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ハリガネベイスボウラーズツウ!  作者: 椎家 友妻
第七話 決戦!張高ソフトボール部!の、その後
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2 ソフト部のスカウト

 それにしても、仮にこれで碇が大京山に転校すれば、

それは大京山の監督の思惑通りになる訳やよな?

そしてそうなるように仕向けたのはウチの校長で、

それ以前からも、あの校長はやけに碇を大京山に転校させたがっていた。

という事はつまり、大京山の監督とウチの校長の間に、

何らかの利害関係があるんとちゃうやろうか?

 それについては試合の前から疑っとったんやけど、その証拠は何処にもない。

だから前もって鹿島さんに依頼したんやけど、あれはどうなったんやろうか?

もし、それで校長の何らかの不正を突き止める事ができれば、

野球部の廃部の話も取り消す事ができるんやけどなぁ。

ここは鹿島さんに最後の希望を託そう。

 そう心に決めた、その時やった。

 コンコン、と、外から部屋の扉をノックする音が聞こえた。

もしかして鹿島さんか⁉

校長の不正を突き止め、俺達に知らせに来てくれたんやな!

そう確信した俺は、弾む声で言った。

 「どうぞーっ!開いてますよーっ!」

 すると部屋の扉がガチャッと開き、

 「お邪魔するよ~っ」

 という声とともに、一人の女子生徒が現れた。

 いよっ!

待ってましたよ鹿島さん!

・・・・・・と、思ったら違った。

 その女子生徒は鹿島さんではなく、ソフト部キャプテンの佐渡さんやった。

 「何や、佐渡さんですか・・・・・・」

 心底ガッカリした俺は、露骨にげんなりしながら言った。

すると佐渡さんはさも愉快そうにニヤつきながら、俺と碇の近くに歩み寄って来た。

 「いやぁ、昨日は惜しかったねぇ」

 と佐渡さん。

それに対して俺は、疲れた口調で尋ねた。

 「何の用です?もう俺らには用はないはずでしょ」

 「いやいや、それがあるんよ。こっちの松山君に」

 「え?僕に?」

 佐渡さんの言葉に目を丸くする碇。

その碇の両手を握り、佐渡さんは言った。

 「松山君、よかったら正式な部員として、ウチのソフトボール部に入れへん?」

 「え?でも、ソフトボール部は女子しか入れないですよね?僕、男ですよ?」

 「だぁいじょうぶ♡君は見た目が可愛いから、女の子としても充分通用するって」

 碇の問いかけに、ニコニコしながら佐渡さんは答えた。

すると碇は、少し語気を強くしてこう言った。

 「そんなの嫌です!僕は正真正銘の男なんです!」

 いや、お前はホモやろうとよっぽどツッコミたかったが、

ここは黙っておく事にした。

 「え~、残念やなぁ。もし入部してくれたら、

あたしが手取り足取り指導してあげようと思うたのにぃ」

 この人、ただ単に碇を自分のモンにしたいだけとちゃうんか?

だがそれも口に出さず、俺は佐渡さんにこう言った。

 「さっきからずいぶんと勝手な事を言うてくれてますけどね、

まだウチの野球部は、完全に廃部と決まった訳やないんですよ?」

 「は?何言うてんのよ?あんたら野球部は昨日、ウチらとの試合で負けたやないの」

 「でもあの試合は元々、ウチの校長の独断で組まれた試合でしょ」

 「何やのよ?今更あの試合は無効やとか言うんか?往生(おうじょう)(ぎわ)が悪いなあんた」

 「違いますよ。そうやなくてですね、

今回の試合の裏で校長は、何か良からぬ事を企んでいたような気がするんですよ」

 「良からぬ企みって何やのよ?」

 「それを今、知り合いの新聞部の人に頼んで調べてもらってるんです」

 「嘘くさ~。廃部になるのが嫌やからって、いい加減な事を言うたらあかんであんた」

 「いい加減な事やないですよ!

昨日の試合が組まれた理由を考えると、校長の悪事が浮かんでくるんですよ!」

 「そうは言うけど、校長センセが何か悪事を働いたなんて証拠は何処にもないんやろ?」

 「だ、だから、今調べてもらってるんですって!」

 「それはいつ分かんの?来月?半年後?あたしが卒業してからじゃあ遅いで?」

 「ぐぬぬぬ・・・・・・」

 佐渡さんのモノ言いに、言葉を詰まらせる俺。

チクショウ、これやとこっちが不利やないか。

なので俺は、苦し紛れに碇に話を振った。

 「おい碇!黙っとらんとお前も何か言うたれ!」

 すると碇は、呟くようにこう言った。

 「昌也君と一緒なら、僕、ソフト部に入ってもいいです・・・・・・」

 「うぉおいっ⁉何を言い出すんやお前は⁉」

 「ホンマに⁉松山君がウチの部に来てくれるなら、

球拾いの一人や二人、何ぼでも入部さしたるで!」

 「ちょっとちょっと⁉何勝手に話を進めてるんスか⁉

俺は絶対ソフト部なんかに行きませんからね!」

 嬉々として言う佐渡さんに、俺は声を荒げた。

このままやと話がとんでもない方向に行ってしまう。

鹿島さん!早く来てくれ!鹿島すゎーん!

 俺は心の中で叫んだ。

すると、その時やった。

 コンコン。

 再び部屋の扉をノックする音が聞こえた。

俺は慌てて言った。

 「どうぞーっ!開いてまーす!」

 すると扉がガチャッと開き、

 「お邪魔しまーす」

 という声とともに、一人の女子生徒が現れた。

そしてその女子生徒は、今度こそ鹿島さんやった!



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