5 悪事の全て
『いやぁ~、これはどうも、先日は申し訳ありませんでした』
その声は、間違いなく校長の声やった。
そして電話の校長の会話は、やけいに明るい声で続いた。
『はいっ、大丈夫です!
松山碇をそちらの学校に転校させる為の、次の策は考えております。
実は今度の日曜日にですね、野球部が負けたら廃部という条件で、
ウチのソフトボール部と試合をさせる事にしたんですよ。
いくら松山碇が飛びぬけた才能の投手とはいえ、
その他の部員はムシケラ同然。
野球部がその試合で惨敗するのは目に見えています。
これで野球部は廃部になり、松山碇はこの学校で野球ができなくなる。
そうなると、野球を続けたい彼は、
否が応でもよその学校に転校せざるを得なくなる訳です。
そしてその時、改めて大京山の監督さんに松山碇を勧誘していただければ、
彼は必ずや、大京山への転校を決心すると思います。
いかがです?完璧な策でしょう?
はい、はい、ありがとうございます。
え~と、それでですね、この前にも申し上げましたが、
もし松山碇を大京山に転校させた暁には・・・・・・
はい!よろしくお願いします!
え?前金を頂けるんですか⁉
それはありがたい!はい!お任せください!
必ずや野球部を廃部に追い込み、
松山碇を大京山に転校させてみせます!
え?そちも悪よのうですって?何を仰いますか!
それを言うならそちらだって!
はーっはっはっは!はーっはっはっは!』




