二十四話目
目を覚ますと辺りは薄暗くなっていた。
いつの間にか寝てしまったようだ。
なんかデジャブ…。
朝もこんなことあったような…。
違う事と言ったら、疲れすぎて動けない事だろうか…。
うう、恥ずかしい…。
私は、さっきの事を思い出して枕に顔を埋めた。
初めてだっていうのに、気持ちが良すぎたような…。
「あっ…。」
私は、小さい声でつぶやいた。
服…着てない…。
っていうか、服がない…。
オロオロしていると、春樹が気配で起きたのか、ゆっくり目を開けた。
「利香…。」
春樹はつぶやくと、本当に本当に嬉しそうに微笑んだ。
「あ、春樹…。」
服を着ていないので、恥ずかしくて、私は急いで布団にくるまった。
「起きてたの?体、大丈夫?」
少し心配そうに聞かれて、私はまた赤くなった。
「だ、大丈夫。」
なんで春樹こんなに普通なのー。
ってか、春樹も服着てないし!
恥ずかしい、死ぬ!
恥ずかしすぎて私は顔まで布団に潜り込んだ。
「ふふ、利香かわいい。」
春樹は目を細めて言う。
ああ、もうだから恥ずかしいってば!
「えっと、服着てくる!」
そう言って、立とうとした途端、下腹部あたりに痛みが走って私は座りこんだ。
「利香?大丈夫?痛いの?」
春樹が心配そうに飛び起きた。
「だ、大丈夫、ちょっと痛かっただけ。」
私がそう言うと、すぐにベッドに引き戻された。
「もう少し休んでて。
ごめんなさいね、無理させちゃった?」
春樹はかなり心配そうに言う。
そういえば、春樹、優しかったけど、かなりすごかったな…いろいろと。
「ううん、大丈夫だよ。
心配性だなあ、もう。」
私がそう言うと、春樹はホッとしたようだった。
「利香、ありがとう。」
春樹は私を抱き寄せて言った。
「きっと、怖かったわよね。
恋愛感情ないなんて言っている男に抱かれるのも、悲しくなかった訳じゃないわよね。」
春樹は言う。
そんなに怖くはなかったけど、春樹も私の事を好きでいてくれたらもっと嬉しかったなあ、なんて思ったのは確かだ。
もちろん後悔はないけど。
それに、春樹が何回も好きって言いながらしてくれたから嬉しかった。
「私は、本当にバカね。」
春樹はそう言って笑う。くすくすと、嬉しそうに。
「私、とっくの前から利香の事を愛していたんだわ。
それを、家族とか同性に対するようなものだと思い込んでいたのね。
誰にも渡したくないとか、抱きたいとか…、家族や同性に対して思う訳ないのに…。
利香が私を信じて、すべてをくれたから、わかったの。」
春樹は本当に嬉しそうに言った。
「春樹…本当に…?
気を使って言っているんじゃない…?」
私はつぶやいた。
あまりにも思いがけない台詞に頭がついていかない。
「利香に嘘をついたりなんてしないわ。」
「春樹…。」
気づいたら私は泣いていた。
春樹がいくらなだめてくれても止まらず、私は、わんわん泣いた。
嬉しくて。
春樹が、また人を好きになることができるようになってくれて。
しかも、それが私だなんて。
「春樹、春樹、よかったね。
きっと、幸せになれるよ。
あっ、相手は私か。
なら、絶対幸せになれるよ!
私がたくさん幸せにするからね!」
嬉しくて嬉しくて、春樹に抱きつきながら言うと春樹は笑いだした。
えー!マジメにいってるのになんでー?
「もう、たくさん幸せだよ、利香のそう言うところが、本当に大好きだよ。」
春樹はそう言って幸せそうに笑う。
「あれ、なんか話し方…?」
なんかいつもと違って、昔の春樹みたい。
「もう、女の子のフリする必要ないし、利香も相手がオネエ言葉だとイヤな思いするよね?」
春樹は言う。
「え?別に?
なんか、いつものに慣れちゃったから逆に変な感じかも?」
なんか、オネエに慣れちゃってさー。
違和感か…へへ。
「ほんっと、利香ってば変わってるわよねえ…。
普通逆でしょっ、って何度突っ込もうかと思ったことやら…。」
春樹はため息をつきながら言った。
あれ、なんだか引いてる??
さりげなくオネエ言葉に戻ってるし。
昔から変人とはよく言われたしなあ…。
でも、ちょっと切ない。
「こんな変わった子、逃したら二度と手に入らないわよね。
と言うわけで、私のお嫁さんになってちょーだい。」
春樹は、私の手を握ると、突然そんな爆弾発言をした。
「え?!
いいの?!
もっとちゃんと付き合ってからの方が良くない??
ダメなとことか見えてイヤになっちゃうかもよ?」
私はびっくりして叫んだ。
いや、私はイヤになったりなんてしないよ?
何年も一緒に住んでるし、そもそも15年以上も春樹だけを好きな訳だし。
でも、春樹なんてさっき好きだと自覚したばっかりなんだし、まだわかんないよね。
「この子ってば、なんでここまでずれてるのかしら…。」
春樹は苦笑しながらつぶやいた。
それは、あなたが死ぬほど好きだからですよ!
「そして、本当に優しい。
私の心配なんてしないで自分の事を少しは考えなさいよ。
それとも、利香はイヤ?」
春樹にじっと見つめられて問われる。
ああ、私、やっぱり死んでもいいです!
いや、やっぱり春樹ともう少し一緒いさせてください。
できればあと50年くらい!
「イヤじゃないです!!
よろしくお願いします!!」
私は春樹の手を握り返して急いで叫んだ。
そんな私に春樹は再び大笑いする。
なんか、憧れ?のプロポーズ、全然ムードないけど、それが私たちなのかな。
いや、憧れたことないな…。
春樹、オネエだったし(笑)
こうして、私はオネエの旦那さまをゲットしました!
やったね!




