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Re:アルケオン〜守護者として生まれた私は世界を旅する〜  作者: れんP
アジアの章 日本編

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第二十五話 旅路の車窓



 三重県伊勢市。


 朝。


 伊勢市駅。


 彩葉は駅前広場に立っていた。


 行き交う人々。


 駅へ向かう学生たち。


 仕事へ向かう大人たち。


 旅行客らしき人々。


 様々な人間が行き交っている。


「すごい......」


 彩葉は周囲を見回した。


 東京ほどではない。


 だがそれでも人は多い。


 京都の山奥で生まれたばかりの頃の自分ならきっと緊張していた。


 けれど今は違う。


 少しずつ慣れてきていた。


「大阪......」


 八咫鏡に教えてもらった次の目的地。


 そしてその先には四国がある。


 彩葉は駅舎を見上げた。


「よし」


 小さく頷く。


 そして改札へ向かった。


 切符を買う。


 改札を通る。


 ホームへ向かう。


 少し前なら迷っていたかもしれない。


 だが東京へ行く時に学んでいた。


 人間の移動手段。


 鉄道。


 電車。


 守護者は眠る必要も少なく食事も不要だが、人間の文化を知ることは好きだった。


 ホームへ到着すると列車が停まっていた。


 銀色の車体。


 開いた扉。


 乗り込む人々。


「これですね」


 彩葉も乗り込んだ。


 車内にはたくさんの人がいる。


 通学中の学生。


 新聞を読む男性。


 窓際に座る老夫婦。


 スマートフォンを眺める若者。


 様々だ。


 彩葉は空いている席へ座った。


 しばらくして。


 列車が動き始める。


 ガタン。


 ゴトン。


 規則的な振動。


 窓の外の景色がゆっくり流れ始めた。


「おぉ......」


 彩葉は窓へ顔を向ける。


 街並み。


 住宅地。


 畑。


 川。


 様々な景色が過ぎ去っていく。


「不思議ですね」


 誰に言うでもなく呟いた。


 歩くよりずっと速い。


 人間は本当に面白い。


 飛べない。


 魔法もほとんど使えない。


 けれど知恵を使って様々なものを作り出している。


 陽菜も言っていた。


 人間は弱い。


 でも強い。


 彩葉は少しだけその意味が分かる気がした。


 列車は進む。


 駅を通過する。


 人が乗る。


 降りる。


 その繰り返し。


 やがて窓の外の景色も少しずつ変わっていった。


 建物が増えていく。


 道路が広くなる。


 車の数も増える。


「都会になってきた......」


 彩葉は感心する。


 伊勢も十分大きかった。


 だがこちらはさらに発展している。


 そして時間は過ぎていく。


 途中で乗り換えも行った。


 人の流れについていき。


 案内表示を確認し。


 ホームを移動する。


 最初は少し迷いそうになった。


 しかし落ち着いて見れば何とかなる。


「なるほど......」


 案内板を見上げる。


「人間の街は分かりやすく作られてるんですね」


 少し感心する。


 そうして再び列車へ乗る。


 今度の列車はさらに混んでいた。


「わわっ」


 彩葉は少し驚く。


 人が多い。


 東京ほどではないがかなり多い。


 それでも人々は慣れた様子で移動している。


 不思議な光景だった。


 しばらくして席が空いた。


 彩葉は座る。


 窓の外を眺める。


 すると遠くに海が見えた。


「海だ......」


 青い海。


 太陽の光。


 白い波。


 穏やかな景色だった。


 伊勢で見た海岸を思い出す。


 八咫鏡との会話。


 伊勢神宮。


 伊勢大結界。


 陰陽師との戦い。


 様々な出来事。


「色んなことがありましたね」


 まだ旅を始めてそれほど経っていない。


 それでも多くの出会いがあった。


 陽菜(ひな)


 (えい)


 (くろ)


 (しおり)


 小紅(シャオホン)


 アテナ。


 八咫鏡。


 世界には本当にたくさんの存在がいる。


 そしてこれからも増えていくのだろう。


 彩葉は少し楽しみになっていた。


 どんな人がいるのだろう。


 どんな景色があるのだろう。


 どんな出来事が待っているのだろう。


 窓へ映る自分を見る。


 バッグの守護者。


 彩葉。


 まだ生まれたばかり。


 知らないことだらけ。


 だけど。


 少しずつ前へ進んでいる。


 そんな気がした。


 列車はさらに進む。


 山を抜ける。


 川を渡る。


 街を通る。


 そして。


 やがて。


 窓の外に見えてきた。


 巨大な街並み。


 高層ビル。


 無数の建物。


 広い道路。


 絶え間なく行き交う車。


「わぁ......」


 彩葉は思わず立ち上がりそうになる。


 明らかに今まで見た景色とは違う。


 東京にも似ている。


 だがまた違う。


 活気。


 賑やかさ。


 力強さ。


 そんなものを感じた。


 車内アナウンスが流れる。


 目的地の名前。


 彩葉は耳を傾けた。


「ここが......」


 胸が少し高鳴る。


 そして列車はゆっくり速度を落としていく。


 ホームが見える。


 たくさんの人。


 大きな駅。


 無数の路線。


 列車が停止する。


 扉が開いた。


 人々が動き出す。


 彩葉も立ち上がった。


 そして一歩。


 ホームへ降り立つ。


 そこには新しい街の空気が広がっていた。


 彩葉は目を輝かせる。


「大阪府......!」


 初めて訪れる土地。


 四国へ向かう途中の大都市。


 新たな旅路の舞台だった。


 彩葉は行き交う人々を見ながら小さく笑う。


「どんな場所なんでしょう」


 そう呟きながら。


 バッグの守護者は大阪の街へと歩き出した。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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