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Re:アルケオン〜守護者としての目的を探して〜  作者: れんP
アジアの章 東南アジア編

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第百十三話 暴走発明機とジャングル大追跡



 インドネシアの密林。


 月明かりの下。


 八本脚の奇妙な機械は、ガシャガシャと不気味な音を立てながらジャングルの奥へと進んでいた。


『鍋』


『鍋』


『鍋』


『鍋』


 赤い目が点滅する。


 脚の一本にはなぜか箒。


 背中には炊飯器。


 尻尾のプロペラは高速回転していた。


「待ってぇ~!」


「まだ完成してないよぉ~!」


 慌てて追いかけるマツリカ。


「リーダー!」


「だから失敗しないでって言ったのに」


 呆れ顔のサンパギータ。


「ま、待ってください~!」


 彩葉も全力で走る。


 しかし。


『鍋ノ反応ヲ感知』


『目標ヲ補足』


「え?」


「鍋?」


 彩葉が首を傾げた次の瞬間。


 ジャングルの奥。


 木々の向こうに小さな集落が見えた。


 そして。


 家々の近くで料理をしている人々。


「え」


 サンパギータの顔色が変わる。


「まずい」


「鍋を見つけた」


「え?」


「え?」


「止めないと!」


 機械は突然加速した。


『鍋ヲ回収シマス』


『鍋ヲ回収シマス』


『鍋ヲ回収シマス』


「待ってぇぇぇぇ!」


 マツリカの声が森に響く。


 しかし。


 ブォォォォォン!!


 プロペラが唸りを上げ、機械は低空飛行を始めた。


「飛んだ!?」


「飛んじゃったぁ~」


「すご~い」


「感心してる場合じゃないです!」


 サンパギータが珍しく声を大きくした。


「ドゥウェンデ・ブハル!」


 地面に魔法陣が広がる。


 盛り上がる土。


 形成される巨大な狙撃銃。


 サンパギータは構える。


"終わり


 バン!!


 銃弾が機械の脚をかすめる。


 しかし。


『攻撃判定』


『障害認定』


『排除シマス』


「え?」


 機械の尻尾から大量の泡が噴射された。


「きゃあ!」


 彩葉の顔に泡が当たる。


「なんですかこれ!?」


「洗剤だよぉ~」


「自動洗濯機能付きだからぁ~」


「いらない機能です!」


 サンパギータが即座に突っ込む。


 その時。


 彩葉の目が光った。


収納拘束(しゅうのうこうそく)!」


 光のリボンが伸びる。


 機械の脚を捕らえる。


「やった!」


 しかし。


"逮捕


『洗濯開始』


「え?」


 ゴボゴボゴボ。


 突然。


 拘束した光のリボンに大量の泡が付着した。


「わぁぁ!?」


 ツルン!


 拘束が滑って外れてしまう。


「そんなぁ!」


「すごいねぇ~」





 サンパギータが思わず叫ぶ。


 そして。


「……しょうがない」


「リーダー」


「許可を」


「う~ん?」


「壊さない程度ならぁ~」


「いいよぉ~」


"学ぶ


 サンパギータの周囲に風が集まる。


 雲のような精霊の力が身体を包む。


「ドゥウェンデ・ハンギン」


 その瞬間。


 周囲の風が巨大な渦となった。


「わぁ!」


 彩葉が目を丸くする。


「精霊の力!」


「うん」


「元々精霊だから」


 風が機械を包み込む。


 すると。


 ブォォォォォン!!


 プロペラが逆回転を始めた。


"異常な"


"異常な"


"異常な"


「今です!」


収納拘束(しゅうのうこうそく)!」


 再び放たれる光の帯。


 今度は四本。


 8冊の本。


 十六本。


 完全に機械を拘束する。


「やった!」


「えへへ~」


「ありがとぉ~」


 マツリカが嬉しそうに近づく。


"停止


「ここ~」


 ポチッ。


『オチャヅケ……』


『オチャ……』


『……


 ピタリ。


 ようやく機械は動きを止めた。


 静寂。


 そして。


「終わったぁ……」


 彩葉が地面に座り込む。


「つ、疲れました」


 サンパギータもため息をつく。


「私も」


「はぁ……」


 マツリカは嬉しそうに機械を撫でていた。


「えへへ~」


「次はもっと良いもの作るねぇ~」


「まだ作るんですか!?」


「もちろんだよぉ~」


「旦那様のためだもん~」


 その笑顔はとても幸せそうだった。


 サンパギータは苦笑する。


「相変わらずですね」


「えへへ~」


「サンパギータちゃんもぉ~」


「もっと肩の力抜かなきゃ~」


「これでも抜いてる」


「そうかなぁ~」


 彩葉は二人を見て微笑んだ。


 ISMPPのリーダー。


 元精霊の守護者。


 性格は全く違う。


 けれど。


 互いを信頼していることがよく分かる。


「素敵だなぁ」


「ん?」


「なんでもありません!」


 その時だった。


 マツリカが突然。


「あ」


 と言った。


「どうしたんですか?」


「忘れてたぁ~」


「旦那様へのプレゼント」


「まだ作れてないやぁ~」


「え」


「え?」


 そして。


 にこにこと笑いながら。


「よぉ~し」


「もう一回作ろ~」


 サンパギータの顔が引きつった。


「……リーダー」


「今日はやめません?」


「大丈夫だよぉ~」


「今度こそ成功するからぁ~」


「それ、前も聞いた」


「えへへ~」


 彩葉は乾いた笑みを浮かべる。


「が、頑張ってください……」


 すると。


 マツリカは突然何かを思い出したように振り向いた。


「あ!」


「そうだったぁ~」


「彩葉ちゃん」


「はい?」


「せっかくインドネシアに来たんだからぁ~」


「明日から案内してあげるねぇ~」


「え!」


「本当ですか!?」


「うん~」


「私とサンパギータちゃんでぇ~」


「いっぱい楽しいところ連れてってあげる~」


「やった!」


 満面の笑みを浮かべる彩葉。


 その姿を見て。


 サンパギータも少しだけ微笑んだ。


「うん」


「きっと楽しい」


 こうして。


 ジャングルの一夜は更けていく。


 そして彩葉の旅は。


 インドネシアという新たな国で。


 また新しい出会いと発見へ向かっていくのだった。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

次回もお楽しみに

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