二十二話目
ひたすら動揺し、あわあわする私をよそに、春樹は私にキスをするとさっさと寝てしまった。
…。あれ?
あんだけ思わせぶりな事言っておいてただの添い寝ですか!
絶対最後のいただくわ。って台詞わざとだな、こんちくしょう!
ま、考えても仕方ない。
明日もあるし寝るか。
春樹と一緒に寝れるなんて幸せだし。
こいつは、私を幸せにできないとか言うけど、私はすでに幸せなんだけどなあ。
バカだなあ。
なあんて思っているうちに、私もさっさと寝てしまった。
普通緊張して寝れないだろって?
いや、同じ家に2年半も暮らしているんでね…。
ぱちっ。
目を覚ますと目の前に春樹の顔があった。
一瞬かなりびっくりしたけどすぐに昨日の事を思い出した。
うーん、こいつってば本当にかわいい顔してるんだなあ。
でも、おっさんになったらどうなっちゃうんだろ??
考えるとちょっと笑える。
おっさんのオネエ。
ちと無理がありそう。ぷぷ。
なんて考えながら、至近距離で春樹をしげしげと見つめた。
すると、春樹がゆっくりと目を覚ました。
至近距離で目があってどっきり。
「うーん…。利香、おはよう。」
寝ぼけた声で春樹が言った。
「うん、おはよ。」
ちょっとドキドキしながら返事。
すると春樹は微笑んで、私にキスをしてきた。
「んっ!」
油断してた訳じゃないけど、突然春樹に唇を舐められて、思わず変な声が出てしまった。
「ふふ、利香、かわいい。」
うう、恥ずかしい…。
「もうちょっと、大丈夫?」
「え?何が?って、んんんー。」
返事の途中でキスされたと思ったら、春樹の舌が入ってきた。
びっくりしたけど、蕩けるように気持ちが良くて私は春樹のなすがままになってしまった。
「は、はるき、んっ。はぁ…。」
止めようとしても、ますます攻撃はやまず…。
気づいたら息絶え絶えの私が転がっていた。
「ごめんね、ちょっと止まらなくて…。」
春樹が嬉しそうに言う。
本当にごめんとか思ってないだろ、お前。
言い返したいけど、言葉が出てこない、ぐったり。
「うう、春樹のバカ…。」
恥ずかしすぎて、枕に顔を埋めて言った。
くそう、完敗だ。
「利香、本当にかわいいわね。
もうちょっと、続きする?」
春樹は私の耳元で言った。
「ごめんなさい!勘弁してください!!」
潔く負けを認めた。
これ以上は無理っすー。
私の言葉に春樹は大笑いしている…。
くそう、からかわれた!!
「普通、もうちょっとこういう場面では色気のある言い方で返事が返ってくると思うんだけど…。
ほんと、利香は面白いわねえ。」
くすくす笑って春樹は言う。
誉めてんのか?!
ジロッと春樹をにらんでおく。
「ふふ、怒らないで。
でも、おかげで歯止めが効くからいいんじゃないかしら?」
本当にいいのかそれで?
つまりあれですよね。
色気がなくて、途中で我にかえるってやつですよね。
そーいや、今更だけど、春樹ってなんで女の子に興味がなくなったんだろ?
ってかなんで私は大丈夫なんだろう?
信頼してるからかなー。
いや、実は気づいてないだけで本当は好きとか言うパターンでお願いします!
「なあに?また人の顔じろじろ見て、面白い事でも考えてるの?」
お、面白い事って…。
「いや、本当に私の事好きになってくれたらいいなあと思って。」
思ったままを述べてみる。
「好きだと思うんだけど…。」
いつもの台詞が返ってきた。
「うーん、そういうのじゃなくてねー。」
何て言ったらいいもんかねえ。
好きってのもいろいろありすぎてどれが本当なのかなんてわかんないよね。
「春樹は、なんで女の子に興味がなくなったか聞いてもいい?
話したくなかったら聞かないけど。」
ちょっと春樹に踏み込んでみることにした。
春樹は私の言葉に少し考えているような顔をした。
「そうねえ…。
長くなりそうだし、お腹もすいたでしょ?
ルームサービスでモーニング頼んでおいたから、食べながらゆっくり話しましょうか。」
春樹はそう言うと、ベッドから起き上がって、私の手も引っ張ってくれた。




