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Re:アルケオン〜守護者として生まれた私は世界を旅する〜  作者: れんP
アジアの章 日本編

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第二十話 伊勢大結界攻防戦


 三重県伊勢市。


 伊勢神宮。


 夜の森。


 重く不気味な鐘の音が響き渡る。


 ゴォォォォォォォン――


 まるで世界そのものを震わせるような音だった。


 彩葉と八咫鏡は同時に森の奥を見た。


 そこには黒い光が立ち上っている。


 月明かりすら飲み込む闇。


 不快な気配。


 胸の奥をざわつかせる呪力。


「始まった......!」


 八咫鏡の声は低かった。


 彩葉も息を呑む。


「あれが......」


「儀式だ」


 黒い光は空へ伸びていく。


 その先には伊勢大結界。


 黄金の光と黒い光が対立するように空を覆っていた。


「行こう!」


 彩葉は駆け出した。


 八咫鏡も頷く。


「うん!」


 二人は森の中を走る。


 守護者と神器の化身。


 人間では到底追えない速度だった。


 木々の間を駆け抜ける。


 枝を飛び越える。


 風が唸る。


 そして。


 数分後。


 地下祭壇へ続く巨大な洞窟へ辿り着いた。


 入口には数人の陰陽師が立っていた。


「何者だ!」


 陰陽師が叫ぶ。


 だが次の瞬間。


 八咫鏡の瞳が金色に輝いた。


「退いて」


 光が走る。


 瞬間。


 陰陽師たちは目を押さえてうずくまった。


「うわぁぁっ!?」


「目がっ!」


 彩葉は驚く。


「すごい......」


「鏡は光を映すものだからね」


 八咫鏡は淡々と言った。


「さあ行こう」


 二人は洞窟へ飛び込む。


 中は異様だった。


 壁一面に符が貼られている。


 赤い文字。


 黒い文字。


 無数の呪術陣。


 そして奥から流れてくる強烈な呪力。


「うぅ........................」


 彩葉は思わず顔をしかめた。


 気持ち悪い。


 まるで腐った感情の海の中を歩いているようだった。


「大丈夫?」


「はい.................なんとか............」


 さらに奥へ進む。


 やがて巨大な地下空間へ出た。


「......っ!............」


 彩葉は目を見開いた。


 広い。


 神社の境内ほどある。


 その中央には巨大な祭壇。


 そして黒い柱が空へ向かって伸びている。


 呪力の柱だった。


 周囲には数十人の陰陽師。


 全員が呪文を唱えている。


「見つけた............」


 八咫鏡の目が細くなる。


 祭壇中央。


 黒い布を被った男。


 あの指揮者だった。


「来たか............」


 男が言う。


 声は不気味なほど落ち着いていた。


「神器の断片............」


 そして。


「バッグの守護者............」


 彩葉は驚く。


「私のこと知ってるの?」


「知っているとも」


 男は笑った。


「彩葉」


 その名前を呼ばれた瞬間。


 嫌な寒気が走った。


「断界同盟はお前を見ている」


「.................っ!」


 八咫鏡が前へ出る。


「無駄話はいい」


 金色の光が広がる。


「何を企んでいる」


 男は肩を竦めた。


「決まっている」


 そして両腕を広げる。


「神々の支配を終わらせる」


 祭壇が光る。


 黒い柱が膨れ上がる。


「伊勢大結界を破壊し、新しい時代を始めるのだ」


「ふざけないで!」


 彩葉が叫んだ。


「そんなことしたらたくさんの人が危険になる!」


 男は笑う。


「だからどうした」


 その言葉に彩葉は息を呑む。


「人間も妖怪も神も」


 男は続ける。


「全ては変革の礎だ」


「......!」


 八咫鏡の瞳が冷たくなる。


「最低だね」


「褒め言葉として受け取ろう」


 次の瞬間。


 男が手を振った。


「排除しろ」


 陰陽師たちが一斉に動く。


 数十枚の符が飛ぶ。


 炎。


 雷。


 風。


 様々な術が襲い掛かる。


「彩葉!」


「はい!」


 彩葉は反射的に魔力を流した。


 血管の中を流れる魔力。


 心臓の鼓動。


 陽菜から教わった感覚。


 今なら分かる。


 力が流れている。


 全身を巡っている。


「拘束!」


 紫色の光が走る。


 地面から無数の帯が飛び出した。


「なっ!?」


「動けない!」


 陰陽師数人が拘束される。


 しかし全員ではない。


 まだ多い。


「やっぱり足りない......!」


 彩葉が歯を食いしばる。


 すると。


 八咫鏡が前へ出た。


「十分だよ」


 黄金の光が爆発する。


 巨大な鏡が出現。


 地下空間を埋め尽くした。


「映せ」


 鏡面が輝く。


 次の瞬間。


 陰陽師たちが放った術が全て反射された。


「なっ!?」


「ぐあぁっ!」


 自分たちの術を受けて吹き飛ぶ陰陽師たち。


 彩葉は思わず声を上げた。


「すごい!」


「鏡だからね」


 八咫鏡は微笑む。


 だが。


 その時だった。


 祭壇中央の黒い石。


 呪核が輝く。


 ドクン。


 巨大な鼓動。


 次の瞬間。


 黒い柱が膨れ上がった。


「まずい!」


 八咫鏡が叫ぶ。


 空の彼方。


 伊勢大結界が揺れる。


 黄金の光に黒い亀裂が走った。


「えっ!?」


 彩葉は凍り付く。


 結界が傷付いている。


 男は笑った。


「遅い」


 狂気に満ちた笑みだった。


「儀式は既に最終段階だ」


 黒い光がさらに膨れ上がる。


 地下空間が震える。


 岩が落ちる。


 空気が歪む。


「さぁ見せてやろう」


 男が両腕を広げる。


「神域崩壊の瞬間を」


 その瞬間。


 伊勢大結界全体に巨大な亀裂が走った。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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