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Re:アルケオン〜守護者として生まれた私は世界を旅する〜  作者: れんP
アジアの章 日本編

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第十三話 世界の地図


 東京――桜菊祭会場。


 会場の一角に設けられた休憩所。


 祭の喧騒から少し離れたその場所には、柔らかな灯りが灯されていた。


 遠くから聞こえてくる音楽。


 人々の笑い声。


 屋台の呼び込み。


 先ほどまで激しい戦いがあったとは思えないほど、祭は再び賑わいを取り戻していた。


 彩葉は椅子へ座り、小紅の顔を心配そうに見つめる。


 小紅は紙コップを両手で持ちながら深く息を吐いた。


「......」


「大丈夫ですか?」


「...あぁ、少し落ち着いた.......よ.....」


 小紅は苦笑する。


 太歳星君との戦い。


 そしてアテナの登場。


 あれほどの存在を目の前にしたのだ。


 緊張しない方がおかしい。


「よかった......」


 彩葉は胸を撫で下ろした。


 しばらく沈黙が流れる。


 その後、彩葉は少し迷うような表情を浮かべた。


「ねぇ、聞いても良い?」


「なに?」


「この世界の種族と組織について......、陽菜からもらった知識にはなくて」


 小紅は少し驚いたような顔をした。


 そして納得したように頷く。


「......うん、いいよ」


 小紅はゆっくりと話し始めた。


「......まず、この星にいる生物グループは『人間』『亜人』『妖怪』『妖精』『精霊』『霊』『天使』『悪魔』『神』『動物』『神話生物』『UMA』『守護者』だ」


「そんなに......」


 彩葉が目を丸くする。


「それぞれのグループには組織がある......まずは『人間』......まぁ、言わないでもわかるよね」


「うん」


「グループは『人類連盟』。人間の国々の組織」


 彩葉は真剣に聞いている。


「そして次は『亜人』」


「亜人......」


「亜人には私のような修行をしてなる『仙人』」


 小紅が自分を指差す。


「そして魔に取り憑かれてなる『魔人』」


「魔人......」


「さらに神に選ばれた者がなる『聖人』」


 彩葉は頷いた。


 知らない言葉ばかりだ。


「主にこの三つだよ。組織は色々あるから省くね」


「うん」


「そして『妖怪』」


 小紅は続ける。


「人間と妖怪のハーフ『半妖』」


「半妖」


「妖怪化した人間『人妖』」


「人妖......」


「そしてそれらを束ねる組織が『妖幻鏡』」


 彩葉は影と喰を思い出した。


 きっとあの二人も、そのどこかに所属しているのだろうか。


「次は『精霊』と『妖精』」


「別じゃないんだ」


「昔は別だったよ」


 小紅が頷く。


「だけど今は一つになってる」


「へぇ~」


「精霊と妖精の組織『幻妖界』」


 彩葉はその名前を頭の中で覚えていく。


「そして『霊』」


 小紅の声が少し静かになる。


「死んだ者の魂が集まる組織『霊界』」


「霊界......」


「次は『天使』」


「アテナさんみたい?」


「いや、あれは神」


 小紅が苦笑する。


「天使は神に仕えたり伝令したりする存在たち」


「なるほど」


「組織は『天使協会』」


 彩葉は感心したように頷く。


 世界には本当に色々な組織が存在するらしい。


「次は『悪魔』」


 小紅の声が少し低くなる。


「魔王サタンと七つの大罪の悪魔たちが束ねる悪魔の組織『魔界』」


「魔王......!」


「まぁ、人間が想像するほど単純な組織じゃないけどね」


 彩葉は少し緊張した。


 いつか会う日が来るのだろうか。


「次は神々の組織」


 小紅は指を二本立てる。


「『オリュンポス』」


「アテナさんの!」


「そう」


「もう一つが『ヴァルハラ』」


「二つあるの!?」


 彩葉が思わず大きな声を出した。


 小紅は笑う。


「うん」


「ヴァルハラはオーディン」


「オーディン......」


「オリュンポスはゼウスがまとめている」


 彩葉は頭の中で整理する。


 神々にも派閥がある。


 思っていた以上に世界は複雑だった。


「こんなところかな......まぁ、他にもあるけどね、あの太歳星君みたいに」


「え?太歳星君はオリュンポスじゃないの?」


 すると小紅の表情が少し曇った。


「もと、ね......」


「?」


「あいつから......『断界同盟』......と呼ばれる組織の気配がした」


 彩葉は首を傾げる。


「断界同盟?」


「私にはわかる......」


 小紅の声が低くなる。


「その組織とは祖国で戦ってきた....」


 彩葉は小紅の横顔を見る。


 普段の明るい様子とは違う。


 そこには警戒と緊張があった。


「そうなんだ......」


 小紅は少しだけ頷いた。


「続きを話そう......」


 空気を切り替えるように言う。


「次に『神話生物』」


「うん」


「これらは神々と天使と同じ世界『神界』に生息する神話で語られる存在」


「ドラゴンとか?」


「そんな感じ」


 彩葉の目が輝く。


「そして『UMA』」


「未確認生物!」


「最近見つかってきた新種の生物や、絶滅危惧に指定された存在たち」


「へぇ~......」


 世界は想像以上に広い。


「最後に『守護者』」


 彩葉が姿勢を正す。


 自分の種族だ。


「守護者の組織は色々ある」


「うん!」


「国シリーズの守護者たちの組織『世界同盟』」


「世界同盟」


「またの名を『G30(ジーサーティ)』」


「G30......」


「そして世界の様々な守護者の組織『ガーディアンズ』」


 彩葉は初めて聞く名前にわくわくした。


「さらにアフリカ生まれの守護者たちの組織『アフリカ同盟』」


「へぇ~」


「そしてインドネシアの守護者を中心とする東南アジアの守護者五人の組織」


 小紅は少し笑う。


「『ISMPP』」


「いむ......?」


「正式には『国家共生調停平和盟約』」


「長い!」


 思わず彩葉が叫ぶ。


 小紅は楽しそうに笑った。


「この辺りだね......」


 話が終わる頃には、彩葉の頭の中は新しい知識でいっぱいになっていた。


 世界は広い。


 そして、自分の知らないことだらけだ。


 だからこそ面白い。


 すると小紅が立ち上がった。


「さて、私はもう帰るよ......」


「え!?もう帰っちゃうの?」


 彩葉が慌てて立ち上がる。


「うん」


 小紅は頷く。


「明日には報告しに帰らないとだし」


「そうなんだ......」


「それに、迂回すると時間かかるし」


「迂回?」


 彩葉が首を傾げる。


 小紅は真面目な顔になった。


「あぁ」


「?」


「『四季の王』のなかでも『春の王』が日本海にいるからね」


 彩葉は固まった。


「え?」


「あいつにでくわすとヤバい......」


「そ、そうなんだ......」


 小紅がそう言うのだから、本当に危険なのだろう。


「うん......じゃ、また会お」


 彩葉は少し寂しくなった。


 でも。


 旅をしている以上、別れは避けられない。


 陽菜とも別れた。


 そして今、小紅とも別れる。


 だけど。


 また会える気がした。


「......うん!また!」


 小紅は笑う。


「またな、彩葉」


 その言葉を残し、小紅は夜空へ舞い上がった。


 二本の灯籠が揺れながら、遠ざかっていく。


 彩葉は見えなくなるまで手を振り続けた。


 そして一人になった休憩所で、静かに空を見上げる。


 世界は広い。


 まだ知らない場所がある。


 まだ出会っていない存在がいる。


 彩葉は小さく笑った。


「......次は、どこへ行こうかな」

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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