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Re:アルケオン〜守護者として生まれた私は世界を旅する〜  作者: れんP
アジアの章 日本編

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第六十話 裂け目より現れし異形



 広島県広島市。


 黒く染まった空。


 歪んだ空間から滲み出るように現れた巨大な影を前に、彩葉たちは思わず息を呑んだ。


 巨大な腕。


 いくつもの赤い瞳。


 全身を覆う黒い甲殻。


 そして、身体のあちこちに浮かぶ禍々しい紋様。


 まるで何種類もの生物を無理矢理繋ぎ合わせたような異様な姿だった。


「え……?」


 彩葉の声が震える。


 アビの翼もわずかに縮こまった。


「な、なの……?」


 灰原が珍しく目を見開いていた。


「こんな気配……!」


 アリアの顔色はさらに青ざめる。


「そんな……嘘……」


 ゼクロスは高らかに笑った。


「ククククク!!」


「驚いているか?」


「当然だ!」


「こいつは異世界から迷い込んだ怪物!」


「しかもただの迷子ではない!」


「世界を滅ぼしかけた災厄の一体だ!」


 巨大な怪物は裂け目の中から半身を現し、赤い瞳をギョロリと動かした。


「ゴォォォォォ……」


 地面が揺れる。


 窓ガラスが震える。


 ただそこに存在するだけで周囲に圧倒的な威圧感を放っていた。


 彩葉はその気配に身を固くする。


「こ、怖い……」


 しかし。


 アリアはその怪物を見た瞬間、何かを思い出したように目を見開いた。


「……あっ!」


 灰原が振り向く。


「知っているんですか?」


「はい!」


「この子!」


「異世界の存在です!」


「でも悪い子じゃありません!」


「え?」


 三人の声が揃う。


 ゼクロスも目を丸くした。


「……は?」


 アリアは必死に叫んだ。


「この子は暴走しているだけです!」


「本来は優しい子なんです!」


 巨大な怪物は苦しそうに唸る。


「グルル……」


「ゴォォォ……」


 アリアの表情が曇る。


「やっぱり……」


「時空の裂け目から来た時に何かされたんだ……」


 ゼクロスは不機嫌そうに舌打ちした。


「チッ」


「余計なことを」


「だがもう遅い!」


 男の右手から黒い霧が伸びる。


 その霧は巨大な怪物の首に絡みついていた。


 まるで鎖のように。


 アリアは息を呑む。


「支配の呪力……!」


 灰原が険しい顔になる。


「操られている?」


「はい……!」


「断界同盟はこうやって異世界の存在を利用して……!」


 ゼクロスは不気味な笑みを浮かべた。


「そうだ」


「世界を壊すには便利だからな」


「人間を襲わせる」


「神を襲わせる」


「守護者を襲わせる」


「そして憎しみを生み出す」


「クククク!」


「最高だろう?」


 彩葉の瞳が怒りに揺れた。


「……最低です」


「ん?」


「そんなの、かわいそうです!」


「利用するなんて!」


「操るなんて!」


「その子だって苦しそうなのに!」


 巨大な怪物は呻き声を上げる。


「ゴァァ……」


 アビも羽を広げる。


「そうなの!」


「アビも怒ったなの!」


 ゼクロスは笑う。


「怒る?」


「だからどうした?」


「弱者の怒りなど意味はない!」


「行け!」


「我が駒よ!」


 黒い霧が怪物を締め上げる。


「ゴォォォォォ!!」


 怪物は苦しみながら巨大な腕を振り上げた。


 ビルが吹き飛びかねない一撃。


 しかし。


 アリアが前へ出る。


「ダメ!」


 灰原が驚く。


「アリア!?」


「大丈夫です!」


 アリアは両手を胸の前で合わせた。


 その瞬間。


 身体の周囲に虹色の光が広がる。


「異世界接続!」


 空中に無数の魔法陣が展開された。


「私はアニメートの守護者!」


「人々の想像と創造の世界を繋ぐ者!」


「お願い!」


「目を覚まして!」


 優しい光が怪物を包み込む。


 すると。


 怪物の赤い瞳がわずかに揺れた。


「……グ?」


 ゼクロスが驚愕する。


「なに!?」


「支配が……!」


 アリアは笑った。


「あなたは悪い子じゃない!」


「帰ろう!」


「みんな待ってるよ!」


 怪物の巨大な瞳から、一粒の涙が零れ落ちた。


「……グゥ」


 彩葉は目を丸くする。


「泣いてる……」


 アビも驚いていた。


「本当に優しい子なの?」


「はい!」


「すごく優しい子です!」


 だが。


 ゼクロスの顔から笑みが消えた。


「……ふざけるな」


「ふざけるなぁ!!」


 全身から凄まじい呪力が噴き出す。


 その気配に灰原の顔色が変わった。


「まずい!」


 アリアも青ざめる。


「っ!」


 ゼクロスの両目が赤く染まる。


「ならば!」


「私自身が殺してやる!!」


 男の背後。


 黒い空間から巨大な鎌が現れた。


 それは先程までとは比較にならない邪悪な気配を放っていた。


 そして。


 その鎌を見た瞬間。


 アリアの表情が恐怖に染まる。


「……うそ」


「その武器……」


「どうして……」


 灰原が気付く。


「知っているんですか?」


 アリアの身体が震えていた。


「……あれです」


「私を襲ったのは……!」


 ゼクロスは狂気に満ちた笑みを浮かべる。


「クハハハハハハハ!!」


「思い出したか!」


「小娘!!」

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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