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Re:アルケオン〜守護者として生まれた私は世界を旅する〜  作者: れんP
アジアの章 日本編

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第三十話 讃岐の風と新たな大地


 瀨戸内海海上。


 彩葉は海の上を駆け続けていた。


 水面を踏みしめるたびに小さな飛沫が舞う。


 夕陽は少しずつ傾き始めている。


 海面は橙色に染まり、まるで世界そのものが光っているようだった。


「綺麗です......」


 彩葉は思わず立ち止まった。


 周囲には海しかない。


 遠くには船が見える。


 空には鳥が飛んでいる。


 静かな世界だった。


 旅を始めてから様々な景色を見てきた。


 京都の山。


 東京の街。


 伊勢の神域。


 大阪の賑やかな街並み。


 そして今は海の真ん中にいる。


「世界って本当に広いんですね」


 誰に聞かせるわけでもなく呟く。


 そして再び走り始めた。


 やがて。


 遠くに陸地が見え始めた。


「!」


 彩葉の目が輝く。


 最初は小さな影だった。


 だが近づくにつれてはっきりと見えてくる。


 山。


 建物。


 海岸線。


 間違いない。


 陸地だ。


「見えてきました!」


 彩葉は思わず声を上げた。


 四国。


 次なる目的地。


 新しい土地。


 新しい出会い。


 胸が高鳴る。


 彩葉は速度を上げた。


 海風が吹く。


 長い髪が揺れる。


 そしてついに。


 海岸へと足を踏み入れた。


 ざっ。


 久しぶりの地面だった。


 彩葉は振り返る。


 瀨戸内海が広がっている。


 さっきまで自分が走ってきた場所だ。


「本当に渡れちゃいました......」


 少し不思議な気分だった。


 そして前を見る。


 新しい土地。


 香川県。


 さぬき市。


「ここが四国......!」


 彩葉は嬉しそうに歩き出した。


 海岸沿いには穏やかな風景が広がっていた。


 大きな都市とは違う。


 どこか落ち着いている。


 遠くには山々。


 近くには住宅地。


 道路を車が走っている。


 人々は穏やかに生活していた。


 彩葉はゆっくり歩く。


 旅を急ぐ必要はない。


 陽菜も。


 小紅も。


 八咫鏡も。


 久里子も。


 皆そう言っていた。


 だから彩葉は目の前の景色を楽しむことにした。


「空が広いです」


 大阪とは違う。


 ビルが少ない。


 だから空が大きく見える。


 雲がゆっくり流れていた。


 彩葉は道を進む。


 やがて小さな港へ辿り着いた。


 漁船が並んでいる。


 網を整えている人々も見える。


「お魚を獲る人たちですね」


 先ほど出会った漁師の言葉を思い出す。


 人間には様々な仕事がある。


 魚を獲る人。


 店で物を売る人。


 建物を作る人。


 電車を動かす人。


 世界は多くの人によって支えられている。


 彩葉はそんなことを考えながら港を眺めた。


 すると。


 どこからか良い匂いが漂ってきた。


「?」


 彩葉は鼻をひくひくさせる。


 香ばしい匂い。


 どこか出汁のような香り。


「なんでしょう?」


 匂いを辿る。


 すると小さな食事処が見えた。


 店先には写真が飾られている。


 その中には白い麺の料理が写っていた。


「これ......」


 彩葉は写真を眺める。


 人々が次々と店へ入っていく。


 人気らしい。


「香川県といえばうどん」


 店先にそう書かれていた。


「うどん......」


 聞いたことはある。


 だが食べたことはない。


 守護者は食事をしなくても生きられる。


 それでも味は分かる。


 彩葉は少し興味を持った。


「今度食べてみましょう」


 そう呟きながら先へ進む。


 道の両側には畑も見えてきた。


 緑が多い。


 大阪とは全然違う景色だった。


 風が吹く。


 草が揺れる。


 虫の声も聞こえる。


 彩葉は歩くだけで楽しかった。


「同じ日本なのに全然違います」


 旅をしていて何度も思うことだった。


 場所が変われば景色が変わる。


 文化が変わる。


 人が変わる。


 だから面白い。


 しばらく歩いていると小高い丘を見つけた。


 彩葉は軽く跳躍する。


 守護者の身体能力なら簡単だった。


 数回の跳躍で頂上へ到着する。


「わぁ......!」


 思わず声が漏れた。


 そこからは海が見えた。


 町も見える。


 山も見える。


 瀨戸内海の島々も見えた。


 まるで絵画のような景色だった。


「綺麗です......」


 彩葉はしばらく見入っていた。


 風が心地いい。


 太陽は少しずつ西へ傾いている。


 空が橙色に染まり始めていた。


 旅に出てから何度も夕暮れを見てきた。


 だが場所が違えば夕暮れも違う。


 今日の夕暮れは四国の夕暮れだった。


 彩葉は静かに笑う。


「来てよかったです」


 そう呟く。


 そして立ち上がった。


 まだ始まったばかりだ。


 四国にはまだ見たことのない景色がたくさんあるはずだ。


 まだ会ったことのない存在もいるはずだ。


 まだ知らない文化もあるだろう。


 それを知りたい。


 それを見るために旅をしている。


 彩葉は丘を降りる。


 夕暮れの町へ向かう。


 香川県さぬき市。


 新たな土地での旅が今、本格的に始まろうとしていた。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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