと響いていくのだった。
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