6 形勢逆転
「以上です」
そう言って小暮が携帯のボタンを押すと、そこで電話の声は終了した。
そしてそれを聞き終えた校長の顔色が、
これでもかというくらい青ざめ、首筋や額には大量の冷や汗が吹き出していた。
そんな校長を睨みつけ、俺は刺すような口調で言った。
「校長先生、これはどういう事なのか、説明してもらえますよね?」
「う、ぐ・・・・・・」
何も言い返せない様子の校長。
俺は畳みかけるように続けた。
「今の電話の会話、俺がさっき言った事と、殆ど同じですよね?」
「ぬ、ぐぅ・・・・・・」
「あなたは野球部を潰して、碇を大京山に転校させる為に昨日の試合を組み、
うまく大京山に碇を転校させた暁に、そこの監督から賄賂をもらう話になっていた」
「ぐぬぬ・・・・・・」
「これで言い逃れはできませんよ。大人しく自分の悪事を認めたらどうですか⁉」
ビシッと校長を指さし、俺は言い放った。
すると校長は、震える声でこう言った。
「た、頼むからこの事は、教育委員会には言わないで欲しい・・・・・・」
「さ~て、どうしましょうかねぇ~」
すっかり立場が逆転した俺は、
余裕シャクシャクの笑みを浮かべながら続けた。
「まあ俺も鬼じゃあないですし?
校長先生をクビに追い込もうとまでは思わないですよ?
ただ、それなりの誠意は見せて欲しいですよねぇ?」
「ど、どうしろと言うのかね?」
「そりゃあ勿論、野球部の廃部を取り消してください」
「そ、それは、もう学校全体で決まった事だから、
今更取り消す訳には・・・・・・」
「あ、そうですか。
じゃあ今小暮が聞かせてくれた音声を、
教育委員会の人達にも聞いてもらいましょうか」
「わぁああっ⁉お、お願いだ!どうかそれだけはカンベンしてくれ!」
「でも、廃部を取り消してくれへんのやったらな~。
素直に黙っとくのもシャクやしな~」
そう言って俺は、ズズイッと校長に詰め寄った。
すると校長は、追い詰められた表情で俺から顔を逸らした。
う~む、我ながらうまく追い詰めたな。
これは千田先輩の影響かな?
とか思っていると、校長は観念したようにこう言った。
「わ、わかった!廃部の件は取り消す!だからこの事は、どうか内密に!」
「ほ、本当ですか⁉
じゃあ僕達は、明日からまた野球部の活動を続けてもいいんですね⁉」
校長の言葉を聞いた碇が、そう言って校長に詰め寄った。
すると校長はガックリとその場に跪き、力なく頷いた。
「うゎーい!やったーっ!」
喜びの声を上げる碇。そして傍らに居た鹿島さんも、
「何かよう分かれへんけど、廃部がなくなってよかったね!」
と胸を撫で下ろした。
そんな中俺は腕組みをしながら、
「これで一件落着やな」
と言って頷いた。
するとそんな俺の左耳を、背後に居た佐渡さんがいきなりつねってきた。




